枕草子のあらすじ|春はあけぼの・清少納言・をかしをやさしく解説

枕草子のあらすじ|春はあけぼの・清少納言・をかしをやさしく解説 作品解説

春はあけぼの」で始まる『枕草子』は、清少納言が書いた日本初の随筆です。明るく知的な「をかし」の文学として知られます。あらすじ(章段のタイプ)とテストのポイントをやさしく整理しました。

生徒
生徒枕草子って、結局なにをおさえればいいんですか? 覚えることが多そうで…。
先生
先生大丈夫。まずは清少納言・随筆・をかしの3点だけでいいよ。あとは少しずつ足していこう。

枕草子の基本データ

成立 平安時代中期(1000年ごろ)
作者 清少納言(一条天皇の中宮・定子に仕えた女房)
ジャンル 随筆(日本最初の随筆)
文学的特徴 知的で明るい美意識「をかし」(=趣がある・すてき)

3つの章段タイプ

類聚(るいじゅう)的章段 「うつくしきもの」「すさまじきもの」など、テーマで物を集めて並べる段
日記的章段 中宮定子のサロンでの出来事を回想する段
随想的章段 「春はあけぼの」のように、自然や人生への感想を述べる段

有名な冒頭「春はあけぼの」

四季それぞれの「をかし」と感じる時間帯・情景を述べます。春は明け方、夏は夜、秋は夕暮れ、冬は早朝——という有名な段です。短いので暗唱問題にもよく出ます。

テストで問われる古文ポイント

  • キーワード「をかし」=趣がある/「あはれ」=しみじみと心打たれる。意味が現代と違うので要注意。
  • 形容詞・形容動詞が多用される文体。活用や語尾から品詞を見分ける問題が出ます。
  • 係助詞による係り結びも頻出。

「をかし」と「もののあはれ」

枕草子の「をかし」(明るく知的)は、源氏物語の「もののあはれ」(しみじみとした情緒)と対比して問われることが多いです。源氏物語とセットで覚えましょう。

先生
先生コツは枕草子=をかし、源氏物語=もののあはれを必ずセットで覚えること。片方だけだと取りちがえやすいんだ。

テスト直前チェック

  • 作者=清少納言、仕えた中宮=定子、ジャンル=随筆
  • 美意識=「をかし」(⇔源氏の「もののあはれ」)
  • 冒頭=「春はあけぼの

清少納言ってどんな人?

清少納言(せいしょうなごん)は、平安時代中期の女性です。「清少納言」というのは本名ではなく、宮中で働くときに使った呼び名(女房名)です。「清」は、和歌の名家である清原(きよはら)氏の出身であることを表し、父は『後撰和歌集』の選者の一人としても知られる歌人清原元輔(きよはらのもとすけ)でした。歌の教養が豊かな家に生まれ育ったことが、彼女の知的で機転のきいた文章の土台になっています。

清少納言は、一条天皇のきさき(中宮)であった定子(ていし/さだこ)に女房(お仕えする女性)として出仕しました。定子のまわりには教養あふれる人々が集まり、機知に富んだ会話が交わされる華やかなサロンができあがっていました。清少納言は、その明るく洗練された宮廷生活のなかで見聞きしたことや、自分の感じたことを書きとめていきました。それをまとめたのが『枕草子』です。なお、同じころに『源氏物語』を書いた紫式部は、定子のライバルであった中宮彰子(しょうし)に仕えており、二人は直接の同僚ではありません。テストでは「清少納言=定子」「紫式部=彰子」の組み合わせがよく問われます。

