古文読解でいちばん点を落とす「省略された主語」を、三択100問で特訓する無料ドリルです。短い作例文の傍線部について「この動作は誰がしているか」を答えながら、助詞・敬語・文脈という3つの手がかりの使い方を体で覚えます。スマホでも解けるよう、答え・解説は各問の下に表示しています。印刷用のPDFも下からどうぞ。
採点表
| 部 | 問題 | 目標 |
|---|---|---|
| 第1部 助詞の手がかり | Q1〜Q20 | 15/20 |
| 第2部 敬語の手がかり | Q21〜Q50 | 22/30 |
| 第3部 文脈・常識の手がかり | Q51〜Q80 | 21/30 |
| 第4部 入試型の総合 | Q81〜Q100 | 14/20 |
🎯 解き方のコツ
- 「て・して・で」は主語が続きやすい/「を・に・ば・ど・ども・が」では変わりやすい。あくまで目安・確率であって絶対のルールではないので、最後は意味の通りで確かめる。
- 尊敬語(給ふ・おはす・のたまふ など)が付けば主語は身分の高い人。謙譲語(奉る・参る・申す など)なら受け手が高貴で、主語はへりくだる側。
- 二重敬語(せ給ふ・させ給ふ・しめ給ふ)は帝・中宮など、その場面で最高位の人のサイン。「奏す」は帝に、「啓す」は中宮・東宮に申し上げる。
- 会話文は「誰が言ったか」が基準。「〜と思ふ」の主体は、直前に心を動かされた人。
- 手がかりは一つで決めつけず、重ね合わせて確かめる。
【第1部】助詞の手がかり(Q1〜Q20)
文をつなぐ言葉に注目します。「て・で」では同じ人の動作が続きやすく、「を・に・ば・ど」では別の人に入れかわりやすい——この目安を使って主語の流れを読む基礎練習です。
【第2部】敬語の手がかり(Q21〜Q50)
尊敬語が付いた動作の主語は身分の高い人、謙譲語なら主語は仕える側。二重敬語が出たら最高位の人。敬語の「敬意の向き」で主語を当てます。
【第3部】文脈・常識の手がかり(Q51〜Q80)
会話文の話し手、「〜と思ふ」の主体、動作の常識(返事をするのは文を受け取った人、など)から判断します。
【第4部】入試型の総合(Q81〜Q100)
助詞+敬語+文脈、複数の手がかりを重ねて判定する入試レベルの実戦問題です。
問題(Q1〜Q100)
助詞Q1.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、山に入りて、竹を取りけり。
▶ 答え:ア 「て」は主語が続きやすい合図。山に入ったのも竹を取ったのも翁。
助詞Q2.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、いみじう泣けば、翁、嘆きけり。
▶ 答え:イ 「ば」で主語が交替しやすい。前半の動作主は姫、「ば」のあとは翁に変わる(ここでは「翁」と明示もされている)。
助詞Q3.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、文を書きて、随身に持たせけり。
▶ 答え:ア 「て」で主語が続く。書いたのも持たせた(持たせて遣った)のも中将。実際に持つのは随身だが、「持たせ」る動作の主語は中将。
助詞Q4.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、御簾を上ぐるに、姫、月を眺めゐたり。
▶ 答え:ウ 「に」で主語が交替しやすい。上げたのは女房、「に」のあとは姫に変わる。
助詞Q5.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、たびたび文を遣れど、姫、返り事もせず。
▶ 答え:イ 「ど(〜けれど)」で主語が交替しやすい。遣るのは中将、返り事をしないのは姫。
助詞Q6.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
童、門をも開けで、奥へ走り入りにけり。
▶ 答え:ア 「で(〜ないで)」も「て」と同じく主語が続きやすい。開けなかったのも走り入ったのも童。
助詞Q7.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
嫗、湯を沸かして、翁に飲ませけり。
▶ 答え:イ 「て」で主語継続。沸かしたのも飲ませたのも嫗。飲むのは翁でも、「飲ませ」る主語は嫗。
助詞Q8.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、門の前を過ぐるを、女房、内より招きけり。
▶ 答え:ウ 接続助詞「を」(連体形「過ぐる」に付く)で主語が交替しやすい。通るのは中将、招くのは女房。
助詞Q9.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、琴を弾くに、中将、立ち止まりて聞きゐたり。
▶ 答え:ア 「に」で主語が交替(姫→中将)し、そのあと「て」で中将のまま続く。立ち止まったのも聞いたのも中将。
助詞Q10.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、嫗にかくと語りて、深く嘆きけり。
▶ 答え:ウ 「て」は主語継続の合図。語ったのも嘆いたのも翁。「嫗に」は語った相手にすぎない。
