反実仮想・ためらいの意志を100問で見分ける
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📖 識別の理屈を先に押さえたい方へ
このドリルでわかること
はじめに:「まし」の3用法
古文の助動詞「まし」は、未然形接続 の 反実仮想 を中心とした助動詞。
| 用法 | 訳 | 判別ポイント |
|---|---|---|
| ① 反実仮想 | (もし〜であったら)〜であろうに | 「ませば/せば/ましかば/(未然形)ば〜まし」 |
| ② ためらい・迷い | 〜しようかしら・〜したらよいだろうか | 疑問の語(いかに・いかが・何・いづれ・誰)や係助詞「や」「か」+まし |
| ③ 単純な推量 | 〜だろう(中世以降・稀) | 仮定も疑問の語もない中世以降の文(まず①の仮定の省略を疑う) |
反実仮想:現実とは反対の仮定。「もし〜だったら〜なのに(実際は違う)」。 古文の「まし」の最も重要な用法。
※①の一種に、仮定の部分を言わずに「〜ましものを」「〜ましを」の形で「〜すればよかったのに」と、実現できない希望を表す使い方がある(例:露と答へて消えなましものを)。
活用と接続
| 活用形 | 形 |
|---|---|
| 未然 | ましか/ませ |
| 連用 | (なし) |
| 終止 | まし |
| 連体 | まし |
| 已然 | ましか |
| 命令 | (なし) |
接続:未然形接続
識別の鉄則
- 「ませば/せば/ましかば/(未然形)ば」+「まし」 → 反実仮想(最頻出)。仮定を言わない「〜ましものを」も反実仮想の一種(実現できない希望)
- 疑問の語(いかに・いかが・何・いづれ・誰)や係助詞「や」「か」+「まし」 → ためらい・迷い
- 仮定も疑問の語もない → まず仮定が省かれた反実仮想を疑う。中世以降の文では単純な推量のことも(稀)
上の「識別の鉄則」が見分けの基本。
こちらは 試験本番ですばやく答えを出す ための実戦テクニックです。
コツ① 「せば/ませば/ましかば/(未然形)ば」を見たら即・反実仮想
これは合言葉。文中に「ませば/せば/ましかば」か、未然形+「ば」(行かば・あらば)の仮定があって、後ろに「まし」 → 反実仮想で確定。 例:見ませば〜慰めなまし / あらましかば〜思はまし / 風吹かば〜波立たまし
→ 仮定の「〜ば」を探すのが最速ルート。多くの問題はこれで決まる。
コツ② 疑問の語+「まし」 → ためらい・迷い
「いかにせまし/何をかせまし/いづちか行かまし/〜や〜まし」のように、疑問の語(いかに・いかが・何・いづれ・誰)や係助詞「や」「か」といっしょの「まし」は ためらい・迷い(〜しようかしら・〜したらよいだろうか)。 例:いかにかせまし / いづちか行かまし / 山にや登らまし
→ 「まし」にかかる疑問の語があって反実仮想の合図(仮定の「〜ば」)がなければ、ためらいで即答。
コツ③ 「な+まし」は反実仮想とセット
「ませば〜なまし」のように、結びの「まし」の直前が「な」(完了「ぬ」未然) → 反実仮想の典型形。 例:見ませば心慰めなまし → 「見たならば心が慰められただろうに」
コツ④ 仮定も疑問の語もない「まし」は、まず 反実仮想 を疑う
仮定の合図(せば/ましかば/〜ば)も疑問の語もない「まし」は、まず仮定が省かれた反実仮想と考える。「〜ましものを」「〜ましを」なら「〜すればよかったのに」(実現できない希望)。 「ましかば」で文が切れて、後ろの「〜まし」が省かれることもある。単純な推量(〜だろう)は中世以降の文にまれに出るだけ。
試験本番でのチェック順序
- 文中に「せば/ませば/ましかば」や未然形+「ば」の仮定 → 反実仮想
- 「まし」にかかる 疑問の語(いかに・いかが・何・いづれ・誰/係助詞「や」「か」) → ためらい・迷い
- どちらもない → 仮定が省かれた反実仮想(「〜ましものを」は実現できない希望)。中世以降の文なら単純推量のことも(稀)
→ この順番で確かめれば、すばやく 答えが出ます。
よくある引っかけ
- 「ましかば」の「ましか」は 未然形(未然形+ば=もし〜だったら)。已然形の「ましか」は「こそ〜ましか」の結びに使う
- 「まし」の連体形は、係助詞「や・か」の結び(いづちか行かまし)や「〜ましものを」の形でよく出る
- 「〜ば、いかに楽しからまし」の「いかに」は「どんなに」。仮定の「〜ば」があるので、ためらいではなく反実仮想
- 連用形に付く「せば」の「せ」は過去「き」の未然形(なかりせば・知りせば)。「き」は連用形に付く
- 反実仮想は「現実とは反対」の仮定。本文の文脈で実際は起きていないことを言っている
