徒然草『序段(つれづれなるままに)』をやさしく解説|現代語訳・重要語句・読解のポイント

徒然草『序段(つれづれなるままに)』をやさしく解説|現代語訳・重要語句・読解のポイント 作品解説
徒然草『序段』作品カード(基本データ:成立・作者・ジャンル・内容)の図解
生徒
生徒「つれづれなるままに〜」って暗記の宿題で出たんですけど、たった一文ですよね? どこがテストに出るんですか?
先生
先生いいところに気づいたね。短いけど定期テスト超頻出なんだ。ねらわれるのは「重要語句の意味」と「こそ〜已然形の係り結び」。この2つを軸に読んでいこう。

1. はじめに ― 「序段(つれづれなるままに)」ってどんな場面?

『徒然草(つれづれぐさ)』は、鎌倉時代の末期に兼好法師(吉田兼好)が書いたとされる随筆です。随筆とは、見聞きしたことや感じたことを、筆の進むままに自由につづった文章のことです。

その『徒然草』のいちばん最初に置かれた短い文章が、この「序段」です。わずか一文ですが、「自分はなぜ、どんなふうにこの本を書いているのか」という動機が語られた、作品全体の入り口にあたる部分です。暗誦(あんしょう=そらで言えるようにすること)の課題になることも多い、定期テスト超頻出の箇所です。

2. 原文

つれづれなるままに、日暮らし、硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

3. 現代語訳(やさしい言葉で)

徒然草『序段』心の流れ(退屈にまかせて→硯に向かう→書く)の図解

することもなく退屈なのにまかせて、一日中、硯(すずり)に向かって、心に次々と浮かんでは消えていくとりとめのないことを、これというあてもなく書きつけていると、(自分でも)妙に、気が変になりそうな心地がすることだ。

「いつ(一日中)」「何をして(硯に向かって書きつけて)」「どう感じたか(妙に気が変になりそうだ)」という流れを、原文と一語ずつ対応させながら覚えると、現代語訳の問題に強くなります。

先生
先生訳すコツは「いつ・何をして・どう感じたか」の3点で区切ること。一文まるごとだと長く見えるけど、区切れば全然こわくないよ。

4. 重要語句・文法のポイント

徒然草『序段』おさえたい重要古語(つれづれなり・よしなしごと・あやし・ものぐるほし)の図解

覚えておきたい語句

語句意味
つれづれなりすることがなく退屈だ・手持ちぶさただ
日暮らし朝から晩まで・一日中
硯(すずり)墨をする道具
よしなしごととりとめのないこと。「由(よし)=わけ・筋道」が「なし」+「事」という成り立ち
そこはかとなしこれというあてもない・とりとめもない
あやし妙だ・不思議だ
ものぐるほし気が変になりそうだ・狂おしいほどだ

文法・表現のポイント

① 「こそ〜已然形」の係り結び 「あやしうこそものぐるほしけれ」は、係助詞「こそ」を受けて、文末がシク活用形容詞「ものぐるほし」の已然形「ものぐるほしけれ」で結ばれています。意味を強調する働きで、この序段で最大のテストポイントです。

② 已然形+「ば」(順接の確定条件) 「書きつくれば」は、「書きつく」の已然形「書きつくれ」+「ば」で、「書きつけていると」という意味です。未然形+「ば」(もし〜なら)との区別がよく問われます。

③ ウ音便 「あやしう」は、形容詞「あやし」の連用形「あやしく」の「く」が「う」に変わったウ音便です。意味は「妙に・不思議に」。

④ 「つれづれなるままに」の「なる」 形容動詞「つれづれなり」(ナリ活用)の連体形です。「つれづれなり」は「することがなく退屈だ」の意味で、「なる」はその連体形の語尾にあたります。続く「ままに」は「〜にまかせて・〜のままに」の意味で、全体で「退屈なのにまかせて」となります。

生徒
生徒「あやしう」って「怪しい」じゃないんですね! うっかり「あやしい=怪しい」って訳しちゃいそうです…。
先生
先生まさにそこがひっかけ。古文の「あやし」は妙だ・不思議だが基本だよ。あとで「つまずきやすいポイント」でまとめて確認しよう。

5. 主題・あらすじ・背景

徒然草『序段』読解の3つのポイント(係り結び・確定条件・書名の由来)の図解

あらすじ(この一文が言っていること)

退屈にまかせて一日中机に向かい、心に浮かぶとりとめのないことをあてもなく書きつけていると、自分でも不思議なくらい、気が変になりそうな心地がしてくる――。『徒然草』という本を書き始めたきっかけそのものを語った一文です。