助詞Q11.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、格子を上げければ、姫、庭に下り立ちけり。
▶ 答え:イ 「ば」で主語が交替しやすい。上げたのは女房、下り立ったのは姫。
主語Q12.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将は、夜もすがら門の外に立てりけり。
▶ 答え:ア 「は」は主語(話題)の宣言。「中将は」とあるので、立っていたのは中将。まず「は・が・も」を探すのが基本。
助詞Q13.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
童、文を持ちて走るに、犬、吠えかかりけり。
▶ 答え:イ 「に」で主語が交替しやすい。走るのは童、「に」のあとは犬に変わる。
助詞Q14.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、竹を切りて、籠を作りけり。
▶ 答え:ウ 「て」で主語継続。切ったのも作ったのも翁。
助詞Q15.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、文を読みもはてで、泣き伏しにけり。
▶ 答え:ア 「で(〜ないで)」は主語が続きやすい。読みかけたのも泣き伏したのも姫。
助詞Q16.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
嫗、姫を呼べど、答へもせず。
▶ 答え:ウ 「ど」で主語が交替しやすい。呼ぶのは嫗、答えないのは呼ばれた姫。
助詞Q17.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
随身、馬を引きて、門の外に控へたり。
▶ 答え:ア 「て」で主語継続。馬を引いたのも控えたのも随身。
助詞Q18.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、琴の音を聞きつけて、歩み寄りけり。
▶ 答え:イ 「て」で主語継続。聞きつけたのも歩み寄ったのも中将。琴を弾いている人(姫)と取り違えない。
助詞Q19.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、几帳を立つるを、姫、制しけり。
▶ 答え:ウ 接続助詞「を」(連体形「立つる」に付く)で主語が交替しやすい。立てるのは女房、やめさせたのは姫。
助詞Q20.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
童、戸を叩けば、嫗、出で来て、問ひけり。
▶ 答え:イ 「ば」で主語が交替(童→嫗)し、「て」で嫗のまま続く。出て来たのも問うたのも嫗。
敬語Q21.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
夜更けて、帝、南殿に出でおはします。月を御覧ず。
▶ 答え:ア 「御覧ず」は「見る」の尊敬語。尊敬語が付いた動作の主語は身分の高い人=帝。
敬語Q22.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、管絃の御遊びを催させ給ふ。中将、召されて、笛を仕うまつりけり。
▶ 答え:ウ 「仕うまつる」は謙譲語。お仕えして演奏する側=召された中将。帝の動作なら尊敬語が付くはず。
敬語Q23.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫の御もとに、女房あまた候ふ。昔物語などのたまへば、みな笑ふ。
▶ 答え:イ 「のたまふ」は「言ふ」の尊敬語。主語は身分の高い姫。お仕えする女房側なら「申す」などになる。
敬語Q24.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
大臣、内裏に参り給ふ。帝に文を奉り給ふ。
▶ 答え:ア 「奉る(差し上げる)」は謙譲語で、受け手=帝が高貴。差し上げる主語は大臣で、「給ふ」(尊敬)はその大臣も高貴だと示す(謙譲+尊敬の二段構え)。
敬語Q25.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、几帳のうちにおはす。嫗、御前に参りて、事の次第を申す。
▶ 答え:イ 「申す」は謙譲語。申し上げる側=参上した嫗。「て」で「参りて」から主語も続いている。
敬語Q26.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、大臣・随身を率て、野に出でさせ給ふ。鷹を放たせ給ふ。
▶ 答え:ウ 「せ給ふ」は二重敬語(最高敬語)。その場面で最高位の人=帝の動作と判断する。大臣・随身には使わない。
敬語Q27.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
御前に、童一人候ふ。仰せ言うけたまはりて、庭の花を折りけり。
▶ 答え:ウ 「折りけり」に敬語がない。敬語なしの動作の主語は身分の低い人のことが多い=童。「うけたまはる」(謙譲)も童側の動作。
敬語Q28.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫の御簾のもとに参る。内より、和歌を詠み給ふ。
