間違えやすい古文単語|意味が現代と逆になる古今異義語まとめ

間違えやすい古文単語|意味が現代と逆になる古今異義語まとめ 古文単語

古文単語でいちばん怖いのが、現代語と意味が違う(しかも逆になる)語=「古今異義語」です。知らずに現代の感覚で訳すと、大きく減点されます。プラス・マイナスが現代と逆転する代表語を、意味とセットで覚えましょう。

生徒
生徒「ありがたし」って、ありがとうの意味じゃないんですか…?
先生
先生そう、そこが落とし穴。古文では「めったにない」の意味なんだ。現代の感覚で訳すと減点される語をまとめて覚えよう。
現代と意味が逆になる古今異義語 全体図

意味がプラス⇄マイナスで逆になる語

プラスマイナスが逆転する古文単語①|ありがたし すさまじ
古文単語古文での意味現代の感覚(要注意)
ありがたしめったにない・珍しい×「感謝」ではない
すさまじ興ざめだ・殺風景だ×「すごい」ではない
あさまし驚きあきれる(良い意味でも悪い意味でも)×「卑しい」だけではない
うつくしかわいい・いとしい△「美しい」より「かわいい」
かなしいとしい・かわいい/心打たれる×「悲しい」だけではない
やさし恥ずかしい・つらい/優美だ×「親切」ではない
はづかし(相手が立派で)こちらが気おくれする×「恥ずかしい」だけではない
ねんごろなり親切だ・丁寧だ意味は近いが要確認
プラスマイナスが逆転する古文単語②|かなし やさし はづかし

評価の言葉(良し悪し)

評価の古語 良し悪し両用|をかし あはれ ゆゆし いみじ
単語意味
をかし趣がある・すてきだ(明るい美)
あはれなりしみじみと心打たれる(しっとりした感動)
ゆゆし不吉だ/(程度が)はなはだしい
いみじ程度がはなはだしい(とても良い/とても悪い、両方)

覚え方のコツ

  • 「現代と同じ」と思った瞬間が危険。古今異義語は「現代の意味でしっくりくる」ものほど誤訳しやすい。
  • プラスかマイナスかをまず判断(例:すさまじ=マイナス=興ざめ)。
  • いみじ・ゆゆし・あさまし」は良い方にも悪い方にも使える。文脈で振り分ける。
先生
先生コツは一つ。まずプラスかマイナスかを決めてから訳すこと。これだけで誤訳がグッと減るよ。

「をかし」と「あはれ」

古文の二大美意識 をかしとあはれ 図解

この2語は古文の二大美意識。をかし=明るく知的な美(枕草子あはれ=しみじみした情緒(源氏物語と作品名とセットで覚えると、文学史でも得をします。

テスト直前チェック

  • ありがたし=めったにない/すさまじ=興ざめ/うつくし=かわいい
  • かなし=いとしい/やさし=恥ずかしい・つらい
  • いみじ・ゆゆし=程度大(良い・悪い両方)

古今異義語ってそもそも何?なぜ怖いのか

「古今異義語(ここんいぎご)」とは、同じ言葉なのに、昔(古文)と今(現代語)で意味が違ってしまった単語のことです。「古今」は「昔と今」、「異義」は「意味が異なる」という意味で、文字どおり「昔と今で意味がちがう語」を指します。やっかいなのは、見た目が現代語とまったく同じなので、知らないと無意識に現代の意味で読んでしまう点です。たとえば「ありがたし」を見て「ありがとう=感謝」と訳してしまう。これがそのまま減点につながります。

古文単語には大きく分けて三つのタイプがあります。①現代にはもう残っていない語(例:「いと」=とても、「げに」=本当に)、②現代と同じ意味で残っている語(例:「山」「川」「見る」)、そして③現代に残っているのに意味がズレた、あるいは逆転した語=古今異義語です。このうち、①は「知らない単語」として素直に覚えますし、②はそのまま読めます。ところが③は「知っているつもり」で読み飛ばしてしまうため、テストで最も差がつくのです。古文が読めない原因の多くは、文法ではなくこの古今異義語の取りこぼしにあります。

特に注意したいのが、プラスの意味とマイナスの意味が現代と入れかわっている語です。良い意味だと思って読んだら実は悪い意味、その逆もあります。まずは「この語は良い意味か悪い意味か」を見分ける感覚を身につけることが、古今異義語攻略の第一歩になります。

