過去推量・過去原因推量・過去婉曲を100問で見分ける
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📖 識別の理屈を先に押さえたい方へ
このドリルでわかること
はじめに:「けむ」の3用法
古文の助動詞「けむ」は、連用形接続 の 過去推量 の助動詞。 過去について「〜たであろう」と推測する。
| 用法 | 訳 | 判別ポイント |
|---|---|---|
| ① 過去推量 | 〜たであろう | 過去の出来事を推測(文末) |
| ② 過去の原因推量 | (どうして)〜たのだろう | 「など・なぞ・いかで」と呼応 |
| ③ 過去の伝聞・婉曲 | 〜たとかいう・〜たような | 体言の前 |
「らむ」(現在推量)の 過去版 にあたる助動詞。
識別の鉄則
識別の鉄則 1. 直後に体言(「〜けむを」「〜けむぞ」のように、後に「こと」を補って名詞の代わりになる形も) → 婉曲 2. 文末(「ぞ・なむ・や・か」の結びも)で、わけを問う語(など・なぞ・いかで・何ゆゑに、また「いかなる縁にて」「何の故に」のように、わけを問う言い方)と呼応、または後に書かれた出来事のわけを「〜からだろうか」と推し量る → 原因推量 3. 上記以外(文末、または「〜けむを、」と下へ続く形。コツ④) → 過去推量(「いづこ」「誰」「いかなる人」「何を」「いかに(どのように)」など、わけ以外を問う語があっても過去推量)
「識別の鉄則」は、答えを決める順番そのもの。
こちらは 試験本番で3秒で答えを出す ための実戦テクニックです。
コツ① 「けむ」の直後が体言なら 即・婉曲
「けむ+名詞」は 婉曲(〜たとかいう・〜たような)。考えずに即答してOK。 例:住みけむ人 / 渡りけむ僧 / 咲きけむ花
→ 「けむ+人/僧/花/頃/こと」を見たら即「婉曲」。
コツ② 疑問の語は 「わけ」を問う語か を見よ
「など/なぞ/などて/いかで/なにしに/何ゆゑ(に)」のような わけ(どうして)を問う語 があれば 原因推量。「いかなる縁にて」「何の契りにて」(どんな因縁で)のように、そうなったわけを問う言い方も同じ。 「いづこ(どこ)/誰/何を/いかなる(どんな)/いかに(どのように)/いかばかり(どれほど)」は、場所・人・物・様子・程度を問う語なので 過去推量(〜たのだろうか)。
例:なぞ昔の都は捨てられけむ(原因推量) / 昔の人、何処へ行きけむ(過去推量)
→ わけを問う語がなければ、文末の「けむ」はふつう「過去推量」。ただし源氏物語の「前の世にも御契りや深かりけむ、…玉の男御子さへ生まれたまひぬ」のように、後に書かれた出来事のわけを「〜からだろうか」と推し量る「けむ」も原因推量。なお、疑問の語があれば広く原因推量に入れる辞書もあるが、このドリルは学校文法の分け方にしたがう。
コツ③ 文末の「けむ」は、わけを問う語がなければ 過去推量
句点で終わる/「かし」などの終助詞が付く/「ぞ・なむ・や・か」の結び → どれも文末。わけを問う語がなければ 過去推量(わけを問う語があるときや、後に書かれた出来事のわけを推し量るときは原因推量。コツ②)。 例:花咲きけむ。/この道を通りけむかし。
→ 「こそ」が前にあれば已然形「けめ」になる(「こそ〜けめ」結び)。「〜けめ、」と下に続けば逆接(〜ただろうが)。
コツ④ 「けむを」「けむが」は 「を・が」のはたらき で分けろ
「〜けむを」「〜けむが」の「けむ」は連体形。「けむ」の後に「こと・人」を補って「〜たとかいうことを(が)」と言える(「を・が」は格助詞)なら 婉曲。「〜ただろうに」「〜ただろうが」と下へ続く(「を・が」は接続助詞)なら 過去推量。 例:竜の住みけむを、里人は語り伝ふ(婉曲) / 歌詠みけむを、いまは詠まず(過去推量)
試験本番でのチェック順序
- 直後が 体言(または「けむ」の後に「こと」を補える) → 婉曲(即答)
- 文末で わけを問う語(など・なぞ・いかで・何ゆゑに、「いかなる縁にて」「何の故に」のような言い方)と呼応(または後の出来事のわけを推し量る) → 原因推量
- それ以外の文末(句点・かし・「ぞ・なむ・や・か」の結び)、または「〜けむを、」と下へ続く形(コツ④) → 過去推量
- 「こそ〜けめ」 → 已然形(わけを問う語がなければ過去推量)
→ この順番で 3秒 で答えが出ます。
よくある引っかけ
- 「たる」「ける」「けり」を「けむ」と読み間違える → 「けむ」の「む」を必ず確認
- 「けめ」は「こそ」の結びで已然形(過去推量・原因推量どちらでも)
- 疑問の語があっても、「けむ」の直後が体言なら婉曲が優先(例:「などか、昔ここに住みけむ人の名は伝はらぬ」の「などか」は「伝はらぬ」にかかる)。なお「けむ」は連用形接続なので、体言に直接付く「人けむ」のような形はそもそも存在しない
🎯 解き方のコツ(時短テクニック)
問題(Q1〜Q100)
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【第1部】基礎編(Q1〜Q20)
Q1.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔、ある所に住みけむ人。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「昔、ある所に住んでいたとかいう人」。
Q2.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き都に花咲きけむ。
答え:過去推量 解説:文末。「古き都に花が咲いたであろう」。
Q3.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
など昔の人は嘆きけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「など」(疑問副詞)と呼応。「どうして昔の人は嘆いたのだろう」。
Q4.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
唐土に渡りけむ僧。
答え:婉曲 解説:体言「僧」の前。「中国に渡ったとかいう僧」。
