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結論:「単語・文法はやった。でも読めない」人の最初の一冊
この本は、古文の問題演習にいきなり入る前の「読み方の入門書」です。単語帳と文法をひととおりやったのに本文の意味がつかめない、という高校生のための一冊で、講義をそのまま文字にしたような話し言葉で「答案用紙が配られてから、どんな順番で何を考えて読むか」という手順を教えてくれます。本書はあくまで読解の“地図”を渡す本で、問題演習量を稼ぐ本ではありません。立ち位置をここで間違えなければ、とても頼りになります。
基本情報
| 書名 | 富井の古文読解をはじめからていねいに |
|---|---|
| 出版社 | ナガセ(東進ブックス) |
| 著者 | 富井健二 |
| シリーズ | はじめからていねいに(東進ブックス・名人の授業) |
| ページ数 | 約293ページ |
| 定価 | 1,153円(税込)※2026年6月時点 |
| レベル | 入門〜基礎(古文読解の導入) |
| 塾長のおすすめ度 | ◯(単語・文法はやったのに「読めない」人の橋渡し役) |
この本の特徴(中身)
中身は大きく、(1)文章の読み方(読解の手順)、(2)古文常識(昔の人の暮らしや恋愛・宮中のしくみなど)、(3)作品ジャンルの知識、という流れで構成されています。とくに古文がニガテな人がつまずく「主語が省略されてだれの動作かわからなくなる問題」を、どう推理して補うかが丁寧です。脚注に文学史の小ネタが入っていたり、別冊にポイントを図でまとめた付録が付いていたりと、初学者が飽きずに進められる工夫がされています。改訂版では和歌の知識や復習用の例文集も加わっています。
👍 良い点
- 読解の「手順」を言語化してくれる。単語と文法は知っているのに点が伸びない人の多くは、読む順番・考える順番を習っていません。本書はそこを講義口調で一から示してくれます。
- 古文常識・作品常識がまとめて入る。昔の貴族の生活や恋愛のしきたり、ジャンルごとの“お約束”を知っているだけで本文の見通しが一気に良くなります。読解と背景知識を同時に学べるのが強みです。
- とにかく読みやすく挫折しにくい。話し言葉で進み、別冊のビジュアル整理もあるので、参考書アレルギーの人でも最後まで走り切りやすい構成です。
🤔 気になる点
- 演習量はまったく足りない。3項目ごとに確認問題が付く程度で、これ一冊で「問題が解ける」状態には届きません。読み終えたら別の問題集が必須です。
- 単語・文法は“ある前提”で進む。読解の本なので、古文単語と基礎文法(助動詞の意味など)がほぼ白紙の人には早すぎます。順番を間違えると消化不良になります。
- 難関大の記述・和歌の本格対策には力不足。あくまで入門〜基礎の橋渡し役で、難関私大や二次の難しい記述、和歌の修辞の深掘りまではカバーしきれません。
合う人・合わない人
合う人:古文単語帳を一冊と、基礎の文法(助動詞・敬語のさわり)を終えたうえで、いざ長文になると「だれが何をしているのか」が追えなくなる高校生。学校の授業はなんとなくわかるのに、模試や問題集の古文だけ点が取れない人にも合います。
合わない人:古文単語も文法もまだほとんど手つかずの人(先に単語帳と文法の入門書へ)。逆に、すでに共通テストで安定して高得点が取れていて、難関大の記述や和歌の修辞をガッツリ詰めたい上級者には物足りません。
『古文上達 基礎編』との違い
『古文上達 基礎編 読解と演習45』は、文法のまとめと読解問題がたっぷり付いた“演習中心”の定番書です。対してこの富井の本は、問題を解く前段階の「読み方そのものを講義で教わる」入門書。性格がまったく違います。おすすめの順番は、まず富井で読解の手順と古文常識を頭に入れ、その後『古文上達 基礎編』のような演習書で実際に手を動かして問題量をこなす、という二段構え。富井は“地図”、古文上達は“走り込み”と考えると役割分担がはっきりします。
おすすめの使い方
- まず通読する。問題を解くことより、「先生がどんな順番で本文を読み進めているか」をマネする気持ちで、話し言葉の解説を最後まで一周読みます。
- 古文常識のページと別冊は繰り返す。昔の暮らし・恋愛・宮中のしくみや、本に出てくるポイントの図解は、スキマ時間に何度も見て頭に定着させます。
- 読み終えたら必ず別の問題集へ進む。本書で習った「主語を補う」「場面をつかむ」手順を、実際の入試問題で試して、解説と自分の読み方のズレを直していきます。
塾長の総合評価
| 読みやすさ | ★★★★★ |
|---|---|
| 網羅性 | ★★★☆☆ |
| 入門のしやすさ | ★★★★★ |
| 演習・実戦 | ★★☆☆☆ |
| 総合 | ★★★★☆(読解の入門・橋渡しは優秀。ただし演習量は別の問題集で必ず補う前提。) |
塾長としての評価は、「役割をわきまえて使えば、とても良い橋渡し役」です。単語と文法はやったのに読めない、という高校生はとても多く、その原因はたいてい「読む手順を習っていない」ことにあります。本書はそこをピンポイントで埋めてくれる数少ない入門書です。一方で、これ一冊で完結する本ではない、という点だけは正直にお伝えします。読みやすさと挫折しにくさは満点級ですが、演習量は明確に不足しているので、必ず次の問題集とセットで考えてください。
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まとめ
まとめると、『富井の古文読解をはじめからていねいに』は、古文の問題演習に入る一歩手前で「読み方の地図」を手に入れるための本です。単語・文法を終えた人が次に読むと、本文の見え方が変わります。ただし演習は別途必要なので、本書→演習書という流れを忘れずに。なお当サイトでは、古文常識や助動詞の識別を確認できる無料のまとめプリント・確認テストも公開しているので、本書と並行して手を動かす教材としてよければ使ってみてください。



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