古文の品詞分解のやり方をやさしく解説|手順とコツを例文で

古文 品詞分解のやり方 図解(①文節で区切る ②自立語と付属語 ③品詞を見分ける) 古典文法

「品詞分解(ひんしぶんかい)」と聞くと難しそうですが、やることは文を言葉のかたまりに切り分けて、一つひとつに名札をつけていくだけです。学校のテストでも入試でも「次の傍線部を品詞分解せよ」「活用形を答えよ」とよく問われます。この記事では、品詞分解を4つの手順に分け、有名でやさしい一文を実際に分解しながら、初めての人にも分かるように解説します。

むずかしい用語にはそのつどかみ砕いた説明をつけます。読み終えるころには、自分で一文を最後まで分解し、活用形まで言えるようになります。

品詞分解とは?──なぜやるの?

品詞分解とは、古文の一文を「単語」にまで分け、それぞれがどんな品詞か(名詞・動詞・助動詞・助詞など)、活用するものなら何形かを答えることです。これができると、次のような力が一気につきます。

  • 正確に訳せる…助動詞(〜だ・〜た・〜う など意味をそえる言葉)を見落とさなくなる。
  • 主語や区切りが見える…どこで文が切れるか、誰の動作かがつかめる。
  • 文法問題が解ける…「活用形を答えよ」「この助動詞の意味は?」にそのまま対応できる。

つまり品詞分解は、古文読解と文法問題の土台になる作業です。手順どおりにやれば必ずできるので、安心して進めましょう。

品詞分解の4つの手順

品詞分解のやり方 4つの手順 図解

品詞分解は、次の順番で進めます。いきなり単語に分けようとせず、大きく切ってから細かくしていくのがコツです。

  1. 文節に分ける…「ネ」を入れて区切れるところで切る(大きく分ける)。
  2. 自立語と付属語に分ける…文節の中を、意味の中心になる語と、くっつく語に分ける。
  3. 用言(動詞・形容詞・形容動詞)は、活用の種類と活用形を言う
  4. 付属語(助動詞・助詞)を見分ける…意味と接続(どんな形に付くか)で正体を決める。

それぞれの手順を、用語の説明をはさみながら見ていきます。

手順① 文節に分ける──「ネ」で区切る

品詞分解 手順1 文節に分ける ネで区切る 図解

文節(ぶんせつ)とは、文を不自然にならない範囲で短く区切ったかたまりのことです。区切れ目に「ネ」を入れて意味が通れば、そこが文節の切れ目です。これは現代語の文法と同じやり方なので、難しく考えなくて大丈夫です。

たとえば「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」(『竹取物語』の冒頭)を「ネ」で区切ると、こうなります。

今は(ネ)/ 昔(ネ)/ 竹取の(ネ)/ 翁と(ネ)/ いふ(ネ)/ 者(ネ)/ ありけり(ネ)

これで7つの文節に分かれました。ここではまだ品詞は考えません。「大きく切る」だけの段階です。

手順② 自立語と付属語に分ける

品詞分解 手順2 自立語と付属語 図解

次に、文節の中をさらに単語に分けます。単語には2種類あります。

  • 自立語(じりつご)…それだけで意味が分かり、文節の先頭に立つ語。名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞など。1つの文節に必ず1つあります。
  • 付属語(ふぞくご)…単独では使えず、自立語の後ろにくっついて意味をそえる語。助動詞・助詞。0個のことも、いくつも続くこともあります。

見分け方はかんたんで、文節の頭が自立語、それ以外(後ろ)が付属語です。さきほどの「今は昔…」を単語に分けると、次のようになります(/が単語の切れ目)。

今/は ‖ 昔 ‖ 竹取/の ‖ 翁/と ‖ いふ ‖ 者 ‖ あり/けり

「今・昔・竹取・翁・者・あり・いふ」が自立語、「は・の・と・けり」が付属語です。残るは、用言(あり・いふ)の活用と、付属語(は・の・と・けり)の正体を答える作業です。

手順③ 用言は「活用の種類」と「活用形」を言う

品詞分解 手順3 用言の活用の種類と活用形 図解

用言(ようげん)とは、活用する自立語=動詞・形容詞・形容動詞のことです。用言が出てきたら、次の2つを必ずセットで答えます。

  • 活用の種類…その語がどのグループか。動詞なら四段・上二段・下二段・上一段・下一段・カ変・サ変・ナ変・ラ変の9つのどれか。
  • 活用形…その場面での形。未然形・連用形・終止形・連体形・已然形・命令形の6つのどれか。

活用形を見分けるいちばんのコツは、「下に何が続いているか」を見ることです。たとえば言い切って終われば終止形、体言(名詞)に続けば連体形、というように、後ろの言葉が活用形を決めます。「いふ」と「あり」を見てみましょう。

活用の種類活用形なぜその形?(下を見る)
いふハ行四段活用連体形下に体言「者」が続く → 連体形
ありラ行変格活用連用形下に「けり」が続く。「けり」は連用形につく → 連用形

ここで大事な注意点です。四段活用の「いふ」は、終止形も連体形も「いふ」で形が同じです。形が同じでも、下に名詞「者」が続いているので連体形だと判断します。「形が同じときこそ、下の言葉で決める」——これが活用形当てのいちばんの急所です。

手順④ 付属語(助動詞・助詞)を見分ける

品詞分解 手順4 付属語は接続で見分ける 手順チェック 図解

最後に、付属語の正体を決めます。ポイントは「接続(せつぞく)」、つまりその語が直前のどんな活用形にくっつくかです。とくに助動詞は、接続を知っていると見分けと活用形当てが一気に正確になります。代表的な助動詞の接続を覚えましょう。