Q5.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔、世にありし人は皆、月を愛でけむ。
答え:過去推量 解説:文末。「皆、月を愛でたであろう」。
Q6.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかなる縁にて、かかる目に遭ひけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかなる縁にて」(どんな因縁で)と、こんな目に遭った「わけ」を問う言い方なので原因推量。「どんな縁で、こんな目に遭ったのだろう」。
Q7.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かぐや姫を養ひけむ翁。
答え:婉曲 解説:体言「翁」の前。四段「養ふ」の連用形「養ひ」+「けむ」。「かぐや姫を育てたとかいう翁」。
Q8.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔の人、何処へ行きけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「何処へ」は場所を問う語で、わけを問う語ではない。「昔の人は、どこへ行ったのだろう」。
Q9.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
月の都に住みけむ人ら。
答え:婉曲 解説:体言「人ら」の前。竹取物語的。「月の都に住んでいたとかいう人々」。
Q10.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔の歌詠みは、いかに思ひけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかに」は「どのように」と様子を問う語で、わけを問う語ではない。「昔の歌詠みは、どのように思ったのだろう」。
Q11.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き世に栄えけむ国。
答え:婉曲 解説:体言「国」の前。「古い世に栄えていたとかいう国」。
Q12.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
など、かく憂き世に生まれけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「など」(どうして)とわけを問う語と呼応。下二段「生まる」の連用形「生まれ」+「けむ」。「どうしてこんなにつらい世に生まれたのだろう」。
Q13.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
旅人は、この山路にて、いかなる景色を見けむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかなる」(どんな)は景色の中身を問う語で、わけを問う語ではない。上一段「見る」の連用形「見」+「けむ」。「旅人は、この山道で、どんな景色を見たのだろう」。
Q14.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
夜もすがら鳴き渡りけむ鳥の声を、我は聞かざりき。
答え:婉曲 解説:体言「鳥」の前。「一晩中鳴きながら飛んでいったとかいう鳥の声を、私は聞かなかった」。「けむ」は自分で見聞きしていない過去のことに使う。
Q15.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへにありけむこと、いま伝はらず。
答え:婉曲 解説:体言「こと」の前。連用形「あり」+「けむ」。「昔にあったとかいうことが、今は伝わっていない」。
Q16.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
なぞ昔の都は捨てられけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「なぞ」(=どうして)と呼応。「どうして昔の都は捨てられたのだろう」。
Q17.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
過ぎし夏、海辺に遊びけむ人ら。
答え:婉曲 解説:体言「人ら」の前。「過ぎ去った夏、海辺で遊んだとかいう人々」。
Q18.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの宮は、何処にありけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「何処に」は場所を問う語で、わけを問う語ではない。「昔の宮殿は、どこにあったのだろう」。
Q19.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
この春、都に咲きけむ桜を、見ずなりにけり。
答え:婉曲 解説:体言「桜」の前。「この春、都に咲いたとかいう桜を、とうとう見ないで終わってしまった」。
Q20.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔の都の大路を、いかなる人か歩みけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかなる人」はどんな人かを問う語で、わけを問う語ではない。「か」の結びで連体形「けむ」。「昔の都の大通りを、どんな人が歩いたのだろう」。
基礎編 /20
【第2部】標準編(Q21〜Q50)
Q21.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
唐土の人、書きとどめけむ書物、いまも伝はる。
答え:婉曲 解説:体言「書物」の前。「中国の人が書き留めたとかいう書物」。
