古文 敬語の訳し方 100題ドリル|無料PDFと解答付き

古文「敬語の訳し方」識別ドリル アイキャッチ 古文ドリル

敬語動詞・補助動詞の現代語訳を100問で習熟

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A4・問題用は解答スペース付き/解答用は答えと解説

📖 先に理屈を固めたい人へ:「敬語の訳し方」解説 を読んでから解くと正答率が上がります。

このドリルでわかること

はじめに:敬語の訳し方ルール

古文の敬語は 現代語訳に正確に反映 させる必要がある。

敬語の種類 訳の形
尊敬語 お〜になる/〜なさる
謙譲語 お〜する/〜申し上げる/〜いたす
丁寧語 〜です/〜ます/〜ございます

訳し方の鉄則

尊敬語(動作主への敬意)

  • 給ふ(四段) → 〜なさる/お〜になる
  • おはす/おはします → いらっしゃる
  • 仰す/のたまふ → おっしゃる
  • 召す → お召しになる/お呼びになる
  • 御覧ず → ご覧になる
  • 大殿籠る → お休みになる
  • 思す/思しめす → お思いになる
  • きこしめす → お聞きになる/召し上がる
  • あそばす → なさる(高貴な人の動作)
  • 遣はす → 派遣なさる

謙譲語(動作の受け手への敬意)

  • 奉る → 差し上げる
  • 参る → 参上する/差し上げる
  • 申す/聞こゆ → 申し上げる
  • 仕うまつる/つかうまつる → お仕えする(「す」の謙譲で「いたす」とも)
  • 賜ふ(下二段) → いただく
  • 承る → お受けする/伺う
  • まかる/まかづ → 退出する(「まかる」は「(地方へ)下る」の意も。「参上する」と訳すのは「参る・まうづ」)
  • まうづ → 参上する(寺社なら参詣する)
  • 侍り/候ふ(さぶらふ)(本動詞で「貴人のそばにいる」意) → お仕えする/お控えする

丁寧語(聞き手・読み手への敬意)

  • 侍り → 〜ございます/〜です/〜ます
  • 候ふ/さぶらふ → 〜ございます/〜です/〜ます

二重敬語(最高敬語)

形 訳
せたまふ/させたまふ お〜になる/〜なさる
しめたまふ お〜なさる
仰せらる おっしゃる
思しめす お思いになる

→ 二重敬語は 天皇・皇族・摂関級 への最高敬意(地の文の場合。会話文では、話し手が目上の相手に使うこともある)。ただし「せ・させ」は使役のこともある(下のコツ②)。


動詞別・尊敬/謙譲両用注意

動詞 尊敬 謙譲
奉る 召し上がる/お召しになる/お乗りになる 差し上げる
参る 召し上がる(食事) 参上する/差し上げる
賜ふ 四段=お与えになる(尊敬) 下二段=いただく(謙譲)
給ふ 四段=〜なさる(尊敬) 下二段=〜ております・〜させていただく(謙譲・会話文や手紙のみ)

🎯 解き方のコツ(時短テクニック)

上の「訳し方の鉄則」は、敬語を訳すときの基本の決まり。
こちらは 試験本番ですばやく答えを出す ための実戦テクニックです。

コツ① 敬語動詞の 直訳パターン を丸暗記(語数限定なので最強)

入試で出るのは決まった敬語動詞だけ。まず 形と訳の対応 を覚える(「奉る」「参る」「給ふ」「侍り・候ふ」のように訳が分かれる語は、下のコツ③④と「よくある引っかけ」で見分ける):

  • 「のたまふ/仰す」→ おっしゃる
  • 「おはす/おはします」→ いらっしゃる
  • 「思す/思しめす」→ お思いになる
  • 「御覧ず」→ ご覧になる
  • 「奉る」→ 差し上げる(謙譲)/お召しになる(尊敬)
  • 「申す/聞こゆ」→ 申し上げる
  • 「侍り/候ふ」→ 〜です・〜ます

コツ② 「せたまふ・させたまふ」は、まず使役か尊敬かを確かめる

「せたまふ/させたまふ/しめたまふ」を見たら:

  • 「〜に」「〜をして」など、その動作をさせられる人 が書いてあれば 使役+尊敬(「〜させなさる」)。例:「人々に歌よませたまふ」=人々に歌を詠ませなさる
  • させられる人がいなければ 尊敬+尊敬(二重敬語)。訳は「お〜になる/〜なさる」(ただの尊敬と同じ訳でよい)。地の文では、動作主は天皇・中宮など最高位の人が多い
  • 「御覧ぜさせたまふ」は「(貴人に)お見せになる」(使役)になるのがふつう

コツ③ 「給ふ」の活用で訳が分岐(最頻出)

  • 四段の「給ふ」 → 尊敬「〜なさる」
  • 下二段の「給ふ」 → 謙譲「〜ております/〜させていただく」(会話・手紙の中で、話し手自身の「思ふ・見る・聞く・知る」に付く時のみ。「〜申し上げる」とは訳さない)

例:「見給ふる」(下二段連体形)→ 「見ております」。四段か下二段かは形で見分ける(下二段は「たまへ・たまへ・たまふ・たまふる・たまふれ」と活用する。「たまへず」「たまへし」なら下二段、「たまはず」「たまひし」なら四段。「たまへる」「たまへど」は四段(已然形に「り」「ど」が付いた形)なので、「たまへ」だけで下二段と決めない)

