古文の名詞には、形は今と同じでも意味が大きくずれるものが数多くあります。たとえば「つとめて」は「勤めて(努力して)」ではなく「早朝」、「けしき(気色)」は自然の「景色」ではなく人の「様子・機嫌」。「ほど」「よし」「こころ」のように、一語でいくつもの意味を持つ多義語もあります。このドリルでは、傍線部の名詞(太字)の意味を答えます。まず自分で考えてから、下の「答え・解説」を確認しましょう。
とくに重要なのは次の点です。「つとめて=早朝(前夜を受ければ翌朝)」「あした=朝(明日ではない)」「よ=夜/世(同音異義)」。多義語は「ほど=時間・距離・程度・身分」「よし(由)=理由・由緒・手段・〜とのこと(趣旨)」「こころ=心・意味/趣旨・分別」「けしき(気色)=様子・機嫌(景色ではない)」。同じ語でも例文の文脈で意味が変わるので、訳し分けの感覚を養いましょう。全100問、例文と答え・解説はすべて整合させ、出典を断定できないものは文法的に正しい作例(出典なし)にしています。
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Q1.傍線部の名詞の意味を答えよ。
冬はつとめて、いみじう寒きに火など急ぎおこして。
答え:早朝。
解説:「つとめて」は『早朝』。現代語の「勤めて(努力して)」とは無関係。冬の趣として『早朝』をいう。
Q2.傍線部の名詞の意味を答えよ。
昨夜の雨やみて、つとめて見れば庭に紅葉散り敷きたり。
答え:翌朝。
解説:前夜の出来事を受けると「つとめて」は『(その)翌朝』の意。ここは「昨夜」を受けて『翌朝』。
Q3.傍線部の名詞の意味を答えよ。
春はあけぼの、やうやう白くなりゆく山ぎは。
答え:夜明け・明け方。
解説:「あけぼの」は『夜が明けてほのぼのと明るくなるころ=夜明け』。空が次第に白むさまをいう。
Q4.傍線部の名詞の意味を答えよ。
あしたに死し、ゆふべに生るるならひ。
答え:朝。
解説:「あした」は『朝』。夜(ゆふべ)と対になる語で、現代語の「明日(みらいの日)」ではない。「朝(あした)」と「夕(ゆふべ)」の対。
Q5.傍線部の名詞の意味を答えよ。
祭りのあした、人々なほ騒がし。
答え:翌朝。
解説:前夜の出来事(祭り)を受けて「あした」は『翌朝』の意になる。『明日』ではない点に注意。
Q6.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ゆふべの鐘の音、心細く響く。
答え:夕方(日暮れ)。
解説:「ゆふべ」は『夕方・日暮れ』。「あした(朝)」と対の語。今の「昨夕」とは限らない。
Q7.傍線部の名詞の意味を答えよ。
よもすがら、虫の音やまず。
答え:夜(一晩中の「夜」)。
解説:「よ」は『夜』。「夜もすがら=一晩中」のように使う。次の「世」と区別すること。
Q8.傍線部の名詞の意味を答えよ。
よの中の定めなきこそ、あはれなれ。
答え:世の中・世間。
解説:「よ(世)」は『世の中・世間』。無常をいう常套。直前の「夜」のよと同音異義なので文脈で判別する。
Q9.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ひとのよのはかなきを思ふ。
答え:一生・人生(この世)。
解説:「よ(世)」は『一生・この世・人生』の意でも使う。「人の世=人の一生」。
Q10.傍線部の名詞の意味を答えよ。
帝の御よ、めでたくおぼゆ。
答え:御代(治世)。
解説:「よ(世)」は『治世・御代』の意。「帝の御世=帝の治世」。