▶ 答え:イ 「給ふ」(尊敬)が付くので主語は身分の高い人。「内より」=御簾の内にいる姫。中将の動作は「参る」(謙譲)で示されている。
敬語Q29.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、急ぎ内裏に参りて、事の由を奏す。
▶ 答え:ア 「奏す」は帝に申し上げる絶対敬語。申し上げる相手が帝、申し上げる主語は参上した中将。「て」の継続も手がかり。
敬語Q30.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、「誰かある」と問ひ給ふ。女房、「ここに侍り」と答ふ。
▶ 答え:ア 「侍り」は丁寧語(おります)。聞き手への礼儀を示すだけで身分の上下は決めないが、ここは答えた話し手自身=女房が「おります」の主語。
敬語Q31.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫君を年ごろ思ひわたる。ある日、文を奉り給ふ。
▶ 答え:イ 「奉り」(謙譲)で受け手=姫君を高め、「給ふ」(尊敬)で差し上げる主語=中将も高める。謙譲+尊敬の形は、身分の高い人がさらに上の人へ動作する場面。
敬語Q32.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
尼君、北山に住み給ふ。童一人、仕うまつる。夕暮れには、経を読み給ふ。
▶ 答え:ウ 「給ふ」(尊敬)が付くので、主語は敬われる側の尼君。仕える童の動作なら敬語なし(または謙譲語)になる。
敬語Q33.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、姫の噂を聞こし召す。「いかなる人ならむ」と思す。
▶ 答え:ア 「思す」は「思ふ」の尊敬語。直前で噂をお聞きになった(聞こし召す=尊敬)帝が、そのまま思う主体。
敬語Q34.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中宮、女房を召す。やがて御前に参りて、御物語など聞こゆ。
▶ 答え:イ 「参る」は謙譲語で、参上する主語はへりくだる側=召された女房。お呼びになった中宮が参上するのではない。
敬語Q35.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、物語に夜を更かさせ給ふ。人々みな退きぬれば、やがて大殿籠りぬ。
▶ 答え:イ 「大殿籠る」は「寝」の尊敬語。お休みになるのは身分の高い帝。「ば」で主語が交替する流れ(人々→帝)とも合う。
敬語Q36.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
大臣、随身を召して、「門を開けよ」と仰せけり。
▶ 答え:ア 「仰す」は「言ふ」の尊敬語。命じる主語は身分の高い大臣。「て」で「召して」から主語も続く。
敬語Q37.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、悩み給ふ。女房、御湯を参らせ、御物語など聞こえけり。
▶ 答え:ウ 「聞こゆ」は「言ふ」の謙譲語(申し上げる)。申し上げる主語はお仕えする女房。病んでいる姫は受け手。
敬語Q38.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、内裏に召されて参る。御衣を賜はりけり。
▶ 答え:ウ 「賜はる」は「もらう」の謙譲語(いただく)。いただく主語は低い側=翁。お与えになる側(帝)と取り違えない。
敬語Q39.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、中宮の御方に参りて、姫の御事を啓しけり。
▶ 答え:ア 「啓す」は中宮・東宮に申し上げる絶対敬語。申し上げる相手が中宮、申し上げる主語は参上した女房。
敬語Q40.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、「明日なむ、必ず参り侍るべき」と申し給ふ。
▶ 答え:イ 会話文の中の主語は話し手が基準。「参る」(謙譲)は自分の動作をへりくだる言い方なので、参上するのは話し手の中将自身。
敬語Q41.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、「年ごろ、姫君をこそ深く思ひ給ふれ」と申す。
▶ 答え:ウ 「給ふれ」は下二段の「給ふ」=謙譲。「給ふる・給ふれ」の形は会話文で話し手(一人称)の思考・知覚に付くので、思う主語は話し手の中将自身。
敬語Q42.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
大臣たち候ふ夜、月くまなし。やがて、南殿に出でさせ給ふ。
▶ 答え:イ 「させ給ふ」は二重敬語=その場の最高位の人のサイン。お仕えして候ふ大臣たちではなく帝。「〜に」と動作をさせる相手もないので使役ではない。
敬語Q43.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、返り事を書きて、女房に賜ふ。やがて御使ひに渡しけり。
