古文「侍り・候ふ」の識別を完全攻略|丁寧語か補助動詞かを見抜く4つのステップ

古文『侍り』識別 ヒーローアイキャッチ 古典文法

古文の「侍り」「候ふ」は、試験で頻出でありながら多くの高校生が苦手とする識別ポイントです。同じ語に見えて、本動詞として「ある/いる」を丁寧に表すこともあれば、他の動詞のあとに付いて補助動詞として「〜です/〜ます」の意味になることもあります。

生徒
生徒「侍り」って同じ形なのに、本動詞だったり補助動詞だったり…どこを見ればいいんですか?
先生
先生見るのは直前の語の形だけ。連用形なら補助動詞、それ以外なら本動詞。この記事でその一点を体に染み込ませよう。
古典って何くん
古典って何くん

「侍り」と「候ふ」って何が違うの?

古典の先生
古典の先生

基本は同じ機能だよ。どちらも本動詞補助動詞かで2分類。直前が連用形なら補助動詞、単独なら本動詞、と機械的に判定できる。

この記事では「侍り・候ふ」の識別を、最終確認できる早見表 → 全体像をつかむ判別フローチャート → 基本パターンを一覧するSTEP 0 → 本丸のSTEP 1・2(本動詞と補助動詞) → 例文で仕上げる、の順で解説します。

【結論】古文「侍り・候ふ」の識別、これで完結

古文「侍り」の識別、これで完結。単独で文末→本動詞(あります)/連用形の後→補助動詞(丁寧)

「侍り・候ふ」の判別は、直前の語が連用形か否かを見るだけ。原則は2パターンです。

  • 単独で使われる(文末・体言のあと) → 本動詞・丁寧(あります/おります)
  • 動詞・形容詞の連用形のあと → 補助動詞・丁寧(〜です/〜ます)
  • 共通:話し手から聞き手・読み手への丁寧の敬意(尊敬・謙譲ではない)

「侍り」と「候ふ」は意味・用法がほぼ重なりますが、「侍り」は平安時代の物語・日記・随筆(『源氏物語』『枕草子』『土佐日記』など)に、「候ふ」は鎌倉時代以降の軍記物や武家の手紙文(『平家物語』以降)に多く登場します。

「侍り・候ふ」の識別:判別フローチャート【図解】

判別フローチャート:直前と直後を確認しよう。単独で使われているか→本動詞/活用語の連用形に接続しているか→補助動詞

まず直前と直後を必ずセットで確認します。「侍り・候ふ」の前にあるのが何かで、本動詞か補助動詞かが決まります。

  • 単独で使われている(直前が体言・副詞、または文頭) → 本動詞「あります/おります」
  • 活用語の連用形のあとに接続 → 補助動詞「〜です/〜ます」

連用形とそれ以外で2分類するだけ。「書きて侍り」のように間に「て」が入る場合も、その前の「書き」が連用形であれば補助動詞と判定します。

先生
先生コツは「直後」じゃなく直前を見ること。「て」が挟まっても惑わされず、「て」の前の語まで戻って連用形かを確かめよう。

【STEP 0】「侍り・候ふ」の基本パターン早見表

STEP 0 『侍り』の基本パターン早見表。①本動詞(あります)単独で文末・例「花侍り」 ②補助動詞(丁寧)連用形の後・例「ここに候ふ」

STEP 1・2に進む前に、「侍り・候ふ」の基本パターンを頭に入れておきます。直前と直後をセットで確認すれば、必ずこのどれかに収まります。

  • ①本動詞(あります):単独で文末。例「花侍り」(花がございます)
  • ②補助動詞(丁寧):連用形のあと。例「ここに候ふ」(ここにおります)

活用は、「侍り」がラ変(侍ら/侍り/侍り/侍る/侍れ/侍れ)、「候ふ」がハ行四段(候は/候ひ/候ふ/候ふ/候へ/候へ)。文中で「侍る」「候へば」などの形で出てきても、識別の手順は同じです。

【STEP 1】単独で文末=本動詞「あります」

STEP 1 単独で文末=本動詞「あります」。単独で『あり・居り』の丁寧語!