Q11.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ほどなく日も暮れぬ。
答え:時間(あいだ・ころ)。
解説:「ほどなく」で『まもなく・時をおかず』。「ほど」は時間・あいだを表す。多義語の一面。
Q12.傍線部の名詞の意味を答えよ。
二、三日がほど、雨降り続く。
答え:あいだ(時間)。
解説:「〜がほど」で『〜のあいだ』。ここは『二、三日のあいだ』。時間の意。
Q13.傍線部の名詞の意味を答えよ。
そのほどにあらぬ人に嫁がす。
答え:身分・分際。
解説:人の格の話では「ほど」は『身分・分際』。「そのほどにあらず=その身分に釣り合わない」。
Q14.傍線部の名詞の意味を答えよ。
おとなびたるほどになりにけり。
答え:年齢・年ごろ。
解説:「ほど」は『年齢・年ごろ』も表す。「おとなびたるほど=大人びた年ごろ」。
Q15.傍線部の名詞の意味を答えよ。
悲しさのほど、言ふかたなし。
答え:程度・ぐあい。
解説:「ほど」は『程度・ぐあい』。「悲しさのほど=悲しさの程度」。状態の度合いをいう。
Q16.傍線部の名詞の意味を答えよ。
参らぬよしを申し上ぐ。
答え:〜とのこと・〜という趣旨。
解説:「よし(由)」は伝聞・報告で『〜ということ・〜という趣旨』。「参らぬよし=参上しないとのこと」。
Q17.傍線部の名詞の意味を答えよ。
この池のよし、いとふるし。
答え:由緒・いわれ。
解説:「よし(由)」は『由緒・いわれ・趣』。「よしある=由緒がある・趣がある」。
Q18.傍線部の名詞の意味を答えよ。
かく言ふよしを尋ぬ。
答え:理由・わけ。
解説:「よし(由)」は『理由・わけ』。「言ふよし=言う理由」。多義語の基本義の一つ。
Q19.傍線部の名詞の意味を答えよ。
雨の降るゆゑに、出でやらず。
答え:理由・原因(〜なので)。
解説:「ゆゑに」は『〜が理由で・〜なので』。「ゆゑ(故)」は理由・原因を表す。
Q20.傍線部の名詞の意味を答えよ。
人のこころは移ろひやすし。
答え:心・気持ち。
解説:「こころ」の基本義は『心・気持ち』。現代語に近いが、以下のように意味が広い。
Q21.傍線部の名詞の意味を答えよ。
この歌のこころを解す。
答え:意味・趣旨。
解説:「こころ」は『(歌・文の)意味・趣旨』。「歌のこころ=歌の意味・趣旨」。現代語より広い。
Q22.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ものこころなき人にはあらず。
答え:分別・思慮(情趣を解する心)。
解説:「こころなし」は『分別・思慮がない/情趣を解さない』。ここは『分別・情趣を解する心』の意。
Q23.傍線部の名詞の意味を答えよ。
け近く召し寄せて語らふ。
答え:(〜の)感じ・けはい(ここでは「身近な感じ」)。
解説:「け(気)」は『様子・気配・感じ』。「け近し=親しみやすい・身近な感じだ」。他語と結びついて使う。
Q24.傍線部の名詞の意味を答えよ。
もの恐ろしきけあり。
答え:気配・様子・感じ。
解説:「け(気)」は『気配・感じ』。「恐ろしきけ=恐ろしい気配」。「〜のけ=〜の感じ」。
Q25.傍線部の名詞の意味を答えよ。
けしきあしくて立ち去りぬ。
答え:機嫌(きげん)。
解説:「けしき(気色)」は『機嫌・意向』。「けしきあし=機嫌が悪い」。自然の「景色」ではない点が最重要。
Q26.傍線部の名詞の意味を答えよ。
空のけしき、ただならず。
答え:様子・ありさま(きざし)。