Q22.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへは、いかなる世にかありけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかなる世」は世の中身を問う語で、わけを問う語ではない。「か」の結びで連体形「けむ」。「昔は、どのような世であったのだろう」。
Q23.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
夜のうちに雪の深く積もりけむ山、朝はいと白し。
答え:婉曲 解説:体言「山」の前。「夜のうちに雪が深く積もったような山は、朝にはたいそう白い」。
Q24.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
なぞ唐土の人は和歌を解せざりけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「なぞ」(古文の疑問副詞「どうして」)と呼応。「どうして中国の人は和歌を解さなかったのだろう」。古文では「なぜ」ではなく「など・なぞ・いかで」を用いる。
Q25.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
月の都を出でけむ人。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「月の都を出たとかいう人」。
Q26.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
都を離れし日、かの人はいかばかり悲しかりけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかばかり」(どれほど)は程度を問う語で、わけを問う語ではない。形容詞「悲し」の連用形「悲しかり」+「けむ」。「都を離れた日、あの人はどれほど悲しかったのだろう」。
Q27.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔より伝はりけむ物語、なほ尽きず。
答え:婉曲 解説:体言「物語」の前。「昔から伝わってきたとかいう物語は、今もなお尽きない」。
Q28.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
我が祖父は、いかなる人にかありけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかなる人」はどんな人かを問う語で、わけを問う語ではない。「か」の結びで連体形「けむ」。「私の祖父は、どんな人だったのだろう」。
Q29.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
仏に祈りけむ僧、いまもありや。
答え:婉曲 解説:体言「僧」の前。「仏に祈ったとかいう僧」。
Q30.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いと尊くおはしけむ御方なり。
答え:婉曲 解説:体言「御方」の前。「とても尊くいらっしゃったとかいうお方だ」。
Q31.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかで春はかく早く来たりけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかで」(どうして)とわけを問う語と呼応。四段「来たる」の連用形「来たり」+「けむ」。「どうして春はこんなに早く来たのだろう」。
Q32.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの都人も、この道を通りけむかし。
答え:過去推量 解説:文末(念を押す終助詞「かし」が付く)で、わけを問う語もない。「昔の都の人も、この道を通ったことだろうよ」。
Q33.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
祖父の若き日にあひ知りけむ人も、今はみな亡くなりぬ。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「ぬ」は完了の終止形。「祖父が若い日に知り合ったとかいう人も、今はみな亡くなってしまった」。
Q34.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
春の野に若菜摘みけむ乙女らの姿を、絵に描きたり。
答え:婉曲 解説:体言「乙女ら」の前。「春の野で若菜を摘んだとかいう乙女たちの姿を、絵に描いてある」。
Q35.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかで悲しき夢を見けむ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかで」(古文の疑問副詞「どうして」)と呼応。「どうして悲しい夢を見たのだろう」。古文の疑問副詞には「いかで・など・なぞ・なにゆゑに」がある。
Q36.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
我が父、そのころ何方にありけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「何方(いづかた)に」は場所を問う語で、わけを問う語ではない。「私の父は、そのころどこにいたのだろう」。
Q37.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
京に住みけむ人なれば、言葉もみやびかなり。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「京に住んでいたとかいう人なので、言葉も上品だ」。
Q38.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの歌にありけむ言葉。
答え:婉曲 解説:体言「言葉」の前。連用形「あり」+「けむ」。「昔の歌にあったとかいう言葉」。