コツ④ 「奉る」「参る」は その人自身が食べる・飲む・着る・乗る ときだけ尊敬

  • 貴人が自分で「御酒を奉る」「御衣を奉る」「御車に奉る」→ 「召し上がる/お召しになる/お乗りになる」(尊敬)
  • 貴人が自分で「参る」+飲食物 → 「召し上がる」(尊敬)
  • 人に差し上げる・人のもとへ行くときの「奉る/参る」→ 謙譲(差し上げる/参上する)。「酒を奉る」でも、人に差し上げるのなら謙譲

試験本番でのチェック順序

  1. 敬語動詞を特定し、 暗記した訳語 を当てはめる
  2. 「給ふ」なら 活用形 で四段(尊敬)/下二段(謙譲)を判別
  3. 「奉る・参る」なら 動作の内容 で尊敬/謙譲を判別
  4. 「せたまふ」系は、させられる人(〜に・〜をして)がいれば使役+尊敬「〜させなさる」、いなければ最高敬語(二重敬語)で「お〜になる/〜なさる」
  5. 補助動詞の場合は「お〜になる/お〜申し上げる/〜です・〜ます」の形で接続

→ この順番で見れば、すばやく 答えが出せます。

よくある引っかけ

  • 補助動詞の「給ふ」を「与える」と訳す → 補助動詞は「〜なさる」(下二段なら「〜ております」)
  • 「申す」を「言う」と訳す → 必ず「申し上げる」(謙譲を反映)
  • 「侍り」を「いる」と訳す → 補助なら「〜です・〜ます」、本動詞でも「お仕えする/ございます」
  • 二重敬語を訳に反映できない → 「お〜になる」「〜なさる」と尊敬の形を明示
  • 「せ・させ」を全部尊敬と決めつける → させられる人(〜に)がいれば使役で「〜させなさる」

問題(Q1〜Q100)

ここから100問を表示します。スマホでも解けるよう、答えと解説は各問の直下に表示しています。「解答が見えると解いた気にならない」という方は、上のPDFをダウンロードして印刷で解いてください。

【第1部】基礎編(Q1〜Q20)

主要敬語の基本訳。


Q1.現代語訳せよ。

帝、御文書かせたまふ。

答え:「帝が、お手紙をお書きになる」 解説:「せたまふ」二重敬語(尊敬)。


Q2.現代語訳せよ。

御文を奉る。

答え:「お手紙を差し上げる」 解説:「奉る」謙譲。「差し上げる」。


Q3.現代語訳せよ。

「これは尊し」と申す。

答え:「『これは尊い』と申し上げる」 解説:「申す」謙譲。「申し上げる」。


Q4.現代語訳せよ。

我も参り侍り。

答え:「私も参上いたします」 解説:「侍り」は動詞(参る)に付く丁寧の補助動詞で「〜ます」(本動詞なら「あります・おります・ございます」)。「参る」は謙譲「参上する」。


Q5.現代語訳せよ。

中宮、御文を御覧ず。

答え:「中宮が、お手紙をご覧になる」 解説:「御覧ず」尊敬。「ご覧になる」。


Q6.現代語訳せよ。

御所に参る。

答え:「御所に参上する」 解説:「参る」謙譲。「参上する」。


Q7.現代語訳せよ。

法皇、山里におはす。

答え:「法皇が、山里にいらっしゃる」 解説:「おはす」は「あり・をり」の尊敬語で「いらっしゃる」(「行く・来」の尊敬にも使う)。


Q8.現代語訳せよ。

君に仕うまつる。

答え:「君にお仕えする(お仕え申し上げる)」 解説:「仕うまつる」謙譲。


Q9.現代語訳せよ。

上、仰せらる。

答え:「上が、おっしゃる」 解説:「仰す」+「らる」(尊敬)。二重敬語。


Q10.現代語訳せよ。

大納言、御前に候ふ。

答え:「大納言が、御前にお仕えしている(お控えしている)」 解説:「候ふ」は地の文の本動詞で謙譲(貴人のそばに「いる」意=お仕えする・お控えする)。丁寧語の「候ふ」(〜ございます・〜ます)とは違う。


Q11.現代語訳せよ。

帝、御物の怪に苦しませたまふ。

答え:「帝が、物の怪にお苦しみになる」 解説:「せたまふ」二重敬語(尊敬)。


Q12.現代語訳せよ。

中将、御前よりまかる。

答え:「中将が、御前から退出する」 解説:「まかる」は謙譲で「退出する」(貴人のもとから下がる)。「御前より」とあるので、御前から下がる意。「参上する」と訳すのは「参る」「まうづ」。


Q13.現代語訳せよ。

院、大殿籠る。

答え:「院が、お休みになる」 解説:「大殿籠る」尊敬の特殊形(寝る)。


Q14.現代語訳せよ。

御物を賜ふ(下二段)。

答え:「御物をいただく」 解説:「賜ふ」下二段は謙譲。「いただく」。


Q15.現代語訳せよ。

「いま参り候ふ」と申す。

答え:「『いま参上いたします』と申し上げる」 解説:「候ふ」丁寧+「申す」謙譲。


Q16.現代語訳せよ。

中宮、御文書かせたまふを、人にも見せさせたまふ。

答え:「中宮が、お手紙をお書きになったのを、人にもお見せになる」 解説:「書かせたまふ」は四段「書く」の未然形+尊敬「す」+尊敬「たまふ」、「見せさせたまふ」は下二段「見す」(見せる)の未然形+尊敬「さす」+尊敬「たまふ」。どちらも二重敬語(最高敬語)で中宮への敬意。「を」は「〜のを」。「人に」は見せる相手で、「させ」(使役)でさせられる人ではない。