解説:「けしき(気色)」は『様子・ありさま、きざし』。「空のけしき=空の様子・(荒れる)きざし」。なお人の様子・機嫌の意が基本。
Q27.傍線部の名詞の意味を答えよ。
人々のけしきをうかがふ。
答え:様子・意向(顔色)。
解説:「けしき(気色)」は人の『様子・意向・顔色』。「けしきをうかがふ=意向・顔色をうかがう」。
Q28.傍線部の名詞の意味を答えよ。
都のありさまを語り聞かす。
答え:様子・状態。
解説:「ありさま」は『様子・状態・ようす』。「在り様」。人や物事のありようをいう。
Q29.傍線部の名詞の意味を答えよ。
年ごろのほいかなひぬ。
答え:かねてからの望み・本来の願い。
解説:「ほい(本意)」は『かねてからの望み・本来の願い』。「年ごろのほい=長年の願い」。発音は「ほい」。
Q30.傍線部の名詞の意味を答えよ。
出家のほいを遂げけり。
答え:かねての本意・本来の望み。
解説:「ほい(本意)」は『かねての本意・本来の望み』。「ほいを遂ぐ=かねての望みをかなえる」。
Q31.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ほいなくて帰りぬ。
答え:本意(→ほいなし=不本意だ・残念だ)。
解説:「ほいなし」は『不本意だ・残念だ』。名詞「ほい(本意)」に打消の「なし」がついた形。
Q32.傍線部の名詞の意味を答えよ。
もののあはれは秋こそまされ、と言ふついでに。
答え:機会・おり。
解説:「ついで(序)」は『機会・おり』。「言ふついでに=話のついでに(機会に)」。現代の軽い「ついでに」とはやや別で、順序・機会の意。
Q33.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ことのついでを語る。
答え:順序・次第。
解説:「ついで(序)」は『順序・次第』。「ことのついで=物事の順序」。
Q34.傍線部の名詞の意味を答えよ。
雪の降るをりは、また趣ふかし。
答え:時・場合。
解説:「をり(折)」は『時・場合・季節・機会』。「雪の降るをり=雪の降るとき」。
Q35.傍線部の名詞の意味を答えよ。
よきをりに申し出でばや。
答え:機会・おり(タイミング)。
解説:「をり(折)」は『よい機会・タイミング』。「よきをり=ちょうどよい機会」。
Q36.傍線部の名詞の意味を答えよ。
昔のためしを引きて諫む。
答え:先例・前例。
解説:「ためし(例)」は『先例・前例・例』。「昔のためし=昔の先例」。現代語「試し」ではない。
Q37.傍線部の名詞の意味を答えよ。
せうそこを書きて遣はす。
答え:手紙。
解説:「せうそこ(消息)」は『手紙・たより』。「せうそこを遣はす=手紙を送る」。安否・連絡の意。
Q38.傍線部の名詞の意味を答えよ。
門の前にてせうそこす。
答え:案内を請うこと・取次ぎを頼むこと(訪問の案内)。
解説:「せうそこす」は『訪れて案内を請う・取次ぎを頼む』。来訪を告げる動作。手紙だけでなく訪問の意もある。
Q39.傍線部の名詞の意味を答えよ。
恋しき人よりふみ来たり。
答え:手紙。
解説:「ふみ(文)」は『手紙』。「ふみ来たり=手紙が来た」。恋文・たよりの意。
Q40.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ふみの道に深き人なり。
答え:学問(漢学・書物)。
解説:「ふみ(文)」は『学問・漢学・書物』も表す。「ふみの道=学問の道」。手紙の意と区別する。
Q41.傍線部の名詞の意味を答えよ。
旅のものがたりを夜もすがらす。
答え:話・世間話(語り合うこと)。
