古文の変格活用を完全攻略|ラ変・ナ変・カ変・サ変の覚え方と見分け方

古典文法

この記事でわかること

動詞の活用は全部で9種類ありますが、そのうち4種類(ラ変・ナ変・カ変・サ変)が「変格活用」です。じつはこの4つは、覚えるべき単語が全部で9語ほどしかありません。数が少ないので、ここを一気に覚えてしまえば、動詞の活用は一気にラクになります。

この記事では、

  • 「正格活用」と「変格活用」の違いを一言で
  • ラ変・ナ変・カ変・サ変、それぞれの覚えるべき語活用表
  • 例文+現代語訳での見分け方と、よくある間違い(「あり」を四段と思い込むなど)

を、中学〜高校はじめの言葉だけでやさしく説明します。表をそのまま暗記すれば大丈夫です。

そもそも「変格活用」って何?

むずかしく考えなくて大丈夫です。一言でいうと、こうです。

  • 正格活用=「決まったルール通り」に変化する、多数派の動詞(四段・上一段・上二段・下一段・下二段の5種類)。
  • 変格活用=「ルールから少しはみ出した」変わり者の動詞(ラ変・ナ変・カ変・サ変の4種類)。

「変格」の「変」は「変わっている・例外」という意味です。つまり変格活用とは、ふつうの活用の形にきれいに当てはまらない、特別な動詞のグループのこと。だからこそ、ひとつずつ形を覚えてしまうのが一番の近道です。

そして安心してください。この「変わり者」たちは数がとても少ないのです。次の表が、その全リストです。

変格活用は、たったこれだけ

種類 覚えるべき語(基本) 語数
ラ変(ら行変格活用) あり・をり・はべり・いまそかり 4語
ナ変(な行変格活用) 死ぬ・往(い)ぬ 2語
カ変(か行変格活用) 来(く) 1語
サ変(さ行変格活用) す・おはす 2語

基本となる語は、合わせても9語だけ。これに「複合語(〜+す など)」が少し加わるくらいです。「9種類の活用」と聞くと身構えますが、変格活用に関しては「覚える単語リスト」を暗記するだけ。これが攻略のすべてです。

ラ変(ら行変格活用)|あり・をり・はべり・いまそかり

まずは一番大事なラ変から。覚える語は次の4つです。

  • あり(ある・いる)
  • をり(〔人や生き物が〕いる・座っている)
  • はべり(お仕えする=謙譲語。「あります・おります」という丁寧語にもなる)
  • いまそかり(いらっしゃる=尊敬語。「いますがり」「いまそがり」とも)

ラ変の活用表

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
あり あら あり あり ある あれ あれ
語尾

ここが最重要! ラ変は「終止形が り」

動詞の終止形は、ふつうウ段の音(う・く・す・つ…)で終わります。「書く」「行く」「思ふ」など、最後はみんなウ段ですね。

ところがラ変だけは、終止形が「あり」=イ段の音「り」で終わります。これがラ変の最大の特徴であり、見分けるカギです。

例文で確かめましょう。

  • 古文:「をかしき所あり。」
  • 現代語訳:「趣のある所がある。」

文の最後が「あり」で言い切られています。終止形がウ段でなく「り」になっている――これがラ変のサインです。

よくある間違い:「あり」を四段活用と思い込む

「あら・あり・ある…」と並ぶので、「あ行・ら行で変化しているから四段でしょ?」と勘違いする人がとても多いです。ここをはっきりさせましょう。

四段活用なら、終止形はウ段になるはずです。たとえば四段の「あく(歩く)」は、終止形が「あるく(ウ段のく)」。もし「あり」が四段なら、終止形は「あ」になっていないとおかしいのです。

でも実際の終止形は「あ」。ウ段ではなくイ段で終わるから、四段ではなくラ変。これが理由です。「あり・をり・はべり・いまそかり、この4つはラ変」と、語をセットで丸暗記してしまえば、もう間違えません。

ナ変(な行変格活用)|死ぬ・往ぬ の2語だけ

ナ変は、覚える語がたった2つ。これだけです。

  • 死ぬ(死ぬ)
  • 往(い)ぬ=「去ぬ」とも書く(行ってしまう・去る)

この2語以外にナ変はありません。逆にいえば、文中で「死ぬ」「往ぬ(去ぬ)」を見たら「あ、ナ変だ」と即決できます。

ナ変の活用表

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
死ぬ 死な 死に 死ぬ 死ぬる 死ぬれ 死ね
語尾 ぬる ぬれ

ナ変の見分け方と頻出ミス

ナ変のポイントは、連体形が「ぬる」、已然形が「ぬれ」という独特の形をとること。ふつうの四段なら連体形は「死ぬ」で終わるはずですが、ナ変は「死ぬる」とのびます。ここがナ変らしさです。