Q17.現代語訳せよ。

帝、御文を中宮に御覧ぜさせたまふ。

答え:「帝が、お手紙を中宮にお見せになる」 解説:「御覧ぜ」(「見る」の尊敬語「御覧ず」の未然形。見る中宮への敬意)+使役「さす」の連用形「させ」+尊敬「たまふ」(帝への敬意)。「中宮に」と見させる相手があるので「させ」は使役で、「中宮にご覧にならせなさる」=「お見せになる」。「御覧ぜさす」は「(貴人に)お見せする・ご覧に入れる」の意で使うのがふつう。


Q18.現代語訳せよ。

「日高くなり侍りぬ。はや起きさせたまへ」

答え:「『日が高くなりました。早くお起きください』」 解説:上二段「起く」の未然形「起き」+尊敬「さす」の連用形「させ」+尊敬「たまふ」の命令形「たまへ」(二重敬語の命令)。起きるのは話しかけている相手自身で、させられる人はいないので「させ」は尊敬。命令形なので「お〜ください」と訳す。


Q19.現代語訳せよ。

御供仕うまつり侍り。

答え:「お供申し上げております/お供させていただいております」 解説:「仕うまつる」謙譲+「侍り」丁寧。


Q20.現代語訳せよ。

法皇、御使ひを遣はす。

答え:「法皇が、御使いを派遣なさる」 解説:「遣はす」尊敬の特殊形。


基礎編 /20


【第2部】標準編(Q21〜Q50)

両用語・複合敬語・特殊敬語。


Q21.現代語訳せよ。

帝、御酒を参る。

答え:「帝が、お酒を召し上がる」 解説:「参る」は飲食では尊敬「召し上がる」。両用注意。


Q22.現代語訳せよ。

上、御衣を奉る。

答え:「上が、お召し物をお召しになる」 解説:「奉る」は衣服では尊敬「お召しになる」。


Q23.現代語訳せよ。

中将、御琴をいとおもしろく弾き給ふ。

答え:「中将が、お琴をたいそう趣深くお弾きになる」 解説:「給ふ」四段=尊敬「〜なさる/お〜になる」。「おもしろし」は「趣がある」。


Q24.現代語訳せよ。(会話文)

「我もさなむ思ひたまふる」

答え:「私もそのように思っております」 解説:「たまふる」は下二段「給ふ」の連体形(係助詞「なむ」の結び)。会話文(または手紙)で、話し手自身の「思ふ・見る・聞く・知る」などに付く謙譲の補助動詞で、「〜ております/〜ます」と訳すのが定番。動作の対象を高めるよりも、聞き手に対する丁重さを表す。


Q25.現代語訳せよ。

殿、御文を賜ふ(四段)。

答え:「殿が、お手紙をお与えになる(くださる)」 解説:「賜ふ」四段=尊敬「お与えになる/くださる」。


Q26.現代語訳せよ。

中将、帝より禄を賜はる。

答え:「中将が、帝からほうびをいただく」 解説:「賜はる」は「受く・もらふ」の謙譲語で「いただく」(与えてくださる帝への敬意)。四段活用(たまはら・たまはり・たまはる…)。「禄」はほうび。


Q27.現代語訳せよ。

帝、御覧じて仰せらる。

答え:「帝が、ご覧になっておっしゃる」 解説:「御覧ず」(尊敬)+「仰せらる」(尊敬二重)。


Q28.現代語訳せよ。

大臣、帝に御馬を奉らむとす。

答え:「大臣が、帝にお馬を差し上げようとする」 解説:「奉る」は「与ふ」の謙譲語で「差し上げる」。受け取る帝への敬意。


Q29.現代語訳せよ。

「いまはまかり出で侍りなむ」

答え:「今はもう退出いたしましょう」 解説:「まかり出づ」謙譲(退出する)の連用形+丁寧「侍り」(〜ます)+強意「ぬ」の未然形「な」+意志「む」。「いまは」は「今はもう」。


Q30.現代語訳せよ。

御前にさぶらふ人々、皆寝入りぬ。

答え:「御前にお仕えしている(お控えしている)人々は、皆寝入ってしまった」 解説:「さぶらふ」(候ふ)は地の文の謙譲の本動詞で「(貴人のそばに)お仕えする・お控えする」。


Q31.現代語訳せよ。

中宮、御物語をいと愛でさせたまふ。

答え:「中宮が、物語をたいそうおほめになる/お賞美になる」 解説:「させたまふ」二重敬語。


Q32.現代語訳せよ。

君も、今宵の月を御覧ずらむ。

答え:「あなたも、今夜の月を(今ごろ)ご覧になっているだろう」 解説:「御覧ず」は「見る」の尊敬語(サ変)。終止形「御覧ず」+現在推量「らむ」。「今ごろ〜ているだろう」の意味は現在推量の「らむ」が表す。


Q33.現代語訳せよ。

「承り侍りぬ」と申す。

答え:「『承りました(お受けいたしました)』と申し上げる」 解説:「承る」謙譲(受ける)+「侍り」丁寧+「申す」謙譲。


Q34.現代語訳せよ。

院、かの僧の事を聞こしめしけり。

答え:「院が、あの僧のことをお聞きになった」 解説:「聞こしめす」尊敬(聞くの尊敬)。


Q35.現代語訳せよ。

我、御前に御文を聞こえつ。

答え:「私は、御前(あの方)にお手紙を差し上げた」 解説:「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語(申し上げる)。手紙を送る意で使うときは「(お手紙を)差し上げる」と訳す。「つ」は完了。