代表語をくわしく解説(例文つき)

ここからは、特に出題されやすい代表語を一つずつ、例文とあわせて見ていきます。例文は「原文の一節+現代語訳」の形で示します。声に出して読みながら、現代の意味との「ズレ」を体に入れていきましょう。

ありがたし=めったにない・珍しい

「ありがたし」は「有り+難し」、つまり「有ることが難しい=めったにない」が原義です。めったにないほど貴重だ、すばらしい、という方向にも広がります。現代の「ありがとう(感謝)」は、この「めったにない貴重なことをしてもらった」という気持ちから生まれた言い方で、語源はつながっていますが、古文では「感謝」と訳すと不正解になることがほとんどです。

  • 原文:ありがたきもの。舅にほめらるる婿。(枕草子)
  • 現代語訳:めったにないもの。しゅうとにほめられる婿。

すさまじ(すさまじ・すさまじき)=興ざめだ・殺風景だ

現代語の「すさまじい」は「すさまじい勢い」のように「程度がはなはだしい・恐ろしい」という意味ですが、古文では「興ざめだ・調子はずれだ・殺風景だ」というマイナス評価が中心です。期待していたのに気分がしらける、季節や場面にそぐわない、という感じです。枕草子の有名な一段「すさまじきもの」は、「興ざめなもの」を列挙した章段として知られます。

  • 原文:すさまじきもの、昼ほゆる犬。(枕草子)
  • 現代語訳:興ざめなもの。昼間にほえる犬。(夜こそほえるべき犬が昼にほえている調子はずれ)

うつくし=かわいい・いとしい

現代語の「美しい」は容姿や景色の「きれいさ」を指しますが、古文の「うつくし」は、小さいものや幼いものに対する「かわいい・いとしい」という気持ちが中心です。子どもや小動物をいつくしむ感情を表します。「きれい」という意味で使いたいときは、古文では「きよらなり」「きよげなり」などを使うことが多い、と対で覚えておくと整理できます。

  • 原文:うつくしきもの、瓜にかきたるちごの顔。(枕草子)
  • 現代語訳:かわいらしいもの。瓜に描いた幼児の顔。
生徒
生徒「うつくし」が「かわいい」なら、「きれい」はどう言うんですか?
先生
先生いい質問。古文では「きよらなり」「きよげなり」を使うことが多いんだ。「うつくし=かわいい」とセットで覚えよう。

かなし=いとしい・かわいい/心打たれる

「かなし」は、現代では「悲しい(つらい・さみしい)」の一方向ですが、古文では「いとしい・かわいくてたまらない」というプラスの愛情を表す用法が非常に重要です。胸がしめつけられるほど心が動く、という強い感情が根っこにあり、それが「いとしい」方向にも「悲しい」方向にも広がります。漢字で「愛し」と書けば「いとしい」、「悲し」と書けば「悲しい」と、表記で見分けられる場合もあります。

  • 原文:限りなくかなしと思ひて、河内へも行かずなりにけり。(伊勢物語・筒井筒)
  • 現代語訳:(夫は妻の歌を聞いて)この上なくいとしいと思って、(通っていた)河内へも行かなくなってしまった。

やさし=恥ずかしい・つらい/優美だ

現代の「やさしい(親切・温和)」とはまったく別物です。「やさし」は「痩(や)す」と同じ語源で、「身が細る思いがするほど恥ずかしい・つらい・きまりが悪い」が原義です。そこから「(人前で恥じらうほど)控えめで優美だ・上品だ」というプラスの意味にも発展しました。文脈で「つらい・恥ずかしい」なのか「優美だ」なのかを見分けます。

  • 原文:世の中を憂しとやさしと思へども飛び立ちかねつ鳥にしあらねば(万葉集・山上憶良)
  • 現代語訳:世の中をつらい、身がやせ細るほど恥ずかしいと思うけれど、飛び去ることもできない。鳥ではないのだから。