Q39.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの君の笛を聞きけむ人は、皆、涙落としけり。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「あの方の笛を聞いたとかいう人は、皆、涙を流したのだった」。
Q40.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかでかかる宝を得けむ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかで」と呼応。「どうしてこのような宝を得たのだろう」。
Q41.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
唐土に渡りけむ人々、なほ故郷を恋ふ。
答え:婉曲 解説:体言「人々」の前。「中国に渡ったとかいう人々」。
Q42.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの人の見けむ月かげを、我も今宵ながむ。
答え:婉曲 解説:体言「月かげ」の前。上一段「見る」の連用形「見」+「けむ」。「あの人が見たとかいう月の光を、私も今夜眺める」。
Q43.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔の世、いかなる風ぞ吹きけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかなる」(どんな)は中身を問う語で、わけを問う語ではない。「ぞ」の結びで連体形「けむ」。「昔の世に、どんな風が吹いたのだろう」。
Q44.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
我が母、若き時にいかにありけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかに」は「どのように」と様子を問う語で、わけを問う語ではない。連用形「あり」+「けむ」。「私の母は、若い時にどのようであったのだろう」。
Q45.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
山中に隠れけむ人。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「山中に隠れていたとかいう人」。
Q46.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き友は、など、別れの日に物も言はざりけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「など」(どうして)とわけを問う語と呼応。「ざり」は打消「ず」の連用形。「昔の友は、どうして別れの日に何も言わなかったのだろう」。
Q47.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
春来にけむ頃、まだ雪深し。
答え:婉曲 解説:体言「頃」の前。カ変連用「き」+完了「ぬ」連用「に」+「けむ」。「春が来てしまったとかいう頃、まだ雪深い」。
Q48.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかなる御縁にて、かく長く生き給ひけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかなる御縁にて」(どんなご縁で)と、長く生きてきた「わけ」を問う言い方なので原因推量。「どんなご縁で、こんなに長く生きていらしたのだろう」。
Q49.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
この道を極めけむ人こそ、まことに尊けれ。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「こそ」の結びは形容詞「尊し」の已然形「尊けれ」。「この道をきわめたとかいう人こそ、本当に尊い」。
Q50.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き京を捨てけむぞ、惜しき。
答え:婉曲 解説:「けむ」の後に「こと」を補って「捨てたとかいうこと」と言える形(準体)なので婉曲。「ぞ」の結びは文末の「惜しき」(連体形)で、「けむ」は結びではない。「古い京を捨てたとかいうことが、惜しい」。
標準編 /30
【第3部】応用編(Q51〜Q80)
Q51.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
唐土の人は、これをいみじと思へばこそ、記しとどめて世にも伝へけめ。
答え:過去推量(已然形「けめ」、係助詞「こそ」の結び) 解説:徒然草の有名な一節。「中国の人は、これを優れていると思ったからこそ、書き留めて世にも伝えたのだろう」。「思へばこそ」とわけを先に示しているので、伝えたわけを推し量るとみて過去の原因推量とする説もある。
Q52.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
花の盛りには人も多く集まりけむを、いまは訪ふ人もなし。
答え:過去推量 解説:「を」は接続助詞(逆接「〜のに」)。後に「今は訪れる人もいない」と反対のことが続き、「けむ」の後に「こと」は補えないので過去推量。「花の盛りには人も多く集まっただろうに、今は訪れる人もいない」。
Q53.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかで、かかる鄙に、かくめでたき人の生ひ出でけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかで」(どうして)とわけを問う語と呼応。下二段「生ひ出づ」の連用形「生ひ出で」+「けむ」。「どうして、こんな田舎に、これほどすばらしい人が育ったのだろう」。