Q36.現代語訳せよ。

「これ、御覧じ候へ」

答え:「『これ、ご覧くださいませ』」 解説:「御覧ず」尊敬+「候へ」丁寧の命令形。


Q37.現代語訳せよ。

帝、蔵人を御前に召す。

答え:「帝が、蔵人を御前にお呼びになる」 解説:「召す」は「呼ぶ」の尊敬語で「お呼びになる」(ほかに「取り寄せる」「着る」「食ふ・飲む」「乗る」の尊敬にも使う)。


Q38.現代語訳せよ。

「殿は今、御寝なる」

答え:「殿は今、お休みになっている」 解説:「御寝なる」尊敬(お休みになる)。「大殿籠る」と同義。


Q39.現代語訳せよ。

上、御歌をあそばす。

答え:「帝が、お歌をお詠みになる」 解説:「あそばす」は「す」の尊敬語で「なさる」。詩歌・管弦など高貴な人の動作に使い、歌なら「お詠みになる」。


Q40.現代語訳せよ。

中宮、女房に御髪をけづらせたまふ。

答え:「中宮が、女房に御髪をとかさせなさる」 解説:「けづら」は四段「けづる」(髪をとかす)の未然形。「女房に」と、させられる人があるので「せ」は使役、「たまふ」は尊敬(中宮への敬意)。「〜させなさる」と訳す。


Q41.現代語訳せよ。

「君のおほせのこと、承りて侍り」

答え:「『あなた様のおおせのことは、承っております(お受けしております)』」 解説:「承る」謙譲+「侍り」丁寧。


Q42.現代語訳せよ。

帝、御物の怪に悩みたまふを、皇后いと心苦しと思しめす。

答え:「帝が、物の怪にお悩みになるのを、皇后はたいそうお気の毒だとお思いになる」 解説:「たまふ」尊敬+「思しめす」尊敬(「思ふ」の尊敬)。


Q43.現代語訳せよ。

御使ひ、御物を奉りて、退き出づ。

答え:「お使いが、お品を差し上げて、退出する」 解説:「奉る」謙譲+「て」接続。


Q44.現代語訳せよ。(会話文)

「我、君のために仕うまつり侍らばや」

答え:「『私が、君のためにお仕えしたいものでございます』」 解説:「仕うまつる」謙譲+「侍り」丁寧+「ばや」(願望)。


Q45.現代語訳せよ。

大納言、いとたけ高くおはす。

答え:「大納言は、たいそう背がお高くいらっしゃる」 解説:「おはす」尊敬(あり・いるの尊敬)。


Q46.現代語訳せよ。

上、雪を御覧じて、「いとをかし」とのたまふ。

答え:「帝が、雪をご覧になって、『たいそう趣がある』とおっしゃる」 解説:「御覧ず」は「見る」の尊敬語。「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語で「おっしゃる」。


Q47.現代語訳せよ。

「我が宿にまかりたりしに、人もなし」

答え:「『私の家に下って(退出して)行ったところ、人もいなかった』」 解説:「まかる」は謙譲で「退出する」(宮中など貴人のもとから下がって、自分の家などへ行く)。「たり」は完了、「し」は過去「き」の連体形。


Q48.現代語訳せよ。

中宮、白き御衣を召したり。

答え:「中宮は、白いお召し物をお召しになっている」 解説:「召す」は「着る」の尊敬語で「お召しになる」(ほかに「呼ぶ」「取り寄せる」「食ふ・飲む」「乗る」の尊敬にも使う)。「たり」は存続(〜ている)。


Q49.現代語訳せよ。

院、御物を賜はせたまふ。

答え:「院が、御品をお与えになる(くださる)」 解説:「賜はす」(賜ふ+す尊敬)+「たまふ」尊敬。最高敬語の重ね。


Q50.現代語訳せよ。

「畏まり侍り」と申す。

答え:「『かしこまりました』と申し上げる」 解説:「畏まる」(恐縮する)+「侍り」丁寧+「申す」謙譲。


標準編 /30


【第3部】応用編(Q51〜Q80)

複合・係り結び・物語表現。


Q51.現代語訳せよ。

帝、御琴をあそばすを、中宮、御簾の内にて聞こしめす。

答え:「帝が、お琴をお弾きになるのを、中宮が、御簾の内でお聞きになる」 解説:「あそばす」「聞こしめす」両方尊敬。


Q52.現代語訳せよ。

「承り侍りて、いとうれしくこそ思ひたまふれ」

答え:「『承りまして、たいそううれしく思っております』」 解説:「承る」謙譲(お受けする・うかがう)+「侍り」丁寧(〜ます)。「たまふれ」は下二段「給ふ」の已然形(係助詞「こそ」の結び)で、会話文で話し手自身の「思ふ」に付く謙譲の補助動詞。「〜ております」と訳す。


Q53.現代語訳せよ。

御使ひ、まうでて、御文を奉る。

答え:「お使いが、参上して、お手紙を差し上げる」 解説:「まうづ」は「行く・来」の謙譲語で「参上する」(連用形「まうで」)。「奉る」は謙譲「差し上げる」。


Q54.現代語訳せよ。

上、若宮をいみじうかなしと思しめす。

答え:「帝は、若宮をたいそういとしいとお思いになる」 解説:「思しめす」は「思ふ」の尊敬語で「お思いになる」(「思す」より敬意が高い)。「かなし」は「いとしい」。