「侍り・候ふ」が単独で文末に来る場合、それは本動詞です。「あり」「居り」の丁寧語として、「ある/いる」を丁寧に表します。話し手が聞き手に対して、自分や周囲の存在・状態を丁重に述べる場面で使われます。

  • 訳:あります/おります/ございます
  • 敬意:話し手から聞き手・読み手への丁寧
  • 直前:体言・副詞、または文頭(連用形ではない)

例文:「花侍り」(花がございます)、「ここに候ふ」(ここにおります)。「あり・居り」を聞き手への敬意を込めて使った形、と理解すると意味の取り違えが減ります。

【STEP 2】連用形+侍り・候ふ=補助動詞

STEP 2 連用形+侍り・候ふ=補助動詞。動詞の連用形につく!例:読み侍り(読みます)、申し候ふ(申します)

直前に動詞・形容詞・形容動詞の連用形がある場合、「侍り・候ふ」は補助動詞です。文全体に丁寧の意を添える働きで、「〜です/〜ます」と訳します。

  • 訳:〜です/〜ます
  • 敬意:話し手から聞き手・読み手への丁寧
  • 直前:動詞などの連用形(または連用形+「て」)

例文:「読み侍り」(読みます)、「申し候ふ」(申します)、「思ひ侍る」(思っております)、「申し候へば」(申しますので)。直前の語に「て・けり」を続けて自然なら連用形と判定できます。

「て」が挟まる形にも注意。「書きて侍り」のように間に「て」が入っても、その前の「書き」が連用形なので補助動詞です。「て」だけ見て本動詞と判断しないようにしましょう。

生徒
生徒「書きて侍り」は「て」で切れてるから本動詞かと思ってました…。前の「書き」が連用形だから補助動詞なんですね!

例文5選で確認

本動詞と補助動詞の用例を5つの例文で確認します。直前が連用形かどうかに注目して判定しましょう。

例文1:かくなむ思ひ侍る

正体:補助動詞・丁寧 訳:このように思っております。なお係助詞「なむ」の結びとして「侍る」(ラ変連体形)で結ばれる係り結びの典型例。

「思ひ」は「思ふ」の連用形。連用形+侍る=補助動詞と確定。話し手が聞き手に対して自分の考えを丁寧に述べている。

例文2:ここに侍り

正体:本動詞・丁寧 訳:こちらにおります

直前「ここに」は場所を示す副詞句で、連用形ではない。本動詞「居る」の丁寧語と確定。話し手が自分の居場所を丁寧に告げている。

例文3:さやうに申し候ふ

正体:補助動詞・丁寧 訳:そのように申しております

「申し」は謙譲語「申す」の連用形。連用形+候ふ=補助動詞と確定。謙譲語に丁寧語が重なり、二重に敬意を表す武家書状の典型形。

例文4:御使ひぞ候ふ

正体:本動詞・丁寧 訳:お使いの者がおります(係助詞「ぞ」の結びで連体形「候ふ」)

直前「御使ひ」は体言(名詞)。連用形ではないので本動詞と確定。話し手が第三者の存在を丁寧に伝えている。

例文5:さ候へば、参り申すべく候ふ

正体:前半は本動詞・丁寧、後半は補助動詞・丁寧 訳:そうでございますれば、参上して申し上げるつもりでございます

前半「候へば」(候ふの已然形+ば)は副詞「さ」のあとに来る本動詞。後半「候ふ」は推量「べく」の前に置かれ、文末の丁寧表現で補助動詞。武家書状に頻出の二重敬語の形式。

よくある誤解・ミスポイント

「侍り・候ふ」を尊敬語・謙譲語と混同しない

「侍り・候ふ」は丁寧語です。尊敬語(動作の主体への敬意)でも、謙譲語(動作の客体への敬意)でもありません。敬意の方向は話し手から聞き手・読み手へ。試験で敬意の方向を問われたらこれを反射的に答えられるようにしましょう。

「あり・をり」との混同

「あり」「をり」も「ある/いる」の意味のラ変動詞ですが、丁寧の意味はありません。手紙文や敬語が多用される文脈で「ある/いる」が出てきたら「侍り・候ふ」、地の文や説明文なら「あり・をり」の可能性が高い、と意識すると判別しやすくなります。

「て」が挟まる場合の見落とし

「書き侍り」のように、連用形と「侍り」の間に接続助詞「て」が入る形に注意。直前が「て」だからといって本動詞と判断せず、「て」の前の語まで確認してください。「書き」が連用形なので補助動詞です。