🎯 解き方のコツ(時短テクニック)
問題(Q1〜Q100)
ここから100問を表示します。スマホでも解けるよう、答えと解説は各問の直下に表示しています。「解答が見えると解いた気にならない」という方は、上のPDFをダウンロードして印刷で解いてください。
【第1部】基礎編
Q1.「まし」の用法を答えよ。
月を見ませば、心慰めなまし。
答え:反実仮想 解説:「ませば〜なまし」。「月を見たならば、心が慰められるだろうに」。
Q2.「まし」の用法を答えよ。
春来たらば、花咲かまし。
答え:反実仮想 解説:「(未然形)ば〜まし」。「来たら」は未然形で、未然形+「ば」は「もし〜ならば」の仮定。「春が来たならば、花が咲くだろうに」。
Q3.「まし」の用法を答えよ。
いかにかせまし、と心迷ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「いかに」+「まし」。「どうしたらよいだろうかと、心が迷う」。
Q4.「まし」の用法を答えよ。
知らましかば、教へなまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜なまし」。「知っていたならば、教えたであろうに」。
Q5.「まし」の用法を答えよ。
いづれの道を行かまし。
答え:ためらい・迷い 解説:疑問詞「いづれ」+「まし」。「どちらの道を行ったらよいだろうか」。
Q6.「まし」の用法を答えよ。
春過ぎば、人みな嘆かまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「春が過ぎたら、人々はみな嘆くだろうに」。
Q7.「まし」の用法を答えよ。
心ある人に問はましかば、答へなまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜なまし」。「心ある人に尋ねたならば、答えてくれただろうに」。
Q8.「まし」の用法を答えよ。
いかがせましと、独り嘆く。
答え:ためらい・迷い 解説:「いかが」+「まし」。「どうしたらよいだろうかと、独りため息をつく」。
Q9.「まし」の用法を答えよ。
風吹かば、波立たまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「風が吹いたならば、波が立つだろうに」。
Q10.「まし」の用法を答えよ。
舟あらましかば、この川をも渡らまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「あら」はラ変「あり」の未然形、「渡ら」は四段「渡る」の未然形。「舟があったならば、この川も渡っただろうに(実際は舟がないので渡れない)」。
Q11.「まし」の用法を答えよ。
かからむと知らましかば、行かましやは。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「やは」は反語(〜だろうか、いや〜ない)。「こうなるだろうと知っていたならば、行っただろうか、いや、行かなかっただろう」。反語は「やは」のはたらきで、「まし」の用法は反実仮想。
Q12.「まし」の用法を答えよ。
文を読まましかば、ものの心も知らまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「読ま」は四段「読む」の未然形(「まし」は未然形に付く)。「書物を読んでいたならば、物事の道理もわかっただろうに」。
Q13.「まし」の用法を答えよ。
かくと知らば、われも詠まましを。
答え:反実仮想 解説:「(未然形)ば〜まし」。「知ら」は四段「知る」の未然形+ば(仮定)。文末の「を」は「〜のに」と残念な気持ちを表す。「こうと知っていたならば、私も(歌を)詠んだだろうに」。
Q14.「まし」の用法を答えよ。
親に問はば、答へなまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「親に尋ねたならば、答えただろうに」。
Q15.「まし」の用法を答えよ。
いかなる歌をか詠ままし。
答え:ためらい・迷い 解説:「いかなる」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「どのような歌を詠もうかしら」。
Q16.「まし」の用法を答えよ。
月の都に住まましかば、老いもせざらまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「住ま」は四段「住む」の未然形。「ざら」は打消「ず」の未然形。「月の都に住んでいたならば、年をとることもなかっただろうに」。
Q17.「まし」の用法を答えよ。