Q55.現代語訳せよ。

「この絵、宮に御覧ぜさせたまへ」

答え:「『この絵を、宮にお見せください』」 解説:「御覧ぜ」(「見る」の尊敬語「御覧ず」の未然形。見る宮への敬意)+使役「さす」の連用形「させ」+尊敬「たまふ」の命令形「たまへ」(話しかけている相手への敬意)。「宮に」と見させる相手があるので「させ」は使役で、「お見せください」と訳す(「ご覧ください」ではない)。


Q56.現代語訳せよ。

大納言、中宮に御琴を奉りたまふ。

答え:「大納言が、中宮にお琴を差し上げなさる」 解説:「奉り」は謙譲「差し上げる」で、受け取る中宮への敬意。「たまふ」は尊敬の補助動詞で、動作をする大納言への敬意。一つの動作に二人への敬意が入る(二方面の敬語)。


Q57.現代語訳せよ。

「我も参り候はむ」

答え:「『私も参上いたしましょう』」 解説:「参る」謙譲+「候は」(候ふ未然)丁寧+「む」推量・意志。


Q58.現代語訳せよ。

帝、もの思はしげにおはしましけり。

答え:「帝は、物思いに沈んでいる様子でいらっしゃった」 解説:「おはします」は「あり」の尊敬語で「いらっしゃる」(「おはす」より敬意が高い)。ここは形容動詞「もの思はしげなり」の連用形に付く補助動詞で、「〜(様子)でいらっしゃる」。


Q59.現代語訳せよ。

中宮、ものもおほせられず。

答え:「中宮は、ものもおっしゃらない」 解説:「仰せらる」二重尊敬+打消「ず」。


Q60.現代語訳せよ。

御使ひ、まかり帰りぬ。

答え:「お使いが、退出して帰ってしまった」 解説:「まかる」謙譲(退出)+完了「ぬ」。


Q61.現代語訳せよ。

「院は、いま御寝にて侍り」

答え:「『院は、いまお休みでございます』」 解説:「御寝」は「寝ること」の尊敬語(お休み)。「にて侍り」は「〜でございます」で、「侍り」は丁寧(聞き手への敬意)。


Q62.現代語訳せよ。

帝、御琵琶を召して、あそばす。

答え:「帝が、琵琶をお取り寄せになって、お弾きになる」 解説:「召す」尊敬(取り寄せる)+「あそばす」尊敬。


Q63.現代語訳せよ。

上、いと心細く思しめすを、女房ども、とかく慰め奉る。

答え:「帝がたいそう心細くお思いになるのを、女房たちがあれこれとお慰め申し上げる」 解説:「思しめす」は「思ふ」の尊敬語で、帝への敬意。「慰め奉る」の「奉る」は謙譲の補助動詞で「お〜申し上げる」(慰められる帝への敬意)。


Q64.現代語訳せよ。

帝、若宮の御顔を御覧じて、笑ませたまふ。

答え:「帝が、若宮のお顔をご覧になって、ほほえみなさる」 解説:「御覧ず」は「見る」の尊敬語。「笑ませたまふ」は四段「笑む」(ほほえむ)の未然形+尊敬「す」+尊敬「たまふ」の二重敬語(帝への最高敬語)。


Q65.現代語訳せよ。(会話文)

「さる人をなむ、昔見たまへし」

答え:「『そのような人を、以前見たことがございます』」 解説:「たまへ」は下二段「給ふ」の連用形(四段なら「たまひ」になる)。会話文で、話し手自身の「見る」に付く謙譲の補助動詞で、「〜ております・〜ました」などと丁重に訳す。「し」は過去「き」の連体形(係助詞「なむ」の結び)。


Q66.現代語訳せよ。

院、御文を遣はす。

答え:「院が、お手紙をお送りになる(お遣わしになる)」 解説:「遣はす」は「遣る」(送る)の尊敬語で「お送りになる・お遣わしになる」。


Q67.現代語訳せよ。

中納言、御前にさぶらひて、御物語申す。

答え:「中納言が、御前にお控えして、お話を申し上げる」 解説:「さぶらふ」は謙譲の本動詞で「お仕えする・お控えする」。「申す」は「言ふ」の謙譲語で「申し上げる」。どちらも、御前の貴人(帝など)への敬意。


Q68.現代語訳せよ。

「いとかしこき御方なれば、畏まり侍り」

答え:「『たいそう恐れ多いお方なので、かしこまっております』」 解説:「畏まる」は「恐縮する」(敬語動詞ではない)。「侍り」は動詞に付く丁寧の補助動詞(〜ます)。


Q69.現代語訳せよ。

中宮、この歌を御覧じて、いみじく愛でたまふ。

答え:「中宮が、この歌をご覧になって、たいそうおほめになる」 解説:「御覧ず」尊敬+「たまふ」尊敬補助。


Q70.現代語訳せよ。

「まうで来つ。仕うまつるべきこと侍らば」

答え:「『参上いたしました。お仕え申し上げるべきことがございましたら…』」 解説:「まうで来」は「来」の謙譲語で「参上する」。「仕うまつる」は謙譲「お仕えする」。「侍ら」は「あり」の丁寧語「侍り」の未然形で、「〜ば」と合わせて「ございましたら」(仮定)。


Q71.現代語訳せよ。

中宮、上の御ために、僧どもに御祈りせさせたまふ。

答え:「中宮が、帝のために、僧たちにご祈祷をさせなさる」 解説:「御祈りせ」はサ変「御祈りす」の未然形。「僧どもに」と、させられる人があるので「させ」は使役、「たまふ」は尊敬(中宮への敬意)。「〜させなさる」と訳す。