Q54.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔、この浦に流されけむ人の心を思ひやる。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。四段「流す」の未然形「流さ」+受身「る」の連用形「れ」+「けむ」。「昔、この浦に流されたとかいう人の心を思いやる」。
Q55.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き世にありけむ寺の跡、いまも残れり。
答え:婉曲 解説:体言「寺」の前。連用形「あり」+「けむ」。「古い世にあったとかいう寺の跡が、今も残っている」。
Q56.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
何の契りにて、この人に逢ひ初めけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「何の契りにて」(どんな前世からの約束で)と、そうなった「わけ」を問う言い方なので原因推量。下二段「初む」の連用形「初め」+「けむ」。「どんな前世の因縁で、この人と会い始めたのだろう」。
Q57.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
仏前に祈りけむ心ぞ尊き。
答え:婉曲 解説:体言「心」の前+係助詞「ぞ」。「仏前に祈ったとかいう心が尊い」。
Q58.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの人は、何によりてか、かく多くの物語を書き置きけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「何によりてか」(どういうわけで)とわけを問う語と呼応。「か」の結びで連体形「けむ」。「昔の人は、どういうわけで、こんなに多くの物語を書き残したのだろう」。
Q59.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの人のあづまへ下りけむ頃、我はまだ幼かりき。
答え:婉曲 解説:体言「頃」の前。「あの人が東国へ下ったとかいう頃、私はまだ幼かった」。
Q60.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの人、若かりし頃は歌詠みけむを、いまは詠まず。
答え:過去推量 解説:「けむ」は過去の事柄を推量。3人称「かの人」が主語。「あの人は、若い頃は歌を詠んだのだろうに、今は詠まない」(逆接)。
Q61.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの人は、いかなる文字を書きけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかなる文字」はどんな文字かを問う語で、わけを問う語ではない。「昔の人は、どんな文字を書いたのだろう」。
Q62.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの二人は、別れの夜に何を語りけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「何を」は話の中身を問う語で、わけを問う語ではない。「あの二人は、別れの夜に何を語ったのだろう」。
Q63.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き寺を建てけむ人。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「古い寺を建てたとかいう人」。
Q64.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
春雨の降りけむ夜に、かの人は琴を弾きけり。
答え:婉曲 解説:体言「夜」の前。「春雨が降ったとかいう夜に、あの人は琴を弾いたのだった」。
Q65.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
月の出でけむ山際、なほ晴れわたる。
答え:婉曲 解説:体言「山際」の前。「月が出たとかいう山際、なお晴れわたっている」。
Q66.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔の人の言ひけむやうに、世はただ夢のごとし。
答え:婉曲 解説:体言「やう」の前。四段「言ふ」の連用形「言ひ」+「けむ」。「昔の人が言ったとかいうように、世の中はただ夢のようだ」。
Q67.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
なにしに、かかる山里に来けむ。
答え:過去の原因推量 解説:「なにしに」(どうして)とわけを問う語と呼応。カ変「来」の連用形「来(き)」+「けむ」。「どうして、こんな山里に来たのだろう」。
Q68.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔、この池に竜の住みけむを、里人は今も語り伝ふ。
答え:婉曲 解説:「けむ」の後に「こと」を補って「住んでいたとかいうことを」と言える。「を」は「語り伝ふ」の目的を示す格助詞なので婉曲。「昔、この池に竜が住んでいたとかいうことを、里の人は今も語り伝えている」。
Q69.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
若き日は玉のごとくありけむ御姿も、いまは衰へ給ひぬ。
答え:婉曲 解説:ラ変「あり」の連用形「あり」+「けむ」。体言「御姿」の前なので婉曲。「若い日には玉のようであったとかいうお姿も、今は衰えなさった」。
Q70.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかでかく老いけむと、嘆く。
答え:過去の原因推量 解説:「いかで」(どうして)とわけを問う語と呼応。上二段「老ゆ」の連用形「老い」+「けむ」。「どうしてこんなに老いてしまったのだろうと、嘆く」。