我れ歌詠まば、人もめでまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「詠ま」は四段「詠む」の未然形+ば。「めで」は下二段「愛づ」(ほめる)の未然形(「まし」は未然形に付く)。「私が歌を詠んだなら、人も(その歌を)ほめただろうに」。
Q18.「まし」の用法を答えよ。
山に登らましやと迷ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「まし」+「や」(疑問)。「山に登ろうかと迷う」。
Q19.「まし」の用法を答えよ。
君が心、知らましかば、なほ恋しからまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「知ら」は四段「知る」の未然形。「あなたの心を知っていたなら、いっそう恋しく思っただろうに」。
Q20.「まし」の用法を答えよ。
いまさら知らば、くやしからまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「くやしから」は形容詞「くやし」の未然形。「今さら知ったならば、くやしかっただろうに」。
基礎編 /20
【第2部】標準編
Q21.「まし」の用法を答えよ。
幼き時より学問せましかば、いかに賢からまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「学問せ」はサ変「学問す」の未然形。「賢から」は形容詞「賢し」の未然形。「幼い時から学問をしていたならば、どんなに賢かっただろうに」。
Q22.「まし」の用法を答えよ。
風吹かざらましかば、波静かならまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「吹か」は四段「吹く」の未然形、「ざら」は打消「ず」の未然形。「風が吹かなかったならば、波は静かだっただろうに(実際は風が吹いて波が立っている)」。
Q23.「まし」の用法を答えよ。
いづちか行かましと思ひわづらふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「いづち」(どちらへ)+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「どちらへ行こうかしらと思い悩む」。
Q24.「まし」の用法を答えよ。
我れも見ば、悲しからまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「私も見たならば、悲しいだろうに」。
Q25.「まし」の用法を答えよ。
仏に祈らましかば、病も癒えまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「癒え」は下二段「癒ゆ」の未然形。「仏に祈っていたならば、病気も治っただろうに」。
Q26.「まし」の用法を答えよ。
何か言はましと心迷ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「何か」+「まし」。「何か」は「何を〜か」の意味で、係助詞「か」の結びで「まし」は連体形。「何を言おうかと心が迷う」。
Q27.「まし」の用法を答えよ。
君を見ましかば、嘆かざらまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「君を見ていたなら、嘆かなかっただろうに」。
Q28.「まし」の用法を答えよ。
海荒れざらば、舟漕がまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「荒れ」は下二段「荒る」の未然形、「ざら」は打消「ず」の未然形+ば。「漕が」は四段「漕ぐ」の未然形。「海が荒れていなかったならば、舟を漕ぎ出しただろうに」。
Q29.「まし」の用法を答えよ。
今宵はここに宿りやせまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「宿り」(四段「宿る」の連用形)+係助詞「や」+「せ」(サ変「す」の未然形)+「まし」(「や」の結びで連体形)。「今夜はここに泊まろうかしら」。
Q30.「まし」の用法を答えよ。
我れ仏の道を究めば、いかに尊からまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「究め」は下二段「究む」の未然形。「尊から」は形容詞「尊し」の未然形。「私が仏の道をきわめたならば、どんなに尊いことだろうに」。
Q31.「まし」の用法を答えよ。
月の都の人ならば、いま帰らまし。
答え:反実仮想 解説:「ならば〜まし」。「月の都の人ならば、今帰るであろうに」。