Q72.現代語訳せよ。

「御覧ぜさせ奉らばや」

答え:「『(あの方に)お見せ申し上げたい(ご覧に入れたい)ものだ』」 解説:「御覧ぜ」(「見る」の尊敬語「御覧ず」の未然形。見る相手への敬意)+使役「さす」の連用形「させ」+謙譲の補助動詞「奉る」の未然形「奉ら」+自己の願望「ばや」。「ご覧にならせ申し上げたい」=「お見せ申し上げたい・ご覧に入れたい」。


Q73.現代語訳せよ。

帝、かしこく御心を動かしたまふ。

答え:「帝は、たいそうお心をお動かしになる」 解説:「たまふ」尊敬(補助動詞)。


Q74.現代語訳せよ。

「御物を賜はり侍りぬ」

答え:「『御品をいただきました』」 解説:「賜はる」(受身的謙譲)+「侍り」丁寧。


Q75.現代語訳せよ。

御乳母、若君を抱き奉りて、まかり出づ。

答え:「お乳母が、若君をお抱き申し上げて、退出する」 解説:「奉る」謙譲(補助動詞)+「まかり出づ」謙譲。


Q76.現代語訳せよ。

中宮の、御簾のうちにて仰せらるる御声、ほのかにて聞こえず。

答え:「中宮が御簾の内でおっしゃるお声は、かすかで聞こえない」 解説:「仰せらるる」は「仰す」+尊敬「らる」の連体形(二重敬語)で、下の「御声」に続く。「聞こえ」は一般動詞「聞こゆ」(=聞こえる)の未然形+打消「ず」。主語が「御声」なので、謙譲の「聞こゆ」(=申し上げる)ではない。


Q77.現代語訳せよ。

「さやうに仕うまつるべきやうにても侍らず」

答え:「『そのようにいたすべきわけでもございません』」 解説:「仕うまつる」は「仕ふ」の謙譲(お仕えする)のほか、「す」の謙譲(いたす・して差し上げる)にも使う。ここは「さやうに(そのように)」を受けるので「いたす」。「侍ら」は丁寧「侍り」の未然形で、打消「ず」と合わせて「ございません」。


Q78.現代語訳せよ。

帝、御粥を少し召して、夜の御殿に入らせたまふ。

答え:「帝が、おかゆを少し召し上がって、ご寝所にお入りになる」 解説:「召す」は「食ふ」の尊敬語。「入らせたまふ」は四段「入る」の未然形+尊敬「す」+尊敬「たまふ」。させられる人がいないので「せ」は尊敬。


Q79.現代語訳せよ。

院、御衣を奉りて、御所より出でさせたまふ。

答え:「院が、お召し物をお召しになって、御所からお出かけになる」 解説:「奉る」(衣服)尊敬+「させたまふ」二重尊敬。


Q80.現代語訳せよ。

「まかり侍りて、承りたることを申し侍らむ」

答え:「『退出いたしまして、承ったことを申し上げましょう』」 解説:「まかる」謙譲+「侍り」丁寧+「承る」謙譲+「申す」謙譲。


応用編 /30


【第4部】入試レベル(Q81〜Q100)

源氏物語・枕草子など難関大頻出箇所。


Q81.現代語訳せよ。(源氏物語・桐壺)

いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひたまひける中に…

答え:「どの帝の御代であったか、女御や更衣が多くお仕えしていらっしゃった中に」 解説:「候ふ」謙譲+「たまふ」尊敬。


Q82.現代語訳せよ。(源氏物語・桐壺)

いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。

答え:「それほど高貴な身分ではない方で、格別に帝のご寵愛を受けていらっしゃる方がいた」 解説:「たまふ」尊敬。


Q83.現代語訳せよ。(源氏物語・桐壺)

はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方々、めざましきものにおとしめそねみたまふ。

答え:「初めから自分こそはと自負していらっしゃるお方々は、(桐壺更衣を)目障りなものと見下し嫉妬なさる」 解説:「たまへる」「たまふ」尊敬補助動詞。


Q84.現代語訳せよ。(枕草子・第一段)

夏は夜。月の頃はさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる、また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。

答え:「夏は夜(がよい)。月のころは言うまでもない。闇(の夜)もやはり、蛍がたくさん飛び交っている(のがよい)。また、ほんの一つ二つなどが、ほのかに光って飛んでいくのも趣がある。雨などが降るのも趣がある」 解説:枕草子の冒頭は、作者が感じたことを書いた地の文で、敬語を含まない。敬語がないので、訳にも「お〜になる」「〜申し上げる」などを入れない(敬語があるかを見分ける練習)。「をかし」は「趣がある」。


Q85.現代語訳せよ。(枕草子・香炉峰の雪)

「少納言よ、香炉峰の雪、いかならむ」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾を高く上げたれば、笑はせたまふ。

答え:「『少納言よ、香炉峰の雪はどうだろう』とおっしゃるので、御格子を上げさせて、御簾を高く上げると、(中宮が)お笑いになる」 解説:「仰せらる」尊敬二重+「笑はせたまふ」尊敬二重。


Q86.現代語訳せよ。(源氏物語・若紫)

「雀の子を犬君が逃がしつる。伏籠の内に込めたりつるものを」とて、いと口惜しと思へり。

答え:「『雀の子を犬君が逃がしてしまったの。伏籠の中に閉じ込めておいたのに』と言って、たいそう残念だと思っている」 解説:若紫(のちの紫の上)の言葉と、それを語る地の文。この場面の若紫には敬語が使われていない(「思へり」は「思ふ」+存続「り」で、尊敬語の「思す」ではない)。敬語がないので、訳にも入れない。