解説:「ものがたり」は『話・世間話、語り合うこと』。「ものがたりす=話をする・語り合う」。作品名だけの語ではない。
Q42.傍線部の名詞の意味を答えよ。
古きものがたりを読みふける。
答え:物語(作品)。
解説:「ものがたり」は『物語(作品)』も表す。文脈で「世間話」か「作品」かを判断する。
Q43.傍線部の名詞の意味を答えよ。
夢かうつつか、定かならず。
答え:現実。
解説:「うつつ(現)」は『現実』。「夢かうつつか=夢か現実か」。「ゆめ」と対で覚える。
Q44.傍線部の名詞の意味を答えよ。
もの思ひにうつつなし。
答え:正気(→うつつなし=正気でない・ぼんやりする)。
解説:「うつつなし」は『正気でない・ぼうっとする』。「うつつ(現)」は『正気・意識』の意も持つ。
Q45.傍線部の名詞の意味を答えよ。
はかなきゆめを見て嘆く。
答え:夢(睡眠中に見るもの)。
解説:名詞「ゆめ(夢)」は『睡眠中に見る夢・はかないもの』。「うつつ(現実)」と対。なお副詞「ゆめ〜な=決して〜な」は別語。
Q46.傍線部の名詞の意味を答えよ。
客人のまうけ、おさおさ怠らず。
答え:準備・用意。
解説:「まうけ(設け)」は『準備・用意』。「まうけす=準備する」。「客人のまうけ=客のもてなしの準備」。
Q47.傍線部の名詞の意味を答えよ。
わがみのおこたりを恥づ。
答え:自分・わが身。
解説:「み(身)」は『自分・わが身』。「わがみ=自分自身」。身体だけでなく「自分」を指す。
Q48.傍線部の名詞の意味を答えよ。
みのほどを知る人ぞよき。
答え:身分・分際。
解説:「みのほど」は『身分・分際』。「み(身)」は『身分』の意も持つ。「みのほどを知る=身分をわきまえる」。
Q49.傍線部の名詞の意味を答えよ。
かたちうるはしき女房なり。
答え:容貌・顔だち。
解説:「かたち」は古文では多く『容貌・顔だち・姿』。「かたちうるはし=顔だちが整っている」。単なる「形」ではない。
Q50.傍線部の名詞の意味を答えよ。
月のかたち、欠けゆくを惜しむ。
答え:形・姿。
解説:「かたち」は『形・姿』の意も。「月のかたち=月の形」。人なら多く「容貌」になる点と対比。
Q51.傍線部の名詞の意味を答えよ。
この人のこころばへ、いとやさし。
答え:心づかい・気だて(性質)。
解説:「こころばへ」は『心づかい・気だて・性質』。「こころばへやさし=気だてが優しい」。
Q52.傍線部の名詞の意味を答えよ。
庭の木立のこころばへ、おもしろし。
答え:趣・おもむき(風情)。
解説:「こころばへ」は物については『趣・おもむき・風情』。「木立のこころばへ=木立の趣」。
Q53.傍線部の名詞の意味を答えよ。
もてなしにようい深き主なり。
答え:心づかい・配慮(注意)。
解説:「ようい(用意)」は古文では多く『心づかい・配慮・注意』。「ようい深し=配慮がゆきとどく」。現代語「準備」より広い。
Q54.傍線部の名詞の意味を答えよ。
世に語り伝ふること多かり。
答え:事柄・出来事(事)。
解説:「こと(事)」は『事柄・出来事』。同音の「こと(言=ことば)」「こと(琴)」と文脈で区別する。
Q55.傍線部の名詞の意味を答えよ。
やさしきことの葉をかはす。
答え:言葉(言の葉)。
解説:「ことのは(言の葉)」で『言葉』。「こと(言)」は『言葉』を表し、「事」と同音。「ことの葉=言葉」。
Q56.傍線部の名詞の意味を答えよ。
なさけある人の言葉、身にしむ。
答え:思いやり・情趣を解する心。