▶ 答え:ウ 「賜ふ」で文を受け取ったのは女房。「渡しけり」に敬語がないことも、主語が姫ではなく仕える側の女房だと教えてくれる。
敬語Q44.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、夜の御殿にて笛の音を聞こし召す。「誰そ」と問はせ給ひて、中将を召しけり。
▶ 答え:ア 「召す」は「呼ぶ」の尊敬語で、お呼びになる主語は身分の高い帝。「て」で「問はせ給ひて」(二重敬語)からの継続でもある。
敬語Q45.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝の仰せ言たびたびなれば、翁、泣く泣く姫を内裏に奉りけり。
▶ 答え:イ 「奉る」は謙譲語(差し上げる)。差し出す主語はへりくだる側の翁。受け手(内裏=帝)が高貴であることを示す。
敬語Q46.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中宮、御格子上げさせ給ひて、雪を御覧ず。
▶ 答え:ア 「御覧ず」は「見る」の尊敬語で主語は高貴な人。「て」で「上げさせ給ひて」(二重敬語)の主語=中宮がそのまま続く。
敬語Q47.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将の御供に、童一人あり。夜もすがら、門のわきに候ひけり。
▶ 答え:イ 「候ふ」はお控えする意の謙譲語。お控えする主語は仕える側=御供の童。主人の中将なら尊敬語が付くはず。
敬語Q48.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
大臣、「とくとく」とのたまへば、随身、「承りぬ」と申す。
▶ 答え:ア 「のたまふ」(尊敬)の主語は身分の高い大臣。あとの「申す」(謙譲)の主語が随身、と敬語の向きで言い手が対になっている。
敬語Q49.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、「御文はいづら」と問ひ給ふ。女房、「ただいま持て参る」と申す。
▶ 答え:ウ 会話文の主語は話し手が基準。「持て参る」(謙譲)は自分の動作をへりくだる形なので、持って参上するのは話し手の女房。
敬語Q50.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、大臣の御もとに参り給ふ。年ごろの事ども聞こえ給ふ。
▶ 答え:ウ 「聞こえ」(謙譲)で受け手=大臣を高め、「給ふ」(尊敬)で申し上げる主語=中将も高める。謙譲+尊敬は、高貴な人がさらに上の人へ動作する形。
文脈Q51.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫に「明日、必ず参り来む」と言ひて、出でぬ。
▶ 答え:イ 会話文の中の主語は、その言葉を言っている人が基準。「参り来む(参上して来よう)」は話し手の中将自身の動作。
文脈Q52.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫のもとに文を遣りけり。日暮るるほどに、返り事しけり。
▶ 答え:ウ 返り事をするのは文を受け取った人、という動作の常識で判断。受け取ったのは姫。
文脈Q53.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、別れの文を翁に見す。読みもはてず、涙にくれにけり。
▶ 答え:ア 文を「見せられた」人が読む、という流れの常識。読みかけて涙にくれたのは、読み手の翁。
文脈Q54.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、垣間見す。「世にかかる人もありけり」とぞ思ひける。
▶ 答え:ア 「〜と思ふ」の主体は、直前に心を動かされた人。のぞき見て感動したのは中将。
文脈Q55.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、童を召す。御階のもとに参りて候ふ。
▶ 答え:ウ 呼ばれた人が参上する、という流れの常識。「参る」(謙譲)も、主語が仕える側の童だと示している。
文脈Q56.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、ある姫を垣間見けり。かの人を、夜昼恋ひわたりけり。
▶ 答え:ウ 指示語「かの人」は直前に出た姫を指す。姫は恋われる相手であって、恋い続ける主語は見た側の中将。
文脈Q57.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
嫗、姫に「など、かくは物思はしげなる」と問ふ。「秋の夜は、ただ悲しくこそ」と答ふ。
▶ 答え:イ 問われた人が答える、という会話の流れ。問うたのは嫗なので、答えるのは姫。
文脈Q58.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将の御もとに、童あり。明け暮れ、まめやかに仕うまつる。
▶ 答え:ア お仕えするのは目下の者、という常識。主人の中将に仕えるのは童。直前の話題の人物が続く流れでもある。