Q71.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
この経を書き写しけむ人。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。四段「書き写す」の連用形「書き写し」+「けむ」。「このお経を書き写したとかいう人」。
Q72.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
家を離れしほどに咲きけむ花も、帰り来ればみな散りにけり。
答え:婉曲 解説:体言「花」の前。「家を離れていた間に咲いたとかいう花も、帰って来ると、みな散ってしまっていた」。
Q73.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
何の故にか、かの人は世を捨てけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「何の故にか」(どういうわけで)とわけを問う語と呼応。「か」の結びで連体形「けむ」。「どういうわけで、あの人は世を捨てた(出家した)のだろう」。
Q74.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
山深く隠れ住みけむ人の、詠み置ける歌なり。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。「山深く隠れ住んでいたとかいう人が、詠み残した歌である」。
Q75.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの文を見て、世の人はいかにか言ひけむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いかにか」(どのように)は様子を問う語で、わけを問う語ではない。「か」の結びで連体形「けむ」。「あの文を見て、世間の人はどのように言ったのだろう」。
Q76.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
古き人、皆嘆きけむ世の事。
答え:婉曲 解説:体言「事」の前。「古き人皆が嘆いたとかいう世の事」。
Q77.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
わが祖は、いづれの国より来けむ。
答え:過去推量(疑問) 解説:「いづれの国より」は場所を問う語で、わけを問う語ではない。カ変「来」の連用形「来(き)」+「けむ」。「私の先祖は、どの国から来たのだろう」。
Q78.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
春雪の降りけむ山里、なほ寒し。
答え:婉曲 解説:体言「山里」の前。「春雪が降ったとかいう山里、なお寒い」。
Q79.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
この文を書き置きしは誰にかありけむと、人々言ひあへり。
答え:過去推量(疑問) 解説:「誰」は人を問う語で、わけを問う語ではない。「か」の結びで連体形「けむ」。「この文を書き残したのは誰だったのだろうと、人々は言い合っている」。
Q80.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
昔は名高かりけむ人々も、いまは知る人なし。
答え:婉曲 解説:体言「人々」の前。形容詞「名高し」の連用形「名高かり」+「けむ」。「昔は名高かったとかいう人々も、今は知る人もいない」。
応用編 /30
【第4部】入試レベル(Q81〜Q100)
Q81.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの人も、心のうちにはさこそ嘆きけめ、人にはつゆ見せざりけり。
答え:過去推量(已然形「けめ」、係助詞「こそ」の結び) 解説:「こそ」の結びで已然形「けめ」。「〜けめ、」と下に続くので逆接(〜ただろうが)。わけを問う語もないので過去推量。「あの人も、心の中ではさぞ嘆いたであろうが、人には少しも見せなかった」。
Q82.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
前の世にも御契りや深かりけむ、世になく清らなる玉の男御子さへ生まれたまひぬ。
答え:過去の原因推量 解説:源氏物語(桐壺)の一節。疑問の語はないが、「や」で「前の世でもご縁が深かったからだろうか」と、後に書かれた「玉のような皇子まで生まれた」ことのわけを推し量っているので原因推量。「や」の結びで連体形「けむ」。「前世でもご縁が深かったのだろうか、世にまたとなく美しい玉のような皇子までお生まれになった」。
Q83.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
世に用ゐられざりけむ人も、後の世には名をあげたり。
答え:婉曲 解説:上一段「用ゐる」の未然形「用ゐ」+受身「らる」の未然形「られ」+打消「ず」の連用形「ざり」+「けむ」。体言「人」の前なので婉曲。「世の中に用いられなかったとかいう人も、後の世には名を上げた」。
Q84.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの歌詠みも、一首の歌に、かく心を尽くしけむ。
答え:過去推量 解説:文末で、わけを問う語もない。「昔の歌人も、一首の歌に、このように心を尽くしたであろう」。
Q85.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かかる歌を詠み出でけむ人こそ、げに物のあはれを知りたりけれ。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。下二段「詠み出づ」の連用形「詠み出で」+「けむ」。「こそ」の結びは過去「けり」の已然形「けれ」(「けめ」ではない)。「このような歌を詠み出したとかいう人こそ、本当に物のあわれを知っていたのだ」。