はづかし=(相手が立派で)こちらが気おくれする

現代の「恥ずかしい(自分が照れる・きまり悪い)」も古文にありますが、入試で問われるのは「相手がりっぱで、こちらが気おくれする・気がひける」という用法です。「はづかしき人」と言えば、「(自分が恥ずかしくなるほど)りっぱな人・こちらが気後れするほどすぐれた人」という意味になります。「自分が」ではなく「相手が立派」という方向に発想を切りかえるのがコツです。

  • 原文:はづかしき人、住みたまふ。
  • 現代語訳:(こちらが気おくれするほど)りっぱな人が、お住みになっている。

あさまし=驚きあきれる(良い・悪い両方)

現代語の「あさましい(卑しい・見苦しい)」よりも、古文では「(意外なことに)驚きあきれる・びっくりする」という意味が中心です。良いことに驚くときも、悪いことに驚くときも使えます。あまりの出来事に言葉を失う感覚で、現代語の「あさましい」のような道徳的な「卑しさ」の意味は後から加わったものです。

  • 原文:あさましきまでに、めでたし。
  • 現代語訳:驚きあきれるほどに、すばらしい。

良い意味にも悪い意味にも使う「両用語」

古文には、一つの語で「とても良い」と「とても悪い」の両方を表す語があります。代表が「いみじ」「ゆゆし」「あさまし」です。これらは「程度がはなはだしい」という芯だけがあり、良い方向に振れるか悪い方向に振れるかは文脈次第。だから訳すときは、前後の様子から「良い・悪い」を判断し、必要なら言葉を補って訳す必要があります。

  • いみじ=程度がはなはだしい。良い文脈なら「すばらしい・たいそう〜だ」、悪い文脈なら「ひどい・たいへんだ」。
  • ゆゆし=もとは「神聖でおそれ多い」。そこから「不吉だ・縁起が悪い」と「(程度が)はなはだしい・すばらしい」の両方に。
  • あさまし=驚きあきれる。良い意外にも悪い意外にも使う。

たとえば「いみじう泣く」は「ひどく泣く」、「いみじき笛の音」は「すばらしい笛の音」。同じ「いみじ」でも、後ろにくる言葉と場面で訳語が変わるのがわかります。「いみじ=程度大、良い悪いは文脈で」と一行で覚えてしまいましょう。

先生
先生同じ「いみじ」でも、「いみじう泣く」はひどく「いみじき笛の音」はすばらしい。良い悪いは後ろの言葉と場面で決まるんだ。

「をかし」と「あはれ」をもう一歩深く

この二語は古文の「二大美意識」と呼ばれ、文学史でも頻出です。「をかし」は、明るく知的で、対象を少し離れて観察し「趣がある・おもしろい・すてきだ」と感じる美。一方「あはれ」は、対象に深く入りこみ「しみじみと心打たれる・ああ(と感じ入る)」というしっとりした情緒の美です。「をかし」は理知的・客観的、「あはれ」は情緒的・主観的、と対比で覚えると忘れません。

作品とセットにすると一気に整理できます。「をかし」の文学=清少納言『枕草子』(明るく才気あふれる随筆)、「あはれ」の文学=紫式部『源氏物語』(しみじみとした情趣=「もののあはれ」)。江戸時代の国学者・本居宣長が『源氏物語』の本質を「もののあはれ」と説いたことも、文学史でよく問われます。単語の意味と作品名・人物名をひもづけておくと、読解でも文学史でも得点源になります。

つまずきやすいポイントと入試での問われ方

  • 「現代の意味でしっくりくる」ときほど疑う。古今異義語は、現代語訳がスッと通ってしまうからこそ誤訳に気づけません。「ありがたし=ありがとう」「うつくし=美しい」と、なんとなく訳せてしまったら要注意です。
  • プラスかマイナスか、まず判断する。「すさまじ=マイナス(興ざめ)」「かなし=プラス(いとしい)」のように、評価の方向を先に決めると訳がぶれません。
  • 両用語は文脈で振り分ける。「いみじ・ゆゆし・あさまし」は良い悪い両方。前後の言葉から判断し、訳語を補います。
  • 漢字表記がヒントになることがある。「かなし」=「愛し(いとしい)/悲し(かなしい)」のように、本文に漢字があれば意味を絞れます。