生徒
生徒清少納言と紫式部が、別の中宮に仕えていたっていうのが、いつもごちゃごちゃになります…。

「枕草子」という題名の意味

「枕草子」の「草子(草紙)」とは、紙をとじてつくった冊子(ノートのようなもの)のことです。問題は「」の意味で、これには昔からいくつかの説があり、はっきりとは決まっていません。代表的なのは、定子の兄である藤原伊周(これちか)が献上した上等な紙を前にして、「これに何を書こうか」と話したときに、清少納言が「枕にこそは(=枕にいたしましょう)」と答えた、という巻末の記述にもとづく説です。手もとに置いて気軽に書きつける身近なノート、という親しみがこの題名にはこめられています。テストで「随筆=筆にまかせて自由に書いた文章」という定義とあわせて覚えておくとよいでしょう。

有名な章段をもう少しくわしく

『枕草子』には約三百もの章段があるといわれますが、ここでは高校でよく扱われる代表的な段を、原文の一節と現代語訳でのぞいてみましょう。古語の感覚をつかむことが、読解問題を解く近道になります。

① 春はあけぼの(第一段)

【原文】春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。

【現代語訳】春は明け方(がすばらしい)。だんだんと白んでいく山ぎわのあたりが、すこし明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいている(その様子がよい)。

ここでは「春はあけぼの(がよい)」のように、結びの言葉がはぶかれているのがポイントです。「をかし」や「よし」などの言葉を補って読むのがコツで、入試でも「省略されている語を補え」という形で問われます。「やうやう」は「だんだん・しだいに」、「山ぎは」は「空と接する山の上のあたり(空のほう)」を指す言葉で、地上に近い「山の端(は)」と混同しないよう注意しましょう。

先生
先生「山ぎは」は空のほう、「山の端」は山のほう。よく入れ替えで出されるから、ここはしっかり区別しておこう。

② うつくしきもの

【原文】うつくしきもの。瓜にかきたるちごの顔。雀の子の、ねず鳴きするにをどり来る。

【現代語訳】かわいらしいもの。瓜に描いた幼児の顔。雀の子が、(人が)ちゅっちゅっと音を立てて呼ぶと、はねるようにしてやって来る(様子)。

この「うつくし」は、現代語の「美しい(beautiful)」ではなく、「かわいらしい・いとしい」という意味です。小さなもの・幼いものへのいつくしみを表します。意味のずれる古語の代表例として、ほぼ必ずテストに出ます。

③ 中納言参りたまひて

定子の弟・中納言隆家(たかいえ)が、めったにないほど立派な扇の骨を手に入れたと自慢します。「まだ見たことのないような骨だ」と言う隆家に、清少納言が「それなら(誰も見たことのない)くらげの骨でしょう」と機知に富んだ返しをして、その場を笑わせる段です。当意即妙の会話のおもしろさ(=「をかし」)がよく表れており、清少納言らしさを味わえる章段として有名です。

つまずきやすいポイント

  • 「をかし」と「あはれ」を逆に覚える…「をかし」は明るく知的に「趣がある・おもしろい」、「あはれ」はしみじみと「心打たれる」。枕草子=をかし、源氏物語=もののあはれ、と作品ごとセットで覚えると混乱しません。
  • 清少納言と紫式部の取りちがえ…枕草子=清少納言(仕えた相手は定子)、源氏物語=紫式部(仕えた相手は彰子)。名前と作品とお仕えした中宮の三点をひとまとめにしましょう。
  • 「うつくし」を「美しい」と訳す…正しくは「かわいらしい」。同様に「あやし=不思議だ・身分が低い」「ありがたし=めったにない」など、意味のずれる古語に注意。
  • 章段タイプの区別があいまい…「○○なもの」と物を並べるのが類聚的章段、宮中の思い出を語るのが日記的章段、自然や人生への感想が随想的章段です。
生徒
生徒「うつくし」をつい「美しい」って訳しちゃいそうです。正しくはかわいらしい、ですね!