テスト直前|「侍り・候ふ」3秒チェックリスト

  • □ 直前が動詞・形容詞・形容動詞の連用形? → 補助動詞(〜です/〜ます)
  • □ 単独で文末・体言や副詞のあと? → 本動詞(あります/おります)
  • □ 間に「て」が挟まっていないか? → その前の語まで確認
  • □ 敬意の方向は話し手から聞き手・読み手(丁寧)
  • □ 「侍り」は平安、「候ふ」は鎌倉以降に多い(時代も手がかりに)

もう一歩深掘り|「侍り・候ふ」の正体と成り立ち

「侍り・候ふ」をただ丸暗記するのではなく、なぜ丁寧の意味をもつのかを知っておくと、初見の文章でも迷わなくなります。「侍り(はべり)」は、一説に「這ひあり(はひあり)」(地面に這うように低くしてそばにある、の意)が変化してできた語とされ、「貴人のそば近くに、身を低くしてお控えする」という姿勢からスタートしました。そばに控えてかしこまる、という低い姿勢が、やがて聞き手への丁寧な気持ちを表す言葉へと変化していったのです。

一方の「候ふ(さぶらふ)」は、「さもらふ」(指示語「さ」+「守(も)らふ」=そばで様子をうかがいお仕えする、の意)が「さぶらふ」へと変化し、さらに「さうらふ」と読まれるようになった語です。つまり「侍り」と「候ふ」はもともとは由来の異なる別々の語ですが、どちらも「貴人のそばに控えてお仕えする」という近い意味を出発点とし、平安時代の「侍り」に代わって、武士の世になると「候ふ」が主流になりました。結果として両者は丁寧語としての意味も働きもほぼ同じになり、時代によって主役が交代しただけ、と理解しておけば十分です。「お仕えして控えている」という出発点を思い出せば、丁寧語(聞き手への敬意)であることも自然に腑に落ちます。

  • 語源:「侍り」は「這ひあり」、「候ふ」は「さもらふ(さぶらふ)」と由来は別。ともに「身を低くしてお仕えし、控える」姿勢が出発点
  • 意味:本動詞なら「あり・をり」の丁寧語、補助動詞なら文末に丁寧さを添える
  • 敬意の方向:いつでも「話し手 → 聞き手・読み手」(丁寧)で固定

活用と接続を整理|「侍り」はラ変・「候ふ」は四段

「侍り」はラ行変格活用(ラ変)、「候ふ」はハ行四段活用に従って活用します。文の中では「侍る」「侍れ」「候へ」など形を変えて出てくるので、もとの形が「侍り・候ふ」だと見抜けるようにしておきましょう。識別の手順(直前が連用形か否か)は、どの活用形で出てきても変わりません。

  • 侍り:未然形「侍ら」/連用形「侍り」/終止形「侍り」/連体形「侍る」/已然形「侍れ」/命令形「侍れ」
  • 候ふ:未然形「候は」/連用形「候ひ」/終止形「候ふ」/連体形「候ふ」/已然形「候へ」/命令形「候へ」

たとえば文末が「侍る」になっていたら、係助詞「ぞ・なむ・や・か」を受けた係り結び(連体形で結ぶ)の可能性が高いです。「侍れ」で結ばれていれば「こそ」の已然形結びを疑います。形が変わっても、まず直前の語を見て本動詞か補助動詞かを決める、という順番は崩さないでください。

例文をもっと読む|原文と現代語訳でつかむ

本動詞・補助動詞それぞれの感覚を、さらに例文を増やして確かめましょう。いずれも直前の語の形に注目してください。

本動詞「あります・おります」の例

  • 原文:「まろは、ここに侍り。」/現代語訳:「私は、ここにおります。」(直前「ここに」は連用修飾の語句で連用形ではない=本動詞
  • 原文:「いとよき折節にも侍るかな。」/現代語訳:「たいへんよい折でもございますなあ。」(直前は体言+助詞=本動詞。係助詞などを受けて連体形「侍る」になっている)
  • 原文:「御前に人も候はず。」/現代語訳:「御前に人もおりません。」(直前「人も」は体言+助詞=本動詞。打消「ず」が下接し未然形「候は」になっている)

補助動詞「〜です・〜ます」の例

  • 原文:「うけたまはり侍りぬ。」/現代語訳:「承りました。」(「うけたまはり」は連用形=補助動詞。完了「ぬ」が下接)
  • 原文:「いと心苦しう侍り。」/現代語訳:「たいそう気の毒に存じます。」(形容詞「心苦し」の連用形「心苦しう」+侍り=補助動詞
  • 原文:「やがて参り候ふべし。」/現代語訳:「すぐに参上いたします。」(「参り」は連用形=補助動詞。下に推量「べし」が続く)

