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結論:漢文がはじめての人の「読めるようになる最初の1冊」
この本は、ひとことで言えば漢文をほとんど習っていない高校生が、ひとりで読みながら基礎から立ち上げるための講義系入門書です。返り点・送り仮名といった一番最初のルールから、入試で問われる句法(句形)まで、先生が目の前で説明してくれるような文章で順番に積み上げていきます。だからまったくの初学者でも置いていかれずに最後まで読み通せる作りになっています。逆に言うと、すでに句法をひと通り覚えていて演習量を増やしたい上級者向けではなく、あくまで「土台づくりの一冊目」という立ち位置です。
基本情報
| 書名 | 改訂版 岡本梨奈の1冊読むだけで漢文の読み方&解き方が面白いほど身につく本 |
|---|---|
| 出版社 | KADOKAWA |
| 著者 | 岡本梨奈 |
| シリーズ | 岡本梨奈の1冊読むだけで面白いほど身につく本シリーズ |
| ページ数 | 約336ページ |
| 定価 | 1,650円(税込)※2026年6月時点 |
| レベル | 初学(講義系) |
| 塾長のおすすめ度 | ◎(漢文がはじめての人の「最初の1冊」として安心して薦められる) |
この本の特徴(中身)
中身は大きく2部構成です。第1部「基本編」で、返り点や再読文字といった超基礎から、使役・受身・否定・疑問・反語といった頻出の句法を、例題とセットで一つずつ解説していきます。第2部「実践編」では、有名大学の過去問を使い、出題形式ごとに「どう読んで、どう解くか」を実演してくれます。知識を入れる(インプット)だけで終わらず、その場で解く(アウトプット)まで一冊で完結するのが大きな特徴です。改訂版では共通テストの新しい傾向(複数の文章を読ませる問題や会話文の問題)にも対応が加えられています。語り口が終始やわらかく、独学でも心が折れにくいのも、この本が長く支持されている理由です。
👍 良い点
- 本当にゼロから始められる。返り点・送り仮名のような「学校で習ったはず」の部分を飛ばさず説明してくれるので、漢文に苦手意識がある人や、ほとんど授業を受けていない人でも置いていかれません。
- 講義の語り口で独学しやすい。スタディサプリの講師が、生徒に話しかけるような文体で書いているため、参考書にありがちな「読んでも頭に入らない」状態になりにくく、一人でも最後まで進めやすいです。
- 「覚える」と「解く」が一冊でつながる。句法を学んだあと、すぐに例題や過去問で確かめられる流れなので、知識が入試の点につながる感覚を持ちやすく、別の問題集を用意しなくても一通り回せます。
🤔 気になる点
- 分量が多く、薄い一冊ではない。約336ページあり、第1部・第2部を合わせると相応の学習時間が必要です。試験まで時間がない人が「とにかく最短で詰め込みたい」場合には、もっと割り切った薄い本の方が向くこともあります。
- 難関大の二次・記述の演習量としては不足する。あくまで土台づくりの本なので、これ一冊で難関大の漢文が完成するわけではありません。読めるようになった後、過去問や記述向けの問題集で量を積む段階は別途必要です。
- 反復暗記用の体裁ではない。読み物として通読する設計なので、句法だけを一覧で何度も赤シートで隠して回す、といった機械的な暗記用途には少し使いにくい面があります。
合う人・合わない人
合う人:漢文をほとんど習っていない、または苦手で何から手をつけていいか分からない高校1〜2年生。共通テストや中堅〜難関大の漢文に向けて、まず「自力で読める」状態を独学でつくりたい人。やわらかい語り口で、説明をじっくり読みながら理解したいタイプの人。同じ著者の古文版とそろえて、古文・漢文を一気に立ち上げたい人にも向きます。
合わない人:すでに句法をひと通り覚えていて、演習量や過去問演習を増やしたい段階の人。試験本番まで時間がなく、最短ルートで最低限だけ詰め込みたい人。読み物的な解説より、一問一答や句法一覧でテンポよく暗記したいタイプの人。これらの人は、後述のライバル本や薄い速習本の方が合うことがあります。
『漢文ヤマのヤマ』との違い
同じ「初学者向けの漢文入門」として定番なのが学研の『漢文ヤマのヤマ』です。ヤマのヤマは、頻出句法を66テーマほどに整理し、講義+問題演習でテンポよく回す「ドリル寄り」の作り。一方この岡本本は、先生の話し言葉でじっくり読み進める「通読する講義系」で、最初の一歩の説明の手厚さと読みやすさが持ち味です。ざっくり言うと、解説を読んで納得しながら進めたい人は岡本本、句法をテンポよく覚えて演習で固めたい人はヤマのヤマ、という使い分けになります。両方やる必要はなく、自分が「読んで理解する派」か「覚えて回す派」かで一冊選べば十分です。
おすすめの使い方
- まず第1部「基本編」を、例題を実際に手で解きながら通読する。返り点や再読文字など最初の数十ページは飛ばさず、声に出して読み下しながら進める。
- 一周したら、覚えきれていない句法だけに付箋を貼り、その項目を2〜3日でまとめて読み返す。完璧を目指さず「8割わかる」状態でまず先へ進めるのがコツ。
- 土台ができたら第2部「実践編」と志望校の過去問に進み、読めなかった文を本書の該当ページに戻って確認する。これを繰り返して「読む→戻る→また読む」の往復で定着させる。
塾長の総合評価
| 読みやすさ | ★★★★★ |
|---|---|
| 網羅性 | ★★★★☆ |
| 入門のしやすさ | ★★★★★ |
| 演習・実戦 | ★★★☆☆ |
| 総合 | ★★★★★(漢文ゼロからの独学に最適。難関二次の演習量は別途必要) |
塾の現場で「漢文、何もわからないんです」という生徒が来たとき、最初に渡して失敗が少ないのがこのタイプの本です。とにかく説明が親切で、独学でも止まりにくい。改訂版で共通テストの新傾向にも触れている点も安心材料です。一方で、これ一冊で難関大の漢文が完成するわけではなく、あくまで「自力で読めるようになるための土台」。その役割としては、入門書の中でもかなり完成度が高い一冊だと評価しています。
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📺 本が合った人は、同じ先生の動画授業も
この本の著者岡本梨奈先生は、動画授業のスタディサプリで古文・漢文を担当しています。本の解説が「わかりやすい」と感じた人は、同じ先生の映像授業で考え方を耳から聞くと、さらに理解が深まります。当ブログ「誰でも古典塾」の無料テキストと合わせて使うのもおすすめです。
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まとめ
漢文に苦手意識がある人、ほとんど習っていない人にとって、この本は「最初の1冊」として安心して薦められる講義系入門書です。語り口がやわらかく、ゼロから読めるところまで独学で引き上げてくれます。まずはこの本で土台をつくり、そのあと過去問で量を積む——という流れがおすすめです。なお、当サイトでは漢文の句形や返り点の確認に使える無料のまとめ教材も配布しているので、本書と並行して総点検に役立ててください。



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