主題

「書くこと」に夢中になっていくときの、不思議で高ぶった心の状態が主題です。結びの「ものぐるほしけれ」という強い言葉に、書くことに没頭していく作者の心が表れています。

背景 ― 書名の由来と文学史

書名『徒然草』は、書き出しの「つれづれ」から取られたと考えられています。作者の兼好法師は出家した人物なので「法師」と呼ばれます。清少納言『枕草子』・鴨長明『方丈記』と合わせて「三大随筆」と総称され、『徒然草』はその中でいちばん新しい作品です。作者・ジャンル(随筆)・時代(鎌倉時代末期)・三大随筆は、文学史問題の定番としてセットで覚えましょう

確認クイズ(3問)

Q1. 「つれづれなるままに」の意味として最も適切なものはどれ?

ア することもなく退屈なのにまかせて イ 友人と連れだって歩きながら ウ 悲しい気持ちをこらえて

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正解:ア 解説:「つれづれ」は「することがなく退屈なさま・所在なさ」のこと。「なるままに」で「〜であるのにまかせて」となります。

Q2. 「あやしうこそものぐるほしけれ」の「ものぐるほしけれ」の活用形はどれ?

ア 終止形 イ 已然形 ウ 連体形

答えを見る

正解:イ 解説:係助詞「こそ」の結びなので已然形になります。「こそ」がなければ、終止形「ものぐるほし」で終わるところです。

Q3. 『徒然草』の作者は誰?

ア 鴨長明 イ 清少納言 ウ 兼好法師

答えを見る

正解:ウ 解説:『徒然草』の作者は兼好法師(吉田兼好)です。アの鴨長明は『方丈記』、イの清少納言は『枕草子』の作者です。

6. 一語ずつ対応させる「逐語訳」トレーニング

序段はわずか一文ですが、現代語訳の問題では「どの古語がどの訳語になるか」を一語ずつ問われます。原文と訳を区切りごとに並べてみると、対応関係がはっきり見えてきます。次の表で、左の原文を右の訳とぴったり重ねながら声に出して読むと、暗記がぐっと楽になります。

  • つれづれなるままに → することもなく退屈なのにまかせて
  • 日暮らし → 朝から晩まで、一日中
  • 硯に向かひて → 硯(すずり)に向かって
  • 心にうつりゆく → 心に次々と浮かんでは消えていく
  • よしなしごとを → とりとめのないことを
  • そこはかとなく → これというあてもなく、とりとめもなく
  • 書きつくれば → 書きつけていると
  • あやしう → 妙に、不思議なほど
  • こそ〜ものぐるほしけれ → (強調して)気が変になりそうな心地がすることだ

こうして区切ると、「一日中・机に向かって・心に浮かぶことを・あてもなく書いていたら・変な心地になった」という、たった一つの心の動きを順番に述べただけの文だと分かります。長く見える一文も、区切れば怖くありません。

先生
先生この逐語訳の表は、原文と訳をセットで音読すると効果バツグン。暗誦の宿題もこれでスッと頭に入るよ。

7. もう一歩くわしい文法解説

「ものぐるほし」はシク活用の形容詞

結びの「ものぐるほし」は、シク活用の形容詞です。シク活用の已然形は「〜しけれ」の形になります。だから「こそ」を受けた結びが「ものぐるほしけれ」となるのです。もし「こそ」がなければ、文は終止形「ものぐるほし」で終わります。「こそ」があるかないかで文末の形が変わる、という点が係り結びの核心です。

「あやしう」は連用形+ウ音便

「あやしう」はもともと形容詞「あやし」の連用形「あやしく」です。その「く」が発音しやすいように「う」へ変わったものをウ音便といいます。「あやしく」→「あやしう」と頭の中で戻せると、品詞分解の問題で迷いません。ここでは続く「ものぐるほしけれ」を修飾し、「妙に(気が変になりそうだ)」という意味になります。

「うつりゆく」の連体修飾

「心にうつりゆくよしなしごと」の「うつりゆく」は、後ろの名詞「よしなしごと」をくわしく説明している連体修飾の形です。「心に次々と移り変わっていく、とりとめのないこと」とまとめて訳します。「うつる」は今の「映る」ではなく、「移る=次々に移り変わる」の意味でとらえるのがポイントです。

「に」の見分け方

「硯に向かひて」「心にうつりゆく」の「に」は、どちらも場所や方向を示す格助詞です。一方、「つれづれなるままに」の「なる」は、形容動詞「つれづれなり」(ナリ活用)の連体形の語尾であって、助詞の「に」とは別物です。さらに「ままに」の「に」は格助詞で、これとも区別します。同じ音でも働きが違うので、文の中での役割で見分けましょう