Q87.現代語訳せよ。(伊勢物語・東下り)

「これなむ都鳥」と言ふを聞きて、…と詠めりければ、舟こぞりて泣きにけり。

答え:「『これが都鳥だ』と(渡守が)言うのを聞いて、…と詠んだので、舟中こぞって泣いてしまった」 解説:敬語を含まない地の文。


Q88.現代語訳せよ。(土佐日記)

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとて、するなり。

答え:「男も書くという日記というものを、女(の私)も書いてみようと思って、書くのである」 解説:土佐日記の冒頭。作者(紀貫之)が女性の書き手という形で書いた文で、敬う相手が出てこないので敬語はない(「す」はふつうの動詞で、ここでは「(日記を)書く」)。訳にも敬語を入れない。「すなる」の「なる」は伝聞(〜という)、「するなり」の「なり」は断定。


Q89.現代語訳せよ。(大鏡)

次の帝、花山院天皇と申しき。…永観二年八月二十八日、位につかせたまふ。御年十七。

答え:「次の帝は、花山院天皇と申し上げた。…永観二年八月二十八日に、ご即位なさる。御年十七歳(であった)」 解説:大鏡(花山院)の書き出し。「申し」は「言ふ」の謙譲語で、そう呼ばれる帝への敬意。「つかせたまふ」は四段「つく」の未然形+尊敬「す」+尊敬「たまふ」の二重敬語(最高敬語)で、帝への敬意。位につくのは帝自身で、させられる人はいないので「せ」は尊敬。


Q90.現代語訳せよ。

入道殿、このことをいとねたく思しめしけり。

答え:「入道殿は、このことをたいそう悔しくお思いになった」 解説:「思しめす」尊敬(思うの尊敬)。


Q91.現代語訳せよ。(源氏物語・桐壺)

上達部、上人なども、あいなく目をそばめつつ、「いとまばゆき人の御おぼえなり。唐土にも、かかる事の起こりにこそ、世も乱れあしかりけれ」と、…もてなやみぐさになりて、楊貴妃のためしも引き出でつべくなりゆくに、いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひたまふ。

答え:「上達部や殿上人なども、なんとなく目をそらしながら、『たいそう見ていられないほどの(更衣への帝の)ご寵愛ぶりだ。唐土(中国)でも、こうしたことが原因で、世の中も乱れ、悪くなったのだ』と、…悩みの種になって、楊貴妃の例も引き合いに出されそうになっていくので、(更衣は)いたたまれないことが多いけれど、(帝の)畏れ多いご愛情が比べるものもないのを頼りにして、宮仕えを続けていらっしゃる」 解説:「御おぼえ」の「御」は、更衣が帝から受けるご寵愛を敬う接頭語。「御心ばへ」は帝のお心づかい。上達部・上人の動作(目をそばむ)には敬語が使われていない。最後の「まじらひたまふ」の「たまふ」は尊敬の補助動詞で、宮仕えを続ける桐壺更衣への敬意。「もて」は接頭語。


Q92.現代語訳せよ。(源氏物語・桐壺)

かしこき御蔭をば頼みきこえながら、おとしめ疵を求めたまふ人は多く、わが身はか弱くものはかなきありさまにて、なかなかなるもの思ひをぞしたまふ。

答え:「(桐壺更衣は、帝の)畏れ多いご庇護をおたのみ申し上げながらも、(更衣を)見下して欠点を探しなさる方々は多く、自分の身はか弱く頼りない様子で、(ご寵愛を受けたために)かえって気苦労の多い物思いをしていらっしゃる」 解説:「頼みきこえ」の「きこえ」は謙譲の補助動詞「きこゆ」(〜申し上げる)で、頼りにされる帝への敬意。「求めたまふ」「したまふ」の「たまふ」は尊敬の補助動詞(四段)で、それぞれ動作をする方々(ほかの女御・更衣)と桐壺更衣への敬意。「ぞ…したまふ」は係り結び(連体形)。


Q93.現代語訳せよ。

宮の御覧じつる絵を、女房、上に奉る。

答え:「宮がご覧になった絵を、女房が帝に差し上げる」 解説:「御覧じ」は「見る」の尊敬語「御覧ず」の連用形で、見る宮への敬意。「奉る」は「与ふ」の謙譲語で、受け取る上(帝)への敬意。同じ文の中でも、敬語ごとに敬う相手が違う。


Q94.現代語訳せよ。(大鏡・道長)

下臈におはしませど、前に立て奉りて、まづ射させ奉らせたまひけるに、帥殿の矢数いま二つ劣りたまひぬ。

答え:「(道長公は帥殿より)官位が下でいらっしゃるが、(中関白殿は道長公を)先に立て申し上げて、まず(道長公に)射させ申し上げなさったところ、帥殿の当たり矢の数が(道長公より)もう二本負けてしまわれた」 解説:大鏡「弓争ひ」の一節。「おはしませ」は「あり」の尊敬語「おはします」の已然形(道長への敬意)。「立て奉り」の「奉り」は謙譲の補助動詞(〜申し上げる、立てられる道長への敬意)。「射させ奉らせたまひ」は上一段「射る」の未然形「射」+使役「さす」(道長に射させる)+謙譲の補助動詞「奉る」(道長への敬意)+尊敬「す」+尊敬「たまふ」(二重敬語・動作をする中関白殿への敬意)。「劣りたまひ」の「たまひ」は尊敬の補助動詞(帥殿への敬意)。