入試・定期テストでの問われ方

  • 文学史の知識問題…「作者は誰か」「ジャンルは何か」「同時代の作品(源氏物語・紫式部)との関係」を選ぶ形式。
  • 古語の意味…「をかし」「あはれ」「うつくし」などの語義を、文脈に合うものから選ぶ・現代語訳する形式。
  • 暗唱・空所補充…「春はあけぼの」の段は短く有名なので、書き取りや空所をうめる問題が定番です。
  • 文法…形容詞・形容動詞の活用、係り結び(ぞ・なむ・や・か+連体形/こそ+已然形)が頻出。

ミニ練習問題(解答つき)

  1. 『枕草子』の作者と、その人が仕えた中宮の名を答えなさい。
  2. 「うつくしきもの」の「うつくし」を、現代語の意味で答えなさい。
  3. 「春はあけぼの」に続けて、夏・秋・冬それぞれで「をかし」とされる時間帯を答えなさい。
  4. 『枕草子』の美意識を表すキーワードと、『源氏物語』の美意識を表すキーワードを、それぞれ答えなさい。

【解答】1. 作者=清少納言/中宮=定子 2. かわいらしい(いとしい) 3. 夏=夜、秋=夕暮れ、冬=早朝(つとめて) 4. 枕草子=をかし/源氏物語=もののあはれ

先生
先生全部すらすら言えたら合格ライン。あとは春はあけぼのを声に出して暗唱できれば、もう怖いものなしだよ。

よくある質問(Q&A)

Q.『枕草子』はいつごろ書かれたのですか。
A.平安時代中期、西暦1000年ごろと考えられています。一つの日に書き上げられたものではなく、清少納言が定子に仕えていた前後の期間に少しずつ書きためたものとされます。

Q.「随筆」とはどういう意味ですか。
A.「随筆」とは、見聞きしたことや感じたことを、形式にとらわれず筆にまかせて自由につづった文章のことです。『枕草子』はその日本で最初の作品とされ、のちに鴨長明の『方丈記』、兼好法師の『徒然草』へと受けつがれていきます。この三つは「三大随筆」と呼ばれます。

Q.清少納言と紫式部は仲が悪かったのですか。
A.二人は仕えた中宮がちがい(清少納言は定子、紫式部は彰子)、宮中で同じ時期に机を並べた同僚ではありません。紫式部が日記の中で清少納言の人物評を書き残してはいますが、直接やり取りした記録は確認されていません。テストでは「ライバル関係」というより「作風の対比(をかし⇔もののあはれ)」として問われることが多いです。

まとめ

『枕草子』は、清少納言が中宮定子に仕えた華やかな宮廷生活を背景に書いた、日本最初の随筆です。明るく知的な美意識「をかし」を代表する作品で、「春はあけぼの」の冒頭はとくに有名です。章段は「類聚/日記/随想」の三タイプに分けられ、古語では「をかし」「あはれ」「うつくし」の意味のずれがねらわれます。作者=清少納言、中宮=定子、ジャンル=随筆、美意識=をかし——この四点と、源氏物語(紫式部・もののあはれ)との対比をおさえれば、テスト対策はばっちりです。

📝 確認クイズ

読んだあとの腕だめし。「▶ 答えと解説」を開く前に、まず自分で考えてみましょう。

Q1. 『枕草子』の作者は誰ですか。

  • ア.紫式部
  • イ.兼好法師
  • ウ.清少納言
▶ 答えと解説

ウ.清少納言
枕草子は、一条天皇の中宮・定子に仕えた女房である清少納言が書きました。

Q2. 『枕草子』のジャンルは何ですか。

  • ア.随筆(日本最初の随筆)
  • イ.歌物語
  • ウ.作り物語
▶ 答えと解説

ア.随筆(日本最初の随筆)
枕草子は清少納言が書いた日本初の随筆です。

Q3. 『枕草子』を代表する美意識を表すキーワードはどれですか。

  • ア.無常観
  • イ.をかし
  • ウ.もののあはれ
▶ 答えと解説

イ.をかし
枕草子は「をかし」(趣がある・すてき)という知的で明るい美意識で知られます。

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