Q32.「まし」の用法を答えよ。
命長からましかば、いかに楽しからまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「命が長かったなら、どんなに楽しいだろうに」。
Q33.「まし」の用法を答えよ。
雨止まば、出でなまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜なまし」。完了「ぬ」未然「な」+「まし」。「雨が止んだなら、出かけただろうに」。
Q34.「まし」の用法を答えよ。
かの人に会はましかば、思ひも晴れなまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜なまし」。「会は」は四段「会ふ」の未然形。「晴れ」は下二段「晴る」の連用形、「な」は完了「ぬ」の未然形。「あの人に会っていたならば、物思いも晴れただろうに」。
Q35.「まし」の用法を答えよ。
いかにして、この思ひを知らせまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「いかにして」(どのようにして)+「まし」。「知らせ」は下二段「知らす」の未然形。「どのようにして、この思いを(あの人に)知らせようかしら」。
Q36.「まし」の用法を答えよ。
我れ若からましかば、何事も成さまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「若から」は形容詞「若し」の未然形、「成さ」は四段「成す」の未然形(「まし」は未然形に付く)。「私が若かったならば、何事も成し遂げただろうに」。
Q37.「まし」の用法を答えよ。
しやせまし、せずやあらましと思ふ事は、おほやうは、せぬはよきなり。(徒然草)
答え:ためらい・迷い 解説:係助詞「や」+「まし」(「や」の結びで連体形)。「しようかしら、しないでおこうかしらと迷うことは、たいていは、しないほうがよいのである」。(徒然草・第九十八段)
Q38.「まし」の用法を答えよ。
月見ましかば、人をも思ひ出でまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「見」は上一段「見る」の未然形。「思ひ出で」は下二段「思ひ出づ」の未然形。「月を見ていたならば、あの人のことも思い出しただろうに」。
Q39.「まし」の用法を答えよ。
いまさら何せまし。
答え:ためらい・迷い(反語的) 解説:「何せまし」。「今さら何をしようか」。
Q40.「まし」の用法を答えよ。
春雨降らましかば、桜散りなまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜なまし」。「散り」は四段「散る」の連用形、「な」は完了「ぬ」の未然形(「ぬ」は連用形に付く)。「春雨が降っていたならば、桜は散ってしまっただろうに」。
Q41.「まし」の用法を答えよ。
我れ知らば、まづ君に語らまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「知ら」は四段「知る」の未然形+ば。「私が知っていたならば、まずあなたに話しただろうに」。
Q42.「まし」の用法を答えよ。
心安く眠らましかば、夢も見まし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。
Q43.「まし」の用法を答えよ。
宮にや参らましと迷ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:係助詞「や」(疑問)+「まし」(「や」の結びで連体形)。「宮に参上しようかしらと迷う」。
Q44.「まし」の用法を答えよ。
都に住まば、なほ古き友、訪ねまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。
Q45.「まし」の用法を答えよ。
この文をや焼き捨てましと、独り思ひ乱る。
答え:ためらい・迷い 解説:係助詞「や」+「まし」(「や」の結びで連体形)。「焼き捨て」は下二段「焼き捨つ」の未然形。「この手紙を焼き捨ててしまおうかしらと、独り思い乱れる」。
Q46.「まし」の用法を答えよ。
花を見ましかば、憂きことも忘れまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「忘れ」は下二段「忘る」の未然形。「花を見ていたならば、つらいことも忘れただろうに」。
Q47.「まし」の用法を答えよ。