ポイントは、形容詞・形容動詞の連用形のあとでも補助動詞になること。「心苦しう侍り」のように、直前が動詞でなくても連用形なら補助動詞です。「動詞の連用形だけ」と思い込まないようにしましょう。

入試・定期テストでの問われ方

「侍り・候ふ」は、次のような形で出題されます。どれも直前の語の形敬意の方向を押さえていれば対応できます。

  1. 文法的説明を選ぶ問題:「傍線部の『侍り』の説明として正しいものを選べ」→「本動詞か補助動詞か」「丁寧語であること」を答える。
  2. 敬意の方向を答える問題:「誰から誰への敬意か」→ いつも「話し手(書き手)から聞き手(読み手)」と答える(丁寧語だから)。
  3. 現代語訳の問題:本動詞なら「あります・おります・ございます」、補助動詞なら「〜です・〜ます」を補って訳す。
  4. 活用形を答える問題:文末や下接語から「連体形(侍る)」「已然形(侍れ・候へ)」などを判断する。

とくに多いのが敬意の方向を尊敬語・謙譲語と取り違えるミスです。会話文や手紙文に出てくる「侍り・候ふ」は、動作の主体や客体ではなく聞き手・読み手を立てている、と機械的に答えられるようにしておきましょう。

ミニ練習問題(解答つき)

次の各文の太字「侍り・候ふ」が本動詞か補助動詞か、そして現代語訳を考えてみましょう。直前の語の形を必ず確認してください。

  1. かやうに見え侍り
  2. 庭に梅の花侍り
  3. 御文を書きて候ふ
  4. われも御供に候はん。
  • (1) 補助動詞「このように見えます」。「見え」は「見ゆ」の連用形なので補助動詞。
  • (2) 本動詞「庭に梅の花がございます」。直前「梅の花」は体言で連用形ではないので本動詞。
  • (3) 補助動詞「お手紙を書いてあります(書きました)」。間に「て」が挟まるが、その前の「書き」が連用形なので補助動詞。
  • (4) 本動詞「私もお供にお仕えしましょう(おりましょう)」。直前「御供に」は連用修飾語で連用形ではないので本動詞。未然形「候は」+意志「ん(む)」。

4問とも、直前の語が連用形かどうかだけで答えが決まりました。迷ったら「直前の語に『て』や『けり』を付けて自然か」を試すと、連用形かどうかを見分けやすくなります。

よくある質問(Q&A)

Q. 「侍り」と「候ふ」はどう使い分ければいい?

A. 訳すうえでの意味・働きはほぼ同じなので、使い分けを暗記する必要はありません。判別の手順も共通です。ただし出てくる作品の時代が違い、「侍り」は平安の物語・日記・随筆に、「候ふ」は鎌倉以降の軍記物・武家の手紙文に多い、という傾向だけ知っておくと、文章の雰囲気から正体を予想しやすくなります。

Q. 本動詞か補助動詞か、一瞬で見分けるコツは?

A. 直前の一語だけを見てください。動詞・形容詞・形容動詞の連用形なら補助動詞、体言・副詞・助詞のあとや文頭なら本動詞です。間に「て」が入っていても惑わされず、「て」の前の語まで戻って判定するのが鉄則です。

Q. 敬意の方向はどう答えればいい?

A. 「侍り・候ふ」は丁寧語なので、敬意の方向は必ず「話し手(書き手)から聞き手(読み手)へ」です。尊敬語(動作主への敬意)や謙譲語(動作の受け手への敬意)とは方向が違うので、混同しないようにしましょう。会話文なら話している人から聞いている人へ、手紙文なら書いた人から読む人へ、と考えれば確実です。

最後にもう一度|判別の手順をおさらい

長くなりましたが、覚えることはとてもシンプルです。「直前の語が連用形か、それ以外か」——これだけで本動詞か補助動詞かが決まります。連用形なら補助動詞(〜です・〜ます)、それ以外なら本動詞(あります・おります)。そして敬意の方向は、どちらの場合も話し手から聞き手・読み手への丁寧で固定です。

あとは例文を声に出して読み、「直前の語の形 → 正体」の反応を体に染み込ませるだけ。上のミニ練習問題やチェックリストを繰り返せば、テスト本番でも初見の文章でも、落ち着いて見抜けるようになります。「侍り・候ふ」はこわくありません。

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