8. つまずきやすいポイントと入試での問われ方

  • 「あやし」を「あやしい=怪しい」と訳してしまう……古文の「あやし」は「妙だ・不思議だ」が基本。ここでは「(自分でも)妙に」の意味で、犯人を疑うような「怪しい」ではありません。
  • 「ものぐるほし」を「物狂い=狂人」と訳してしまう……「気が変になりそうだ・狂おしいほどだ」という心の高ぶりを表す形容詞で、人を指す名詞ではありません。
  • 「書きつくれば」を「もし書いたら」と訳してしまう……これは已然形+「ば」なので「書きつけていると(順接の確定条件)」。未然形+「ば」(もし〜なら、という仮定)と混同しないよう注意します。
  • 係り結びの結びを見落とす……「こそ」を見つけたら、文末が已然形になっているか必ず確認します。「ものぐるほしけれ」が已然形だと答えられるかがテストの分かれ目です。

定期テストや入試では、(1)「つれづれ」「よしなしごと」「あやし」「ものぐるほし」の語句の意味、(2)「こそ〜けれ」の係り結びの説明、(3)「書きつくれば」の文法(已然形+ば=確定条件)、(4)書名『徒然草』の由来、(5)作者・ジャンル・三大随筆といった文学史、の五つがくり返し問われます。逆に言えば、この五つを押さえれば序段の問題はほぼ取りきれます。

生徒
生徒出るところがこの五つに絞れるなら、なんだか覚えられそうな気がしてきました!
先生
先生その意気だよ。短い一文だからこそ、ここで取り切れば差がつく。下のミニ練習問題で、さっそく力試ししてみよう!

9. ミニ練習問題(解答つき)

問1 傍線部「よしなしごと」を現代語に訳しなさい。

問2 「あやしうこそものぐるほしけれ」には係り結びが使われている。係りの助詞と、結びの語(そのままの形で)を抜き出しなさい。

問3 「書きつくれば」の「ば」は、ここでは「もし〜なら」と「〜すると」のどちらの意味か答えなさい。

問4 書名『徒然草』は、本文中のどの言葉に由来すると考えられているか、本文から抜き出しなさい。

〔解答〕

  1. とりとめのないこと(つまらない、たわいもないこと)。
  2. 係りの助詞=こそ/結びの語=ものぐるほしけれ(已然形)。
  3. 「〜すると(〜していると)」。已然形+「ば」なので、順接の確定条件を表す。
  4. つれづれ(「つれづれなるままに」の「つれづれ」)。

10. よくある質問(Q&A)

Q. 「序段」と「第一段」は同じものですか?
A. 本によって呼び方が分かれますが、この「つれづれなるままに…」の一文を、多くの教科書では「序段(じょだん)」と呼んで、本編の各段と区別しています。作品全体の前書きにあたる部分、というイメージでとらえれば大丈夫です。

Q. 「つれづれ」は「ひまでつまらない」という悪い意味ですか?
A. 「することがなく手持ちぶさただ」という状態を表す言葉で、それ自体に良い悪いの判断はありません。ここではむしろ、その静かな時間が「書く」という行いにつながっていく、落ち着いたひとときとして描かれています。

Q. 「ものぐるほしけれ」はマイナスの気持ちですか?
A. 「気が変になりそうだ」という強い言葉ですが、ここでは苦しさというより、書くことに夢中になって心が高ぶっていくさまを表しています。「われを忘れるほど熱中している」という前向きな興奮として読むのが自然です。

Q. 全部暗記しないとダメですか?
A. 序段は短く、暗誦の課題にもよく出ます。原文・現代語訳・重要語句・係り結びの四点を結びつけて覚えれば、テストのどの問われ方にも対応できます。丸暗記よりも「意味と文法をセットで」覚えるのがおすすめです。

先生
先生短い一文だからこそ、ていねいに向き合えば必ず得点源になるよ。意味と文法をセットで、ゆっくり身につけていこう。応援してるよ!

まとめ

・序段は、『徒然草』を書く動機を語った一文。

・「つれづれ」=することがなく退屈なさま。書名の由来にもなった最重要語

・「こそ〜已然形(ものぐるほしけれ)」の係り結びが最頻出ポイント。

・「書きつくれば」は已然形+「ば」で「書きつけていると」(順接の確定条件)。

・作者は兼好法師。ジャンルは随筆で、『枕草子』『方丈記』と合わせて三大随筆。

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