人に問はば、道に迷はざらまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「問は」は四段「問ふ」の未然形+ば。「ざら」は打消「ず」の未然形。「人に(道を)尋ねていたならば、道に迷わなかっただろうに」。
Q48.「まし」の用法を答えよ。
いづれをか取らましと、心迷ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「いづれ」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「どれを取ろうかしらと、心が迷う」。
Q49.「まし」の用法を答えよ。
月清く照らましかば、夜更けて見まし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。
Q50.「まし」の用法を答えよ。
この花をや折らましと、立ちやすらふ。
答え:ためらい・迷い 解説:係助詞「や」+「まし」(「や」の結びで連体形)。「この花を折ろうかしらと、立ち止まってためらう」。
標準編 /30
【第3部】応用編
Q51.「まし」の用法を答えよ。
鏡に色・かたちあらましかば、うつらざらまし。(徒然草)
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「あら」はラ変「あり」の未然形、「ざら」は打消「ず」の未然形。「鏡に色や形があったならば、(物の姿は)映らなかっただろうに(実際は色も形もないので何でも映る)」。(徒然草・第二百三十五段)
Q52.「まし」の用法を答えよ。
雪の朝に訪はましかば、いかにをかしからまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「訪は」は四段「訪ふ」の未然形。「をかしから」は形容詞「をかし」の未然形。「(あなたが)雪の朝に訪ねて来ていたならば、どんなに趣深かっただろうに」。
Q53.「まし」の用法を答えよ。
君が文を見ば、いかにうれしからまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「見」は上一段「見る」の未然形+ば。「うれしから」は形容詞「うれし」の未然形。「あなたの手紙を見たならば、どんなにうれしかっただろうに」。
Q54.「まし」の用法を答えよ。
心ある人にあらましかば、これを尊しと思はまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。
Q55.「まし」の用法を答えよ。
何をか形見に残さましと思ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「何」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「残さ」は四段「残す」の未然形。「何を形見に残そうかしらと思う」。
Q56.「まし」の用法を答えよ。
仏に祈らば、心安からまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「祈ら」は四段「祈る」の未然形+ば。「心安から」は形容詞「心安し」の未然形。「仏に祈っていたならば、心が安らかだっただろうに」。
Q57.「まし」の用法を答えよ。
春の野に行かましかば、若菜も摘ままし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「行か」は四段「行く」の未然形。「春の野に行っていたならば、若菜も摘んだだろうに」。
Q58.「まし」の用法を答えよ。
いづれの日にか出で立たまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「いづれの日」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「出で立た」は四段「出で立つ」の未然形。「どの日に出発しようかしら」。
Q59.「まし」の用法を答えよ。
道を急がましかば、宵のほどに着かまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「急が」は四段「急ぐ」の未然形。「着か」は四段「着く」の未然形。「道を急いでいたならば、宵のうちに着いただろうに」。
Q60.「まし」の用法を答えよ。
古き友、いま訪ねば、いかに喜ばまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。
Q61.「まし」の用法を答えよ。
心定まらば、いかに楽しからまし。
答え:反実仮想 解説:「(未然形)ば〜まし」。「定まら」は四段「定まる」の未然形+ば。「心が落ち着いていたならば、どんなに楽しかっただろうに」。