解説:「なさけ(情)」は『思いやり・人情、情趣を解する心』。「なさけあり=思いやりがある・風流を解する」。
Q57.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ものなさけなきふるまひ。
答え:情け・風情(→なさけなし=思いやり・風情がない)。
解説:「なさけなし」は『思いやりがない・無風流だ』。「なさけ(情)」の打消。
Q58.傍線部の名詞の意味を答えよ。
秋の夕暮れのあはれ、言ふかたなし。
答え:しみじみとした情趣・感動。
解説:名詞「あはれ」は『しみじみとした情趣・感動』。「あはれを知る=情趣を解する」。明るい「をかし」と対比される美的理念。
Q59.傍線部の名詞の意味を答えよ。
命のかぎり、近づきぬ。
答え:最期・臨終。
解説:「かぎり(限り)」は『最期・臨終』の意がある。「命のかぎり=命の最期」。「〜のかぎり」で限界・最後をいう。
Q60.傍線部の名詞の意味を答えよ。
あるかぎりの人、集まりぬ。
答え:全部・ありったけ。
解説:「あるかぎり」は『全部・ありったけ・すべて』。「かぎり(限り)」は『全部・〜だけ』の意も持つ。
Q61.傍線部の名詞の意味を答えよ。
子といふほだし、思ひ捨てがたし。
答え:束縛となるもの・足手まとい。
解説:「ほだし(絆)」は『束縛となるもの・足手まとい』。出家などの妨げになる肉親・愛情をいう。「子のほだし=子という束縛」。
Q62.傍線部の名詞の意味を答えよ。
すきの道に名を得たる人。
答え:色好み・風流(好色・風雅)。
解説:「すき(好き・数寄)」は『色好み、また風流・風雅の道』。「すきの道=恋愛・風流の道」。
Q63.傍線部の名詞の意味を答えよ。
問へどいらへもせず。
答え:返事・応答。
解説:「いらへ(答へ)」は『返事・応答』。「いらへす=返事をする」。「問ふ」に対する「答へ」。
Q64.傍線部の名詞の意味を答えよ。
さとに下りて、しばし休らふ。
答え:実家・里(宮仕えを離れた私邸)。
解説:「さと(里)」は宮仕えの人にとって『実家・私邸』。「さとに下る=宮中から実家へ退出する」。田舎・在所の意も。
Q65.傍線部の名詞の意味を答えよ。
みやづかへのいそがしさを嘆く。
答え:宮仕え(朝廷・貴人に仕えること)。
解説:「みやづかへ(宮仕へ)」は『朝廷や貴人に仕えること』。女房・官人としての勤め。
Q66.傍線部の名詞の意味を答えよ。
うちにさぶらふ女房たち。
答え:宮中・内裏(御所)。
解説:「うち(内)」は『宮中・内裏』を指すことがある。「うちにさぶらふ=宮中にお仕えする」。文脈で「内側」と区別。
Q67.傍線部の名詞の意味を答えよ。
虫のね、よわりゆくも哀れなり。
答え:音・鳴き声。
解説:「ね(音)」は『音・鳴き声』。「虫のね=虫の音(鳴き声)」。「ねを泣く=声をあげて泣く」。
Q68.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ねを泣きて別れを惜しむ。
答え:声(→ねを泣く=声をあげて泣く)。
解説:「ねを泣く」は『声をあげて泣く』。「ね(音)」は『泣き声・声』の意。
Q69.傍線部の名詞の意味を答えよ。
簾のつまを風が吹きあぐ。
答え:端(はし)。
解説:「つま(端)」は『はし・へり』。「簾のつま=簾のはし」。同音の「つま(妻・夫)」と区別する。
Q70.傍線部の名詞の意味を答えよ。
わがつまとたのみし人。
答え:配偶者(妻、また夫)。
解説:「つま(妻・夫)」は『配偶者』。古くは男女どちらにも用い、女から男を「つま」と呼ぶこともある。
