📖 これは短くまとめた要点版です。 原文の場面ごとの語釈、文法、テストでの問われ方までくわしく読みたい方は 春はあけぼの テスト対策問題|枕草子の解答つきPDF(8,066字)へどうぞ。
春はあけぼのの定期テスト対策問題です。本文を読み、設問に答えてみましょう。問題用紙で解きたい人は下のPDFをどうぞ。解答は記事末尾で確認できます。
本文
春は、あけぼの。やうやう〔①〕白くなりゆく山ぎは、少し明かりて、紫だちたる〔②〕雲の細くたなびきたる。
夏は、夜。月のころはさらなり〔③〕、闇もなほ〔④〕、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし〔⑤〕。雨など降るもをかし。
秋は、夕暮れ。夕日のさして山の端いと近う〔⑥〕なりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへ〔⑦〕あはれなり〔⑧〕。まいて〔⑨〕雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた言ふべきにあらず〔⑩〕。
冬は、つとめて〔⑪〕。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも〔⑫〕いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持て渡るも、いとつきづきし〔⑬〕。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶の火も白き灰がちになりて、わろし〔⑭〕。
設問
1. 現代語訳
1. 傍線部〔①〕「やうやう」の意味を答えよ。
2. 傍線部〔⑤〕「をかし」を、ここでの意味にふさわしく現代語訳せよ。
3. 傍線部〔⑧〕「あはれなり」を、ここでの意味にふさわしく現代語訳せよ。
4. 傍線部〔⑩〕「はた言ふべきにあらず」を現代語訳せよ。
2. 文法・敬語
5. 傍線部〔②〕「紫だちたる」の「たる」、〔⑬〕の直前にもある完了・存続の助動詞「たり」について、ここでの「たる」の意味(完了か存続か)を答えよ。
6. 傍線部〔⑦〕「さへ」の意味(用法)を答えよ。
7. 「春は、あけぼの。」「夏は、夜。」のように、名詞(体言)で文を終える表現技法を何というか答えよ。
8. この章段で、係助詞「こそ」を補ったとき、結びの語はどのような活用形になるか。係り結びの法則を踏まえて答えよ。
9. 傍線部〔⑥〕「近う」は、ある語が音便の形になったものである。もとの形と音便の種類を答えよ。
3. 語句
10. 傍線部〔③〕「さらなり」の意味を答えよ。
11. 傍線部〔⑪〕「つとめて」の意味を答えよ。
12. 傍線部〔⑬〕「つきづきし」の意味を答えよ。
13. 傍線部〔⑭〕「わろし」の意味を答えよ。
14. 傍線部〔④〕「なほ」の意味を答えよ。
15. 傍線部〔⑨〕「まいて」の意味と、もとの形を答えよ。
16. 傍線部〔⑫〕「さらでも」の意味を答えよ。
4. 内容理解
17. 作者は四季それぞれについて、最も趣のある時間帯を挙げている。春・夏・秋・冬それぞれにふさわしいとされた時間帯を、本文の語で答えよ。
5. 文学史
18. 『枕草子』の作者名と、この作品のジャンル(文学の種類)を答えよ。
解答・解説
1. だんだん(と)・しだいに 「やうやう」は「だんだん」「しだいに」の意味の副詞。漢字では「漸う」。夜が明けて少しずつ空が白んでいく様子を表す。
2. 趣がある・風情がある 「をかし」は明るく知的に「おもしろい・趣がある」と感じる美意識。夏のほのかな蛍の光や雨に対して、作者が感じた「趣のよさ」を表す。
3. しみじみと心打たれる・しみじみとした趣がある 「あはれなり」は、思いがけず心を揺さぶられる、しみじみとした感動を表す形容動詞。烏が寝床へ飛び急ぐ夕暮れの情景に対する感慨。明るく知的な「をかし」との違いを押さえること。