Q86.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
父の若き日に京に上りけむを、母より聞きぬ。
答え:婉曲 解説:「けむ」の後に「こと」を補って「上ったとかいうことを」と言える。「を」は「聞き」の目的を示す格助詞なので婉曲。「父が若い日に京に上ったとかいうことを、母から聞いた」。
Q87.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
何ゆゑに、この歌のみ世に伝はりけむ。
答え:過去の原因推量 解説:「何ゆゑに」(どういうわけで)とわけを問う語と呼応。「どうしてこの歌だけが世に伝わったのだろう」。
Q88.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの人の都を出でにけむ後は、文の一つだに来ず。
答え:婉曲 解説:体言「後」の前。下二段「出づ」の連用形「出で」+完了「ぬ」の連用形「に」+「けむ」。「あの人が都を出てしまったとかいう後は、手紙ひとつさえ来ない」。
Q89.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
東路の道のはてよりも、なほ奥つかたに生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、世の中に物語といふもののあなるを、いかで見ばやと思ひつつ……
答え:過去推量(疑問) 解説:更級日記の冒頭。「いかばかりかは」(どれほど〜か)は程度を問う語で、わけを問う語ではない。「を」は接続助詞(逆接「〜のに」)で、「けむ」の後に「こと」は補えないので過去推量。「東国への道の果てよりも、さらに奥の方で育った人(=作者)は、どれほど田舎じみていただろうに、どう思い始めたことか、世の中に物語というものがあるそうなのを、何とかして読みたいと思い続けて……」。
Q90.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いかなる宿世にて、かく人に忘られけむと、泣く泣く思ふ。
答え:過去の原因推量 解説:「いかなる宿世にて」(どんな前世からの因縁で)と、忘れられた「わけ」を問う言い方なので原因推量。四段「忘る」の未然形「忘ら」+受身「る」の連用形「れ」+「けむ」。「どんな宿縁で、こんなに人に忘れられたのだろうと、泣きながら思う」。
Q91.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
家々の立ち並びけむ里の跡に、いまは草のみ茂れり。
答え:婉曲 解説:体言「里」の前。「家々が立ち並んでいたとかいう里の跡に、今は草ばかりが茂っている」。
Q92.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
この庵に住みけむ聖も、かく月をながめけむ。
答え:前の「けむ」=婉曲/後の「けむ」=過去推量 解説:前の「けむ」は体言「聖」の前なので婉曲(「この庵に住んでいたとかいう聖」)。後の「けむ」は文末で、わけを問う語もないので過去推量(「このように月を眺めたであろう」)。
Q93.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
などて、かの人の言ふことを聞かざりけむと、今ぞ悔しき。
答え:過去の原因推量 解説:「などて」(どうして)とわけを問う語と呼応。「ざり」は打消「ず」の連用形。「ぞ」の結びは「悔しき」(連体形)。「どうして、あの人の言うことを聞かなかったのだろうと、今になって悔しい」。
Q94.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
かの君に仕へけむ人ならずは、このことを知らじ。
答え:婉曲 解説:体言「人」の前。下二段「仕ふ」の連用形「仕へ」+「けむ」。「ならずは」は「〜でないならば」、「じ」は打消推量。「あの方にお仕えしたとかいう人でなければ、このことは知らないだろう」。
Q95.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
さばかり住み馴れし里を、など離れ給ひけむと、人々あやしがる。
答え:過去の原因推量 解説:「など」(どうして)とわけを問う語と呼応。「給ひ」は四段「給ふ」の連用形。「あれほど住み慣れた里を、どうしてお離れになったのだろうと、人々は不思議がる」。
Q96.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
嵐山の紅葉、いま錦のごとし。ありし日もかくありけむ。
答え:過去推量 解説:文末。連用形「あり」+「けむ」。「過去の日も、こうあったであろう」。
Q97.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いみじき宿世にて、后にゐ給ひけむ御方。
答え:婉曲 解説:体言「御方」の前。「后にゐる」は后の位につくこと。「並々ならぬ宿縁で、后の位におつきになったとかいうお方」。
Q98.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
いにしへの人の植ゑけむ松、今も門の前に立てり。
答え:婉曲 解説:体言「松」の前。ワ行下二段「植う」の連用形「植ゑ」+「けむ」。「昔の人が植えたとかいう松が、今も門の前に立っている」。
Q99.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
この川の流れを見て、いにしへの人も世のはかなさを思ひけむ。
答え:過去推量 解説:文末で、わけを問う語もない。「この川の流れを見て、昔の人も世のはかなさを思ったであろう」。
Q100.次の傍線部「けむ」の用法を答えよ。
物のあはれを知りけむ人々の心、いまも我れに伝はる。
答え:婉曲 解説:体言「人々」の前。「物のあわれを知ったとかいう人々の心、今も私に伝わる」。
入試レベル /20
合計 /100
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