  • 古文:「いたづらに死ぬる事」
  • 現代語訳:「むだに死ぬこと」

「死ぬる事」と、下に名詞「事」が続いているので連体形。形が「ぬる」になっています。

注意したいミスは、助動詞の「ぬ」(完了「ぬ」)と混同することです。たとえば「咲きぬ(咲いてしまった)」の「ぬ」は助動詞で、動詞のナ変とは別物。ナ変は「死ぬ」「往ぬ」という動詞そのもの2語だけ、と覚えておけば取り違えません。

カ変(か行変格活用)|「来(く)」たった1語

カ変はもっとも数が少なく、基本となる語は「来(く)」ただ1語です(「出で来(く)」のように複合した形も同じ活用をします)。

カ変の活用表

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
(読み) くる くれ こ(こよ)

同じ漢字「来」でも、形によって読み方が変わるのがカ変の難所です。「来」と書いてあっても、未然形なら「」、連用形なら「」、終止形なら「」と読みます。表のとおり「こ・き・く・くる・くれ・こ」とリズムで唱えて覚えてしまいましょう。

例文で確認

  • 古文:「子の刻に来(こ)む。」
  • 現代語訳:「子(ね)の刻(=深夜0時ごろ)に来よう。」

下に意志の助動詞「む」が付くので、その上は未然形。だから「来」は「」と読みます。

  • 古文:「人の来(く)る音す。」
  • 現代語訳:「人が来る音がする。」

下に名詞「音」が続くので連体形「くる」。読み方で迷ったら、下にどんな語が続くかを見れば活用形が決まり、読みも決まります。

サ変(さ行変格活用)|す・おはす と「〜す」型

サ変の基本語は「す(する)」と「おはす(いらっしゃる)」の2つ。

さらにサ変には大事なポイントがあります。漢字の言葉などに「す」が付いた「〜す」の形もまとめてサ変になることです。たとえば次のような語です。

  • 愛(あい)す(愛する)
  • 具(ぐ)す(連れ立つ・一緒に行く)
  • 奏(そう)す(〔天皇に〕申し上げる)

このタイプは数が多いので、「『〜す』とあったらサ変を疑う」と覚えておくと役立ちます。

サ変の活用表

未然形 連用形 終止形 連体形 已然形 命令形
する すれ せよ

「せ・し・す・する・すれ・せよ」――この6つはぜひ声に出して、リズムで暗記してください。サ変は入試でも定期テストでも本当によく問われます。

例文で確認

  • 古文:「いかにせむ。」
  • 現代語訳:「どうしようか。」

意志の助動詞「む」が下に付くので、その上は未然形「」。「せむ」はサ変の超頻出パターンです。

  • 古文:「宮おはす。」
  • 現代語訳:「(皇族である)宮さまがいらっしゃる。」

「おはす」は「あり・をり」の尊敬語で、サ変。形が「す」で終わっているのが目印です。

4つをまとめて見分ける早見表

最後に、変格活用4種を一枚にまとめます。「該当する語が少ない」=「語を覚えれば一発で判別できる」のが変格活用の強みです。

種類 覚える語 活用(未然〜命令) 見分けの決め手
ラ変 あり・をり・はべり・いまそかり ら・り・り・る・れ・れ 終止形が「」(イ段)で終わる
ナ変 死ぬ・往ぬ(去ぬ) な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね この2語だけ。連体「ぬる」・已然「ぬれ」
カ変 来(く) こ・き・く・くる・くれ・こ(こよ) 「来」1語。読みが「こ・き・く」と変わる
サ変 す・おはす/「〜す」型 せ・し・す・する・すれ・せよ 〜す」の形。「せむ・せよ」が頻出

覚え方のコツ(ゴロで一気に)

暗記がにがてな人は、語呂で頭に入れてしまいましょう。

  • ラ変=「あり・をり・はべり・いまそかり」と、4語をそのままリズムで。
  • ナ変=「死ぬ・往ぬの2つだけ」。
  • カ変=「来(く)の1つだけ」。
  • サ変=「す・おはす+『〜す』はサ変」。

そして活用は、それぞれ「ら・り・り・る・れ・れ」「な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね」「こ・き・く・くる・くれ・こ」「せ・し・す・する・すれ・せよ」と声に出すのが一番。3回も唱えれば、もう半分覚えています。

まとめ

  • 動詞9種のうち、変格活用はラ変・ナ変・カ変・サ変の4つ。「ふつうの形からはみ出した変わり者」のグループ。
  • 覚えるべき基本語は合わせて9語ほど。語を暗記すれば見分けは一瞬。
  • つまずきやすい「あり」は四段ではなくラ変。理由は「終止形がウ段でなくイ段の」だから。
  • カ変「来」は読みが変わるので、下に続く語で活用形を判断する。
  • サ変は「〜す」の形が広く当てはまり、「せむ・せよ」が頻出。

数が少ないぶん、変格活用は得点源にしやすい単元です。今日この4つの表を覚えてしまえば、動詞の活用はぐっとラクになりますよ。

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