4. やはり(改めて)言うまでもない・言うまでもないことだ 「はた」は「やはり・また」、「言ふべきにあらず」は「言うまでもない(言うのもおろかだ)」の意。秋の日没後の風の音・虫の音のすばらしさは、言うまでもないということ。
5. 存続 ここでの「たり(たる)」は「〜ている・〜ていた」と訳す存続の意味。「紫だちたる雲」=「紫がかっている雲」。本文の「たなびきたる」「飛びちがひたる」なども同様に存続。完了「〜てしまった」ではない点に注意。
6. 添加(〜までも) 「さへ」は「〜までも」と添加(あるものに別のものを加える)を表す副助詞。「飛び急ぐさへあはれなり」=「飛び急ぐ様子までもがしみじみと趣深い」。限定の「だに」や類推とは区別する。
7. 体言止め 名詞(体言)で文を結ぶ表現技法。「あけぼの」「夜」「夕暮れ」「つとめて」で各季節の文を止め、余韻を残している。
8. 已然形(になる) 係り結びの法則では、係助詞「こそ」が文中にあると、結びの語は已然形で結ぶ。なお「ぞ・なむ・や・か」の場合は連体形で結ぶ。本文自体は体言止めだが、係り結びの基本として「こそ→已然形」を押さえておく。
9. もとの形=「近く」/ウ音便 形容詞「近し」の連用形「近く」の「く」が「う」に変わったウ音便。「いと近うなりたるに」=「たいそう近くなったところに」。古文では「多く→多う」「白く→白う」など、形容詞連用形のウ音便が頻出する。
10. 言うまでもない 「さらなり」は「言うまでもない・もちろんだ」の意。「月のころはさらなり」=「月の(出ている)ころは言うまでもない(すばらしい)」。
11. 早朝・明け方 「つとめて」は「早朝」、または「(何かがあった)翌朝」の意。「務めて」ではない。冬は早朝がよい、という文脈。
12. 似つかわしい・ふさわしい 「つきづきし」は「似つかわしい・ふさわしい・調和している」の意の形容詞。寒い早朝に火を急いでおこし炭を運ぶ様子が、冬の朝にいかにもふさわしい、ということ。
13. よくない・好ましくない 「わろし」は「よくない・感心しない」の意。「悪し(あし)」(=悪い・劣悪だ)より程度が軽く、「あまり感心しない・興ざめだ」というニュアンス。昼になって火桶の火が白い灰だらけになる様子を「わろし」と評している。
14. やはり・それでもやはり 「なほ」は「やはり・依然として」の意の副詞。「月のころはさらなり、闇もなほ」=「月の出ているころは言うまでもない、闇夜もやはり(趣がある)」。月夜のよさを述べたうえで、闇夜も劣らずよいと重ねている。
15. 意味=まして・いっそう/もとの形=「まして」 「まして」が音便化した形。烏が二つ三つ飛び急ぐ様子さえ趣深いと述べたうえで、「まいて雁などのつらねたるが」=「まして雁などが列を連ねているのが」と、いっそう趣が深いものへ話を進めている。
16. そうでなくても 「さ(そう)+あら+で(打消接続)+も」が縮まった形で「そうでなくても」の意。ここは「霜がたいそう白いのも、またそうでなくても(霜が降りていなくても)たいそう寒いときに」と、冬の朝の寒さを重ねて述べている。
17. 春…あけぼの(明け方)/夏…夜/秋…夕暮れ/冬…つとめて(早朝) 作者は四季それぞれに最も趣のある時間帯を挙げる。春は明け方、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝。この四季と時間帯の対応はテストの最頻出ポイント。
18. 作者…清少納言/ジャンル…随筆 『枕草子』は平安時代中期に清少納言が著した随筆。日本三大随筆(枕草子・方丈記〔鴨長明〕・徒然草〔兼好法師〕)の一つで、「をかし」の文学と呼ばれる。一条天皇の中宮定子に仕えた体験などがつづられている。


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