Q71.傍線部の名詞の意味を答えよ。
つごもりの月の見えぬ夜。
答え:月末(みそか)。
解説:「つごもり」は『月の末・みそか』。月が「籠(こも)る」から。月が見えないのはこのため。「ついたち(朔)」と対。
Q72.傍線部の名詞の意味を答えよ。
正月ついたち、雪降る。
答え:月の初め(一日)。
解説:「ついたち(朔)」は『月の初め・一日』。「月立ち」の意。「つごもり(月末)」と対で覚える。
Q73.傍線部の名詞の意味を答えよ。
としごろ思ひしことの叶ふ。
答え:長年・数年来。
解説:「としごろ(年ごろ)」は『長年・数年来・数年間』。現代語の「年頃(適齢期)」ではない。
Q74.傍線部の名詞の意味を答えよ。
ひごろの願ひ、今日かなふ。
答え:日ごろ・ふだん(ここ数日来)。
解説:「ひごろ(日ごろ)」は『ふだん・日ごろ、また数日来』。「ひごろの願ひ=ふだんの願い」。
Q75.傍線部の名詞の意味を答えよ。
雲のひまより月さし出づ。
答え:すきま・絶え間。
解説:「ひま(隙)」は『すきま・絶え間』。「雲のひま=雲の切れ間」。現代語の「暇(自由時間)」とずれる。
Q76.傍線部の名詞の意味を答えよ。
よきたよりを得て都へのぼる。
答え:よりどころ・つて(よい機会・縁故)。
解説:「たより(便り)」は『よりどころ・つて・よい機会、縁故』。「よきたより=よい機会・つて」。現代の「便り(手紙)」より広い。
Q77.傍線部の名詞の意味を答えよ。
風のたよりに聞きし噂。
答え:ついで・きっかけ(伝手)。
解説:「風のたより」は『ふとしたきっかけ・人づて』。「たより(便り)」は『きっかけ・つて』の意。
Q78.傍線部の名詞の意味を答えよ。
おもてを赤らめてうつむく。
答え:顔。
解説:「おもて(面)」は『顔・顔面』。「おもてを赤らむ=顔を赤らめる」。「面目」の意でも使う。
Q79.傍線部の名詞の意味を答えよ。
つれなき人のうらみ、深し。
答え:恨めしく思う気持ち(うらみ)。
解説:「うらみ(恨み)」は『恨めしく思う気持ち』。「うらむ」の名詞形。つれない相手への恨みをいう。
Q80.傍線部の名詞の意味を答えよ。
夢のおどろきに、夜深く起きぬ。
答え:目を覚ますこと・はっと気づくこと。
解説:「おどろき」は『目が覚めること・はっと気づくこと』。「おどろく=目を覚ます・はっと気づく」の名詞形。現代語の「びっくり」だけではない。
Q81.傍線部の名詞の意味を答えよ。
月の夜のあそび、たへなりけり。
答え:管絃・詩歌などの遊宴(音楽の催し)。
解説:「あそび(遊び)」は古文では多く『管絃・詩歌の遊宴、音楽の催し』。「あそびす=音楽などを楽しむ」。子どもの遊戯とは限らない。
Q82.傍線部の名詞の意味を答えよ。
亡き人のかたみを見て偲ぶ。
答え:形見・思い出のよすが。
解説:「かたみ(形見)」は『形見・思い出のよすが』。亡き人や別れた人をしのぶよすがとなる物。
Q83.傍線部の名詞の意味を答えよ。
よはひかたぶきて、なほ学ぶ。
答え:年齢・年。
解説:「よはひ(齢)」は『年齢・年』。「よはひかたぶく=年老いる」。
Q84.傍線部の名詞の意味を答えよ。
舟のゆくへも知らず漂ふ。
答え:行き先・行く末。
解説:「ゆくへ(行方)」は『行き先・行く末・将来』。「ゆくへも知らず=行き先もわからず」。
Q85.傍線部の名詞の意味を答えよ。
別れのなごり、惜しまるる。
答え:別れのつらさ・余韻(名残)。
解説:「なごり(名残)」は『別れのつらさ・余情・余韻』。「なごり惜し=別れがつらい」。
Q86.傍線部の名詞の意味を答えよ。