文脈Q59.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、心地例ならず、臥し給ひぬ。嫗、驚き騒ぐ。やがて、御湯を参らせけり。
▶ 答え:ウ 看病して差し上げるのは付き添う人、という常識。直前の話題の動作主(驚き騒いだ嫗)がそのまま続く。臥している姫ではない。
文脈Q60.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、年ごろの願ひかなひて、姫を妻に得たり。うれしと思ふこと限りなし。
▶ 答え:ア 「うれし」と思うのは心を動かされた人。願いがかなったのは中将なので、喜ぶ主体も中将。
文脈Q61.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、「姫君こそ、夜もすがら泣き給ひしか」と語る。
▶ 答え:イ 語っている(言う動作の)主語は女房だが、傍線部「泣き給ひしか」は会話の中身。「姫君こそ」と言っているとおり、泣いたのは姫君。話し手と話の中の主語を区別する。
文脈Q62.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、夜道に琴の音を聞く。「いかなる人の弾くらん」と思ふ。
▶ 答え:ウ 「〜と思ふ」の主体は、直前に心を動かされた人。琴の音を聞いて不思議に思ったのは中将。弾いている人は思われる対象。
文脈Q63.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
大臣、随身を召して「車寄せよ」とのたまふ。やがて門前に車を寄せけり。
▶ 答え:イ 命じられた人が実行する、という流れの常識。命じたのは大臣、車を寄せたのは召された随身。
文脈Q64.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫に歌を詠みかけけり。ややありて、返しをなんしける。
▶ 答え:ア 歌の「返し(返歌)」をするのは詠みかけられた人、という常識。詠みかけたのは中将なので、返したのは姫。
文脈Q65.次の文の傍線部「見えけり」の主語は誰か。
中将、姫の御簾のほとりに寄る。うちなる人、影ばかりほのかに見えけり。
▶ 答え:イ 「見ゆ」は「見える」の意で、主語は見られる側。見えるのは御簾の内の姫で、見ているのは中将。「見る」と「見ゆ」で主語が逆になる点に注意。
文脈Q66.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、里にまかでけり。三日ありて、内裏に参りぬ。
▶ 答え:ア 退出(まかづ)した人が戻って参上する、という話の流れ。同じ女房の動きが続いている。
文脈Q67.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、「姫はいづこにおはす」と問ふ。「御格子のもとにおはします」と女房答ふ。
▶ 答え:ウ 傍線部は女房の答えの中身。何がどこにあるかを述べた文で、「おはします」(尊敬)の主語は話題の姫。話し手の女房自身ではない。
文脈Q68.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
僧、夜もすがら経を読む。暁になりて、鐘をつきけり。
▶ 答え:ア 直前の話題の人物が次の動作の主語になりやすい。寺で勤めをして鐘をつくのは僧、という常識とも合う。
文脈Q69.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、翁を召して、御衣を賜ふ。喜びて、家に帰りけり。
▶ 答え:イ 御衣をいただいた側が喜んで帰る、という流れの常識。内裏の主である帝が「家に帰る」のは不自然。
文脈Q70.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫の返り事を得ず。「わが身のほどこそ悲しけれ」とぞ思ひける。
▶ 答え:ウ 「〜と思ふ」の主体は心を動かされた人。返事をもらえず嘆いているのは中将。会話・心内語の「わが」は話し手(思い手)自身を指す。
文脈Q71.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
ある童、朝ごとに庭を掃く。その童、菊を一枝折りて、姫に奉りけり。
▶ 答え:イ 指示語「その童」は直前の童を指す。「て」で折った主語がそのまま続き、差し上げたのも童。
文脈Q72.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、「まかり出でて、母を見舞はん」と申す。
▶ 答え:ア 会話文の中の主語は話し手が基準。「まかり出づ(退出いたす)」は自分の動作をへりくだる言い方で、退出するのは話し手の女房自身。
文脈Q73.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
嫗、姫に古き鏡を見す。つくづくと見入りけり。
▶ 答え:ウ 「見す」は「見せる」。見せられた人が見る、という流れの常識で、見入ったのは姫。
文脈Q74.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、夜更けて翁の家を訪ふ。喜びて、門を開けけり。