直前の活用形(接続)主な助動詞
未然形につくむ・むず・じ・まし・まほし/る・らる・す・さす・しむ・ず
連用形につくき・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし
終止形につく(ラ変型には連体形)らむ・べし・らし・めり・まじ・なり(伝聞・推定)

※「らむ・べし」などは終止形につきますが、ラ変型(あり・をり・侍り など)の語には連体形につく、という細かい決まりもあります。まずは「未然形につく組」と「連用形につく組」をしっかり区別できれば十分です。

「今は昔…」の付属語を整理すると、次のとおりです。

品詞意味・はたらき活用形
係助詞「今は」と話題を示す—(助詞は活用しない)
格助詞「竹取の翁」と下の名詞を修飾
格助詞「〜という」と引用・内容を示す
けり助動詞(過去・詠嘆)「〜た・〜たのだった」終止形(文末で言い切り)

「けり」は連用形につく助動詞なので、すぐ上の「あり」は連用形だと確定できます(手順③の表とつながります)。このように、付属語の接続が、用言の活用形を教えてくれるのです。

仕上げ──一文をまるごと品詞分解した完成表

4つの手順をすべて行うと、「今は昔、竹取の翁といふ者ありけり」は次のように分解できます。これが品詞分解の完成形です。

品詞活用の種類活用形
名詞
係助詞
名詞
竹取名詞
格助詞
名詞
格助詞
いふ動詞ハ行四段活用連体形
名詞
あり動詞ラ行変格活用連用形
けり助動詞(過去)ラ変型終止形

訳は「今となっては昔のことだが、竹取の翁とよばれる者がいた(のだった)」。一語ずつ名札がついたことで、訳もくっきりします。

もう一文で練習──助動詞の接続を実感する

続きの一文「野山にまじりて竹を取りつつ、よろづのことに使ひけり」も同じ手順で分解できます。ここでは、助動詞・助詞の接続に注目してみましょう(用言の活用形は下の語で決まります)。

  • まじり(ラ行四段「まじる」の連用形)+ (接続助詞)…「て」は連用形につくので「まじり」は連用形。
  • 取り(ラ行四段「取る」の連用形)+ つつ(接続助詞・反復)…「〜しては」。「つつ」も連用形につく。
  • 使ひ(ハ行四段「使ふ」の連用形)+ けり(過去の助動詞・終止形)…「けり」は連用形接続なので「使ひ」は連用形。

訳は「野山に分け入って竹を取りながら、いろいろなことに使っていた」。「て」「つつ」「けり」がすべて連用形につくので、その直前の動詞はみな連用形だと一発で分かります。接続を覚える効果が実感できますね。

接続で活用形が決まる──「む」と「き」で見比べる

助動詞の接続を覚えると、同じ動詞でも下につく助動詞によって形が変わることがはっきり分かります。意志の「む」(未然形につく)と、過去の「き」(連用形につく)で見比べましょう。いずれも文法的に正しい作例です。

動詞の形付く助動詞意味
花を見見(上一段「見る」の未然形む(未然形接続)花を見よう(意志)
京へ上り上り(四段「上る」の連用形き(連用形接続)京へ上った(過去)

「む」が来れば直前は未然形、「き・けり」が来れば直前は連用形。下の助動詞を見れば、上の活用形が自動的に決まるのです。これが品詞分解の最大の武器になります。

よくある間違いと、その防ぎ方

初学者がつまずきやすいポイントを、防ぎ方とセットでまとめます。ここを意識するだけで正答率がぐっと上がります。

  • ① 連用形と未然形の混同…ナ変「死ぬ」なら未然形「死な」・連用形「死に」。「死なむ(む=未然)」なら未然形、「死にけり(けり=連用)」なら連用形。下の助動詞の接続で必ず判定できる。形だけで決めない。
  • ② 助動詞の見落とし…「ありけり」の「けり」、「見」の「む」を読み飛ばすと、過去や意志の意味が訳から消えてしまう。文節の最後までていねいに分けて、付属語を取りこぼさない。
  • ③ 終止形と連体形の取りちがえ…四段動詞は終止形・連体形が同じ形(例「いふ」)。下に体言があれば連体形と、下を見て区別する。
  • ④ 「き」の未然形「せ」を忘れる…過去「き」の未然形は「せ」で、反実仮想の「せば(もし〜だったら)」の形でだけ使う。「〜き」は基本、連用形+きと覚える。

共通する対策はただ一つ、「下の言葉(とくに助動詞の接続)を見て活用形を決める」こと。形が同じでまぎらわしいときほど、この原則が効きます。

品詞分解の手順チェックリスト

最後に、実際の問題で使える手順をまとめます。この順番でなぞれば、どんな一文でも分解できます。

  1. 「ネ」で文節に分ける(まず大きく切る)。
  2. 各文節を自立語+付属語に分ける(頭が自立語、後ろが付属語)。
  3. 用言は活用の種類を確定し、下の言葉を見て活用形を答える。
  4. 付属語(助動詞・助詞)の意味・はたらきと活用形を答える。接続を手がかりにする。
  5. 最後に現代語訳を作り、各語の名札と意味が合っているか確かめる。

品詞分解は、慣れれば数十秒でできるようになります。まずは『竹取物語』の冒頭のような短くやさしい一文で、手順どおりに何度か練習してみてください。一語ずつ名札をつける感覚がつかめれば、長い文章も怖くありません。

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