Q62.「まし」の用法を答えよ。
かかる折に、母のあらましかば、と思ふ。
答え:反実仮想 解説:「ましかば」の後ろの「〜まし」が省かれた形。「あら」はラ変「あり」の未然形。「このような時に、母が生きていたならば(どんなによかっただろうに)と思う」。後ろが省かれていても、「ましかば」があれば反実仮想。
Q63.「まし」の用法を答えよ。
心ある人を訪ねば、いかばかり語らはまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「訪ね」は下二段「訪ぬ」の未然形+ば。「語らは」は四段「語らふ」の未然形。「いかばかり」は「どれほど」。「心ある人を訪ねたならば、どれほど語り合っただろうに」。
Q64.「まし」の用法を答えよ。
旅に出でましかば、なほ多く見まし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。
Q65.「まし」の用法を答えよ。
白玉か何ぞと人の問ひし時露と答へて消えなましものを(伊勢物語)
答え:反実仮想(実現できない希望) 解説:「〜ましものを」。仮定の部分を言わずに、「『あれは真珠か、何か』とあの人が尋ねた時、『露だ』と答えて、(露のように)消えてしまえばよかったのに」と、実現できなかったことを望む(反実仮想の一種)。「な」は完了「ぬ」の未然形。「白玉か何ぞ」の「か」「何」は、人が尋ねた言葉の中のもので、「まし」にはかからない。仮定も、「まし」にかかる疑問の語もない「〜ましものを」なので、反実仮想(実現できない希望)。(伊勢物語・第六段)
Q66.「まし」の用法を答えよ。
我れ若き時にあらましかば、いかばかり学ばまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「学ば」は四段「学ぶ」の未然形。「いかばかり」は「どれほど」。「私が若い時であったならば、どれほど学んだだろうに」。
Q67.「まし」の用法を答えよ。
出でやせましと思へど、雨なほ降る。
答え:ためらい・迷い 解説:「出で」(下二段「出づ」の連用形)+係助詞「や」+「せ」(サ変「す」の未然形)+「まし」(「や」の結びで連体形)。「出かけようかしらと思うけれど、雨がまだ降っている」。
Q68.「まし」の用法を答えよ。
月を愛でましかば、夜更けまで楽しままし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。
Q69.「まし」の用法を答えよ。
常に春ならば、いかにめでたからまし。
答え:反実仮想 解説:「(未然形)ば〜まし」。「なら」は断定「なり」の未然形+ば。「めでたから」は形容詞「めでたし」の未然形。「いつも春であったならば、どんなにすばらしかっただろうに」。
Q70.「まし」の用法を答えよ。
返り事は、いかが聞こえまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「いかが」+「まし」。「聞こえ」は謙譲語「聞こゆ」(申し上げる)の未然形。「お返事は、どのように申し上げたらよいだろうか」。
Q71.「まし」の用法を答えよ。
その夜のうちに返しせましかば、人も恨みざらまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「返しせ」は「返し(返歌・返事)」+サ変「す」の未然形「せ」。「恨み」は上二段「恨む」の未然形、「ざら」は打消「ず」の未然形。「その夜のうちに返歌をしていたならば、あの人も恨まなかっただろうに」。
Q72.「まし」の用法を答えよ。
山里にや籠もらましと思ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:係助詞「や」+「まし」(「や」の結びで連体形)。「籠もら」は四段「籠もる」の未然形。「山里にこもろうかしらと思う」。
Q73.「まし」の用法を答えよ。
春雨降らば、桜なほ咲かまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。
Q74.「まし」の用法を答えよ。
誰にか問はましと、思ひわづらふ。
答え:ためらい・迷い 解説:「誰」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「誰に尋ねようかしらと、思い悩む」。
Q75.「まし」の用法を答えよ。
古き友、なほ我れに語らましかば、心慰ままし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「慰ま」は四段「慰む」(心が晴れる)の未然形。「古い友が、もっと私に話してくれていたならば、心が慰められただろうに」。