▶ 答え:イ 訪ねられた家のあるじが客を喜んで迎え入れる、という常識。門を開けるのは内側にいる翁。訪ねて来た中将ではない。
文脈Q75.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、重く患ふ。姫、夜昼かたはらを離れず、湯など勧めけり。
▶ 答え:ウ 看病する人が湯を勧める、という常識。付き添っているのは姫で、「ず」のあとも同じ姫の動作が続く。病人の翁ではない。
文脈Q76.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、夜更けて独りゐたり。「姫君はいかにおはすらん」と思ひやる。
▶ 答え:イ 心の中の言葉(心内語)の主体は、直前の話題の人物=独りでいる女房。姫君は思いやられる相手。
文脈Q77.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、雨の夜、姫のもとに訪ね来て、濡れながら門に立てり。これを聞きて、あはれと思ひけり。
▶ 答え:ウ 「と思ふ」の主体は心を動かされた人。濡れて立つ中将のことを「聞いて」気の毒に思ったのだから、主語は門の内にいる姫。
文脈Q78.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
夜深く、翁の家の門を叩く者あり。「誰そ」と問ひけり。
▶ 答え:イ 「誰そ(誰だ)」と尋ねるのは、内側にいる家のあるじ=翁。叩いた本人が「誰だ」と問うのは不自然、という常識で判断。
文脈Q79.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、東の国へ下るべくなりぬ。姫に暇乞ひして、暁に出で立ちけり。
▶ 答え:ウ 旅立つことになった人が暇乞いをして出発する、という話の流れ。「して」で主語も続く。見送る姫ではない。
文脈Q80.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
嫗、「夜も更けぬ。とく休み給へ」とて、格子を下ろしけり。
▶ 答え:ア 「とて(〜と言って)」の前後では話し手の動作が続きやすい。言ったのも格子を下ろしたのも嫗。
総合Q81.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、姫を内裏に召せど、つひに参らず。
▶ 答え:ア 「ど」で主語が交替しやすい(帝→姫)うえ、「参る」(謙譲)の主語は召された側。手がかりが二つ重なって姫と決まる。
総合Q82.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫のもとに文を遣る。されど、開けてだに見給はず。
▶ 答え:ウ 文を開けて見る(見ない)のは受け取った人、という常識に加え、「給ふ」(尊敬)が付くので随身ではなく高貴な姫。
総合Q83.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、内裏に参りて、姫の事どもを奏す。あはれがらせ給ひて、御衣を賜ふ。
▶ 答え:イ 「奏す」は帝に申し上げる絶対敬語なので、聞き手は帝。さらに「せ給ふ」(二重敬語)は最高位の人のサイン。しみじみ感心なさったのは帝。
総合Q84.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫の家のわたりを過ぐ。内に琴を弾き給ふが聞こゆれば、立ち止まりて聞き入りけり。
▶ 答え:ウ 弾いているのは「給ふ」(尊敬)の付く内なる姫。「ば」のあとで主語が交替し、「聞き入る」に敬語がないことからも、立ち止まって聞いたのは通りかかった中将。
総合Q85.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、姫に「中将殿こそおはしたれ」と申す。
▶ 答え:ア 会話の中身でも敬語は手がかりになる。「おはす」(尊敬)の主語は高貴な客=「中将殿こそ」と言われている中将。話し手の女房自身なら謙譲語を使うはず。
総合Q86.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、翁の家に行幸せさせ給ふ。かしこまりて、御前に参り候ふ。
▶ 答え:ウ お迎えする家のあるじがかしこまって御前に出る、という常識に加え、「参り候ふ」(謙譲)は仕える側の動作。帝は迎えられる側。
総合Q87.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、月を見ては泣き給ふこと、たびたびなり。嫗、あやしと思ひて、「など、かくは嘆き給ふ」と問ふ。
▶ 答え:ア 「て」で主語継続。不思議に思ったのも問うたのも嫗。会話の中の「嘆き給ふ」(尊敬)の主語は姫で、問う側と問われる側を区別する。
総合Q88.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫と物語して、夜更けて帰り給ひぬ。名残惜しと思す。
▶ 答え:ア 中将は帰ってしまったので、あとに残って名残を惜しむのは姫(文脈)。「思す」(尊敬)も、主語が高貴な姫であることと合う。