入試・定期テストでは、①傍線部の古語の意味を選ぶ四択、②現代語訳の記述、③同じ語の中で文脈に合う意味を選ばせる問題、の形でよく出ます。特に「いみじ」「あはれ」「をかし」のような多義語・両用語は、「ここでは良い意味か悪い意味か」を文脈から答えさせる問題が定番です。単語帳の意味を丸暗記するだけでなく、例文の中でどう訳されているかをセットで覚えるのが合格への近道です。

ミニ練習問題(解答つき)

次の傍線部の古語の意味として、最も適切なものを選びましょう。答えは下にあります。

  1. ありがたきもの。」(ア 感謝すべき イ めったにない ウ ありふれた)
  2. すさまじきもの、昼ほゆる犬。」(ア すばらしい イ 恐ろしい ウ 興ざめな)
  3. 「いとうつくしうてゐたり。」(ア 美しく イ かわいらしく ウ 立派で)
  4. 「子をかなしと思ふ。」(ア 悲しい イ いとしい ウ 情けない)
  5. 「世をやさしと思ふ。」(ア つらい・身がやせる思いだ イ 親切だ ウ たやすい)
  6. いみじう泣く。」(ア すばらしく イ ひどく ウ 静かに)

【解答】1=イ(めったにない)/2=ウ(興ざめな)/3=イ(かわいらしく)/4=イ(いとしい)/5=ア(つらい・身がやせる思いだ)/6=イ(ひどく=悪い文脈なので「ひどく泣く」)。6番は、同じ「いみじ」でも「いみじき笛の音」なら「すばらしい笛の音」と訳すことを思い出しましょう。良い悪いは文脈で決まります。

先生
先生全問正解できたかな。間違えた語は例文ごと声に出して読むと、意味のズレが体にしみこむよ。少しずつで大丈夫、必ず読めるようになる。

よくある質問(Q&A)

Q. 古今異義語は全部でいくつ覚えればいいですか?
A. まずはこの記事で扱った「現代と意味が逆・ズレる語」を中心に、十数語をしっかり押さえれば、定期テストの読解はぐっと楽になります。その後、市販の古文単語集(300語前後のもの)で「★印・赤字」になっている重要語から広げていくと効率的です。いきなり全部ではなく、誤訳すると大きく減点される語から優先しましょう。

Q. 「いみじ」のような両用語は、どうやって良い・悪いを見分けるのですか?
A. 後ろにくる言葉と場面で判断します。「いみじう悲し」「いみじう泣く」なら悪い(ひどく)方向、「いみじき宝」「いみじうめでたし」なら良い(すばらしく)方向です。迷ったら、文章全体が「喜び・賞賛」の場面か「嘆き・困惑」の場面かを見ると決めやすくなります。

Q. 現代語と意味が同じ単語は覚えなくていい?
A. 同じ意味の語(「山」「見る」など)はそのまま読めるので暗記の優先度は低めです。覚える労力は、古今異義語や、現代に残っていない語に集中させましょう。「知っているつもりの語ほど危ない」と意識するだけで、誤訳はかなり減ります。

テスト直前・総まとめ

  • ありがたし=めったにない(×感謝)
  • すさまじ=興ざめだ(×すごい)
  • うつくし=かわいい(△美しい)
  • かなし=いとしい/心打たれる(×悲しいだけ)
  • やさし=恥ずかしい・つらい/優美だ(×親切)
  • はづかし=(相手が立派で)気おくれする
  • あさまし=驚きあきれる(良い悪い両方)
  • いみじ・ゆゆし=程度がはなはだしい(良い悪い両方、文脈で判断)
  • をかし=明るく趣がある美(枕草子)/あはれ=しみじみした情緒の美(源氏物語)

古今異義語の鉄則は、ただ一つ。「現代の意味で訳さない」です。とくにプラス・マイナスが逆転する語、良い悪い両方に使える語は、誤訳すると一気に減点されるので最優先で暗記しましょう。単語は文法と並ぶ読解の土台です。例文ごと声に出して、意味のズレを体にしみこませれば、古文は必ず読めるようになります。下のドリルで四択にチャレンジして、覚えた知識を得点力に変えていきましょう。

まとめ

古今異義語は「現代の意味で訳さない」が鉄則。とくにプラス・マイナスが逆転する語は最優先で暗記しましょう。単語は文法と並ぶ読解の土台です。コツコツ覚えれば、古文はぐっと読めるようになります。

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