Q76.「まし」の用法を答えよ。
いつか故郷に帰らましと、思ひ暮らす。
答え:ためらい・迷い 解説:「いつ」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「帰ら」は四段「帰る」の未然形。今の「いつか(そのうち)」ではなく、「いつ〜か」とたずねる形。「いつ故郷に帰ろうかしらと、思いながら日を過ごす」。
Q77.「まし」の用法を答えよ。
雲晴れば、月も見えまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「晴れ」は下二段「晴る」の未然形+ば。「見え」は下二段「見ゆ」の未然形。「雲が晴れていたならば、月も見えただろうに」。
Q78.「まし」の用法を答えよ。
梅の花咲かましかば、折りて君に贈らまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「咲か」は四段「咲く」の未然形。「贈ら」は四段「贈る」の未然形。「梅の花が咲いていたならば、折ってあなたに贈っただろうに」。
Q79.「まし」の用法を答えよ。
この笛を誰にか譲らまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「誰」+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「譲ら」は四段「譲る」の未然形。「この笛を誰に譲ろうかしら」。
Q80.「まし」の用法を答えよ。
男の身ならば、都にも上らまし。
答え:反実仮想 解説:「(未然形)ば〜まし」。「なら」は断定「なり」の未然形+ば。「上ら」は四段「上る」の未然形。「男の身であったならば、都にも上っただろうに」。
応用編 /30
【第4部】入試レベル
Q81.「まし」の用法を答えよ。
世の中にたえて桜のなかりせば、春の心はのどけからまし(古今和歌集)
答え:反実仮想 解説:「せば〜まし」。在原業平の有名な歌。「世の中に絶えて桜がなかったならば、春の心はのどかであろうに」。
Q82.「まし」の用法を答えよ。
いつはりのなき世なりせばいかばかり人の言の葉うれしからまし(古今和歌集)
答え:反実仮想 解説:「せば〜まし」。「なり」は断定「なり」の連用形、「せ」は過去「き」の未然形。「いかばかり」は「どれほど」。「うそのない世の中であったならば、どれほど人の言葉がうれしいことだろうに(実際はうそがあるので、すなおには喜べない)」。(古今和歌集・よみ人しらず)
Q83.「まし」の用法を答えよ。
さて、かばかりの詩を作りたらましかば、名の上がらむこともまさりなまし。(大鏡)
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜なまし」。「作りたら」は四段「作る」の連用形+完了「たり」の未然形「たら」、「まさりな」は四段「まさる」の連用形+完了「ぬ」の未然形「な」。「(漢詩の舟に乗って)これほどの詩を作っていたならば、名声が上がることも、もっとまさっていただろうに」。藤原公任が、和歌の舟ではなく漢詩の舟に乗ればよかったと悔やむ場面。(大鏡・三船の才)
Q84.「まし」の用法を答えよ。
いかにせん、いかにせまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「いかに」+「まし」。「どうしようか、どうしたらよいだろう」。
Q85.「まし」の用法を答えよ。
語らふ人のあらましかば、この月をともに見ましを。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」+「を」(〜のに)。「語らふ」は四段「語らふ」(親しく語り合う)の連体形。「親しく語り合う人がいたならば、この月をいっしょに見ただろうに」。
Q86.「まし」の用法を答えよ。
琴をよく習ひせば、人にも聞かせまし。
答え:反実仮想 解説:「せば〜まし」。「習ひ」は四段「習ふ」の連用形+過去「き」の未然形「せ」+ば(「き」は連用形に付く)。「聞かせ」は下二段「聞かす」の未然形。「琴をよく習っていたならば、人にも聞かせただろうに」。
Q87.「まし」の用法を答えよ。
この山に桜あらましかば、見る人も多からまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「あら」はラ変「あり」の未然形。「多から」は形容詞「多し」の未然形。「この山に桜があったならば、見に来る人も多かっただろうに」。
Q88.「まし」の用法を答えよ。