総合Q89.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
大臣、帝に菊を奉り給ふ。いみじうめでさせ給ふ。
▶ 答え:イ 「させ給ふ」(二重敬語)は最高位の人のサイン。献上された菊をおほめになったのは帝。大臣の動作は「奉り給ふ」(謙譲+尊敬)と区別されている。
総合Q90.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、「あやしき夢をなん見給へつる」とのたまふ。
▶ 答え:ウ 「給へ」は下二段の「給ふ」=謙譲で、会話の話し手自身の動作に付く形。夢を見たのは話し手の姫。地の文の「のたまふ」(尊敬)も話し手が姫だと示す。
総合Q91.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中宮の御前に、女房ども候ふ。一人、御格子を上げければ、やをら歩み出でさせ給ふ。
▶ 答え:イ 「ば」で主語が交替しやすく(女房→別人)、「させ給ふ」(二重敬語)は最高位の人のサイン。お出ましになったのは中宮。
総合Q92.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、御簾の外に候ふ。姫、扇を落とし給へるを、拾ひて奉る。
▶ 答え:ウ 接続助詞「を」(連体形「給へる」に付く)で主語が交替しやすく、「奉る」(謙譲)の主語はへりくだる側。拾って差し上げたのは御簾の外の中将。
総合Q93.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝の御前に、大臣・中将候ふ。「いかに思ふ」と仰せらるれば、大臣、まづ奏す。
▶ 答え:ア 「仰せらる」は「言ふ」の最高級の尊敬表現。御前に候ふ大臣・中将ではなく、お尋ねになったのは帝。あとの「奏す」(帝に申し上げる)とも向きが合う。
総合Q94.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
帝、中将を召して、「姫の事、いかになりぬる」と問はせ給ふ。「いまだ承らず」と奏す。
▶ 答え:イ 答えの会話は「奏す」(帝に申し上げる)と結ばれるので、話し手は召された中将。「承る」(謙譲)も臣下側の動作で、聞いていないのは中将。
総合Q95.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、物思ひに沈み給ふ。嫗、よろづに慰めきこゆれど、耳にも聞き入れ給はず。
▶ 答え:ウ 「ど」で主語が交替しやすい(嫗→別人)うえ、「給ふ」(尊敬)が付くので、聞き入れないのは高貴な姫。嫗の動作は「きこゆ」(謙譲)で示されている。
総合Q96.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
女房、「この由、やがて啓せん」とて、急ぎ立ちぬ。
▶ 答え:ア 会話の中の主語は話し手が基準。「啓す」は中宮・東宮に申し上げる絶対敬語なので、申し上げる相手が中宮で、申し上げる主語は話し手の女房。
総合Q97.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫のもとに忍びて通ひけり。翁、これを知りて、内裏に参りて奏しけり。聞こし召して、驚かせ給ふ。
▶ 答え:ウ 「奏す」の相手=帝が、「聞こし召す」(尊敬)でお聞きになり、「せ給ふ」(二重敬語)で驚きなさる。絶対敬語と二重敬語の重ね技で帝と決まる。
総合Q98.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
翁、姫の文を奏す。御覧じて、「あはれ」とのたまはす。
▶ 答え:イ 「奏す」の相手は帝。その帝が「御覧じ」(尊敬)、「て」で主語が続いたまま「のたまはす」(「のたまふ」よりさらに高い尊敬語)。よって仰せになったのは帝。
総合Q99.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
姫、暁に文を書きて、女房に賜へば、急ぎ中将のもとへ持て参りけり。
▶ 答え:ウ 「ば」で主語が交替しやすい(姫→別人)。「賜ふ」で文を受け取ったのは女房で、「参る」(謙譲)も仕える側の動作。届けたのは女房。
総合Q100.次の文の傍線部の動作の主語は誰か。
中将、姫に暇乞ひして、暁に出で立ちぬ。御簾のうちには、袖を顔に押し当てて泣き給ひけり。
▶ 答え:イ 中将は出立してしまったので、「御簾のうち」に残って泣くのは姫(場所と文脈)。「給ふ」(尊敬)も随身でなく姫と合う。残された人が泣く、という常識も重なる。
まとめ:手がかりを重ねれば主語は見える
主語把握のコツは、①助詞(「て・で」は続きやすい/「を・に・ば・ど」は変わりやすい——あくまで目安)、②敬語(尊敬語なら主語は高貴な人、謙譲語なら仕える側、二重敬語なら最高位)、③文脈・常識(会話は話し手基準、「と思ふ」の主体は心を動かされた人)の3本柱です。一つの手がかりで決めつけず、重ね合わせて確かめる癖がつけば、入試の長文でも人物関係を見失いません。間違えた問題は解説の「どの手がかりで判定したか」を読み直し、同じ型の問題で解き直しましょう。


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