年の初めのあらましを語る。
答え:予定・あらかじめの心づもり。
解説:「あらまし」は『予定・あらかじめの計画・心づもり』。現代語の「あらまし(概要)」とずれ、『将来への予定・期待』をいう。
Q87.傍線部の名詞の意味を答えよ。
祈りのしるしありて、病癒えぬ。
答え:効きめ・効験。
解説:「しるし(験)」は『効きめ・効験・ご利益』。「しるしあり=効きめがある」。祈祷・薬の効果をいう。
Q88.傍線部の名詞の意味を答えよ。
吉事のしるしとぞ見ゆ。
答え:前兆・きざし(徴)。
解説:「しるし(徴)」は『前兆・きざし』。「吉事のしるし=よいことの前兆」。「験(効きめ)」と書き分けることもある。
Q89.傍線部の名詞の意味を答えよ。
あけくれ、文を読みて過ぐす。
答え:明け暮れ・毎日(朝な夕な)。
解説:「あけくれ(明け暮れ)」は『朝夕・毎日・いつも』。「あけくれ文を読む=毎日書物を読む」。
Q90.傍線部の名詞の意味を答えよ。
いにしへの歌人を慕ふ。
答え:昔・過去。
解説:「いにしへ(古)」は『昔・過去・大昔』。「いにしへの=昔の」。「今」と対の語。
Q91.傍線部の名詞の意味を答えよ。
子のゆくすゑを思ひやる。
答え:将来・行く末。
解説:「ゆくすゑ(行く末)」は『将来・行く末』。「いにしへ・むかし(過去)」と対。「子のゆくすゑ=子の将来」。
Q92.傍線部の名詞の意味を答えよ。
入相(いりあひ)のほど、鐘の音聞こゆ。
答え:ころ・時分(時間)。
解説:「ほど」は『ころ・時分』。「入相のほど=日暮れの時分」。時間を表す多義語の用法。
Q93.傍線部の名詞の意味を答えよ。
わが身のほどを顧みる。
答え:身分・分際。
解説:「ほど」は『身分・分際』。「身のほど=身分・分際」。人の格をいう用法。
Q94.傍線部の名詞の意味を答えよ。
旅立ちのよしを母に告ぐ。
答え:〜とのこと・〜という事情(趣旨)。
解説:「よし(由)」は『〜ということ・事情』。「旅立ちのよし=旅立ちするということ・事情」。報告・伝達の用法。
Q95.傍線部の名詞の意味を答えよ。
みづから訪(と)ふよしもなし。
答え:手段・方法。
解説:「よしなし」系で「よし」は『手段・方法』。「訪ふよしもなし=訪ねる手立てもない」。
Q96.傍線部の名詞の意味を答えよ。
こころのうちを明かさず。
答え:内・内側(うち=胸の内)。
解説:「うち(内)」は『内側・胸の内』。「こころのうち=心の中」。先の『宮中』の意とは別で、文脈で判別する。
Q97.傍線部の名詞の意味を答えよ。
この絵のこころを解す。
答え:意味・趣旨。
解説:「こころ」は『意味・趣旨・主旨』。「絵のこころ=絵の意味・主旨」。歌・文・絵の「こころ」は趣旨をいう。
Q98.傍線部の名詞の意味を答えよ。
もてなしのけしき、ねんごろなり。
答え:様子・態度(ありさま)。
解説:「けしき(気色)」は『様子・態度・ありさま』。「もてなしのけしき=もてなしの様子」。やはり自然の景色の意ではない。
Q99.傍線部の名詞の意味を答えよ。
をりふしのをりにかなふ。
答え:時・場合(季節)。
解説:「をり(折)」は『時・場合・季節』。「をりふし=その時々・季節」、「をりにかなふ=時宜にかなう」。
Q100.傍線部の名詞の意味を答えよ。
命あるかぎりは仕へむ。
答え:〜だけ・限度(ある間ずっと)。
解説:「かぎり(限り)」は『〜の限度・〜だけ・〜の間ずっと』。「命あるかぎり=命のある間ずっと」。
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