Q95.現代語訳せよ。(源氏物語・夕顔)

「かの白く咲けるをなむ、夕顔と申しはべる」

答え:「『あの白く咲いている花を、夕顔と申します』」 解説:光源氏のひとりごとを聞いた随身が、花の名を答えた言葉。「申し」は「言ふ」の謙譲語、「はべる」は丁寧の補助動詞(係助詞「なむ」の結びで連体形)。どちらも、話し手の随身から聞き手の光源氏への敬意。


Q96.現代語訳せよ。(源氏物語・夕顔)

「花の名は人めきて、かうあやしき垣根になむ咲きはべりける」と申す。

答え:「『花の名は人の名のようで、このような粗末な垣根に咲いているのでございます』と申し上げる」 解説:Q95の続き。「はべり」は丁寧の補助動詞(〜ます・〜ございます)で、随身から聞き手の光源氏への敬意(「なむ…ける」は係り結び)。地の文の「申す」は「言ふ」の謙譲語で、作者から、申し上げる相手の光源氏への敬意。


Q97.現代語訳せよ。(徒然草・第五十二段)

仁和寺にある法師、年寄るまで石清水を拝まざりければ、心憂く覚えて、ある時、思ひ立ちて、ただひとり、徒歩より詣でけり。

答え:「仁和寺にいた法師が、年を取るまで石清水(八幡宮)を参拝していなかったので、残念に思って、ある時、思い立って、ただ一人、徒歩で参詣した」 解説:「詣で」謙譲。


Q98.現代語訳せよ。(更級日記)

あづま路の道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひはじめけることにか、世の中に物語といふもののあなるを、いかで見ばやと思ひつつ、…

答え:「東国への道の果て(常陸の国)よりも、さらに奥の方(上総の国)で育った人(である私)は、どんなにか田舎じみていただろうに、どう思い始めたことなのか、世の中に物語というものがあるそうだが、それをなんとかして見たいと思い続けて、…」 解説:更級日記の冒頭。作者(菅原孝標女)が自分自身のことを書いた文なので、敬語は使われていない(「思ひ」も、尊敬語の「思す」ではなく、ふつうの「思ふ」)。訳にも敬語を入れない。「あなる」は「あるなる」(伝聞)、「見ばや」の「ばや」は自己の願望。


Q99.現代語訳せよ。(平家物語・敦盛最期)

熊谷涙をおさへて申しけるは、「助けまゐらせんとは存じ候へども、味方の軍兵、雲霞のごとく候ふ。よも逃れさせたまはじ。…」

答え:「熊谷が涙をこらえて申し上げたことには、『お助け申し上げようとは存じますが、味方の軍勢が雲や霞のように(大勢)おります。まさかお逃げになることはできますまい。…』」 解説:熊谷直実が敦盛に言う場面。地の文の「申し」は「言ふ」の謙譲語(作者から敦盛への敬意)。「まゐらせ」は謙譲の補助動詞(〜申し上げる)、「存じ」は「思ふ」の謙譲語「存ず」、「候へ」は丁寧の補助動詞「候ふ」の已然形(〜ます)、「候ふ」は「あり」の丁寧語(おります)。「させたまは」は尊敬「さす」+尊敬「たまふ」の二重敬語で、会話文では、天皇・皇族でなくても目上の相手(ここでは平家の公達の敦盛)に使うことがある。「じ」は打消推量。


Q100.現代語訳せよ。(源氏物語・桐壺・冒頭の全体)

いづれの御時にか、女御、更衣あまた候ひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。はじめより我はと思ひ上がりたまへる御方々、めざましきものにおとしめそねみたまふ。同じほど、それより下臈の更衣たちは、まして安からず。朝夕の宮仕へにつけても、人の心をのみ動かし、恨みを負ふ積もりにやありけむ、いと篤しくなりゆき、もの心細げに里がちなるを、いよいよあかずあはれなるものに思ほして、人のそしりをもえ憚らせたまはず、世のためしにもなりぬべき御もてなしなり。

答え:「どの帝の御代であったか、女御や更衣がたくさんお仕えしていらっしゃった中に、それほど高貴な身分ではないが、とりわけご寵愛を受けていらっしゃる方がいた。初めから自分こそはと自負していらっしゃるお方々は、目障りなものと見下し嫉妬なさる。同じ身分、それより下位の更衣たちは、なおさら穏やかではない。朝夕の宮仕えにつけても、人の心ばかりを掻き乱し、恨みを受けることが積もったせいであったのだろうか、たいそう病気がちになり、なんとなく心細げに実家に帰りがちなのを、いよいよ飽くことなく愛おしいものとお思いになって、人の非難をもおさし控えになることができず、世の語り草にもなってしまいそうなお扱いである」 解説:「候ひたまひける」は謙譲「さぶらふ」(帝にお仕えする。帝への敬意)+尊敬「たまふ」(女御・更衣への敬意)。「時めきたまふ」「思ひ上がりたまへる」「おとしめそねみたまふ」の「たまふ」は尊敬の補助動詞。「思ほし」は「思ふ」の尊敬語「思ほす」で帝への敬意。「え憚らせたまはず」の「せたまは」は尊敬+尊敬の二重敬語(帝への最高敬語)。敬語の向きを一つずつ確かめると、省かれた主語を補える。源氏物語冒頭・最頻出。


入試レベル編 /20


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