やすらはで寝なましものをさ夜ふけてかたぶくまでの月を見しかな(後拾遺和歌集)
答え:反実仮想(実現できない希望) 解説:「〜ましものを」。仮定の部分を言わずに、「(あなたが来ないと知っていたら)ためらわずに寝てしまえばよかったのに。夜が更けて、西に傾くまでの月を見てしまったことよ」と、実現できなかったことを悔やむ(反実仮想の一種)。「な」は完了「ぬ」の未然形。(後拾遺和歌集・赤染衛門)
Q89.「まし」の用法を答えよ。
文をや書かまし、使ひをや遣らましと、心迷ふ。
答え:ためらい・迷い 解説:係助詞「や」+「まし」(「や」の結びで連体形)を二つ並べた形。「遣ら」は四段「遣る」の未然形。「手紙を書こうかしら、使いをやろうかしらと、心が迷う」。
Q90.「まし」の用法を答えよ。
花の盛りに来ば、なほ心ゆかまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「来」はカ変「来」の未然形「こ」+ば。「心ゆか」は四段「心ゆく」(満足する)の未然形。「花の盛りに来ていたならば、もっと満足しただろうに」。
Q91.「まし」の用法を答えよ。
翼ありせば、君がもとへ飛び行かまし。
答え:反実仮想 解説:「せば〜まし」。「あり」はラ変「あり」の連用形+過去「き」の未然形「せ」+ば。「飛び行か」は四段「飛び行く」の未然形。「翼があったならば、あなたのところへ飛んで行っただろうに」。
Q92.「まし」の用法を答えよ。
供の人あらましかば、いかに心強からまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「あら」はラ変「あり」の未然形。「心強から」は形容詞「心強し」の未然形。「お供の人がいたならば、どんなに心強かっただろうに」。
Q93.「まし」の用法を答えよ。
これに何を書かまし。(枕草子)
答え:ためらい・迷い 解説:疑問の語「何」+「まし」。「これ(献上された紙)に何を書いたらよいだろうか」。中宮定子の言葉。(枕草子・跋文)
Q94.「まし」の用法を答えよ。
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを(古今和歌集)
答え:反実仮想 解説:「せば〜まし」。「知り」は四段「知る」の連用形+過去「き」の未然形「せ」+ば(「き」は連用形に付く)。「ざら」は打消「ず」の未然形。「(あの人を)思いながら寝たので、あの人が(夢に)見えたのだろうか。夢だと知っていたならば、目を覚まさなかっただろうに」。(古今和歌集・小野小町)
Q95.「まし」の用法を答えよ。
とく帰らましかば、かかる雨にも会はざらましを。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」+「を」(〜のに)。「会は」は四段「会ふ」の未然形、「ざら」は打消「ず」の未然形。「早く帰っていたならば、このような雨にもあわなかっただろうに」。
Q96.「まし」の用法を答えよ。
文をだに交はさば、心通はまし。
答え:反実仮想 解説:「ば〜まし」。「だに」は「せめて〜だけでも」。「交はさ」は四段「交はす」の未然形+ば。「心通は」は四段「心通ふ」の未然形。「せめて手紙だけでも交わしていたならば、心が通い合っただろうに」。
Q97.「まし」の用法を答えよ。
世を捨てせば、かく思ひ乱れざらまし。
答え:反実仮想 解説:「せば〜まし」。「捨て」は下二段「捨つ」の連用形+過去「き」の未然形「せ」+ば。「思ひ乱れ」は下二段「思ひ乱る」の未然形、「ざら」は打消「ず」の未然形。「出家していたならば、こんなに思い乱れなかっただろうに」。
Q98.「まし」の用法を答えよ。
かの人のこれを見ましかば、涙を落とさまし。
答え:反実仮想 解説:「ましかば〜まし」。「見」は上一段「見る」の未然形。「落とさ」は四段「落とす」の未然形。「あの人がこれを見ていたならば、涙を流しただろうに」。
Q99.「まし」の用法を答えよ。
この憂き世を、いづくにか逃れまし。
答え:ためらい・迷い 解説:「いづく」(どこ)+係助詞「か」+「まし」(「か」の結びで連体形)。「逃れ」は下二段「逃る」の未然形。「このつらい世の中から、どこへ逃れようかしら」。
Q100.「まし」の用法を答えよ。
この花を君に見せましかば、とぞ嘆く。
答え:反実仮想 解説:「ましかば」の後ろの「〜まし」が省かれた形。「見せ」は下二段「見す」の未然形。「この花をあなたに見せていたならば(どんなによかっただろうに)と嘆く」。後ろが省かれていても、「ましかば」があれば反実仮想。
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