共通テストの古文・漢文は、ほかの科目に比べて「いつ何をやればいいのか」が一番わかりにくい分野です。単語を覚えればいいのか、文法なのか、それとも読解なのか。やることが多すぎて、結局どれも中途半端なまま本番をむかえてしまう人がとても多いのです。
結論から言うと、古典で安定して点を取るためにいちばん大事なのは「正しい順番で、正しい時期に取り組むこと」です。古典には基礎(単語・文法)→読解→演習(過去問)というはっきりした順番があり、これをとばすとあとでつまずきます。逆に、この順番さえ守れば、特別な才能がなくても得点は安定します。
この記事では、高2の冬から本番(共通テスト)まで、月ごとに「いつ何をやるか」をひとつの時間軸でまとめたロードマップと、段階別の参考書ルート(基礎→読解→過去問)を、塾長がやさしく整理します。一つひとつの解き方や、個別の参考書の細かいレビューはこの記事では深入りせず、もっとくわしい無料ページへ案内します。まずは「全体の地図」をこの記事でつかんでください。
古典・時期別やることの早見表
- 高2冬〜高3春:基礎を固める(古文単語・古文文法・漢文の基本)
- 高3夏:基礎の総点検+短めの文章で読解の練習を開始
- 高3秋:読解演習を本格化(共通テスト型の問題に慣れる)
- 直前期(冬〜本番):過去問・予想問題でひたすら時間を計って実戦
そもそも共通テストの古典はどんな試験?
計画を立てる前に、まず「相手」を知っておきましょう。共通テストの国語では、古文と漢文がそれぞれ大問として出されます(配点は古文・漢文ともに各45点が基本です)。つまり古典(古文+漢文)だけで90点分あり、ここを安定させられるかどうかが国語全体の得点を大きく左右します。
共通テストの古典には、次のような特徴があります。
- 時間がきびしい:国語全体で大量の文章を読むため、古文・漢文をのんびり読んでいる余裕はありません。「速く正確に読む」力が必要です。
- 単語・文法を直接問う設問は意外と少ない:知識そのものよりも、知識を使って本文を正しく読めているかを問う読解中心の出題です。だからといって単語・文法が不要なのではなく、それらが「読むための道具」として必須になります。
- 本文の流れ・登場人物の心情を問う:誰が、何を、どう思ったのか。話の筋をつかむ力が問われます。
ここから分かるのは、「単語・文法は土台。最終目標はあくまで読解」ということです。だからこそ、いきなり過去問に飛びついても読めず、逆に単語・文法ばかりやっていても点に直結しません。正しい順番が大切なのです。
大原則:古典の学習は「基礎→読解→過去問」の3段階
月別の計画に入る前に、土台となる考え方を押さえておきます。古典の勉強は、次の3段階を順番に登っていくイメージです。
第1段階:基礎(単語・文法・漢文の基本)
家でいうと「土台と柱」にあたる部分です。ここがぐらつくと、上にどれだけ積んでも崩れます。具体的には次の3つです。
- 古文単語:まずは300語前後を目標に。意味が複数ある単語(多義語)が多いので、丸暗記ではなくイメージで覚えるのがコツです。
- 古文文法:とくに助動詞と敬語が読解のカギになります。活用が言えるだけでなく、「文中でどう訳すか」までできるようにします。
- 漢文の基本:漢文は訓読のルール(返り点・送りがな)と句形(再読文字・使役・受身・反語など)を覚えれば、短期間でグッと読めるようになります。古文より少ない労力で得点源にしやすい分野です。
第2段階:読解(短い文章から本文を読む練習)
道具(単語・文法)がそろったら、それを使って実際に文章を読む練習に入ります。ここでつまずく人の多くは、主語(誰の動作か)を見失うことが原因です(→主語の把握のしかた)。古文は主語が省略されることが多く、ここを意識的に追えるかどうかで読みやすさが大きく変わります。あわせて、正確な現代語訳ができるかどうかも読解力のバロメーターになります。
第3段階:演習(過去問・予想問題)
最後は実戦です。共通テストは独特の形式・時間配分なので、本番と同じ形式・同じ時間で解く練習が欠かせません。ここまでくれば、あとは「時間内に解ききる体力」と「ミスのパターンつぶし」が中心になります。
大事なのは、この3段階を一気にやろうとしないこと。第1段階が不十分なまま第3段階(過去問)に進んでも、「読めない→解けない→自信をなくす」の悪循環におちいります。次の章から、これを「月ごとの計画」に落とし込んでいきます。
月別ロードマップ:高2冬から本番まで
ここからが本記事の中心です。「いつ何をやるか」を時間軸でまとめます。部活や他教科との兼ね合いもあるので、あくまで目安として、自分のペースに合わせて前後させてください。
高2の冬(12月〜2月):単語と文法のスタート
古典の勝負は、じつは高2の冬から始まっています。この時期にやることはシンプルです。
- 古文単語を1日10〜15語ペースで開始。完璧に覚えようとせず、何周もして「見たことある」を増やす段階です。
- 古文文法の用言(動詞・形容詞・形容動詞)の活用を固める。ここは漢字でいう「ひらがな」レベルの基礎です(やり方は活用形の見分け方でくわしく)。
- 余裕があれば助動詞に入り始める(→助動詞27 完全一覧)。
この時期は他教科も忙しいので、「毎日15分でいいから単語にふれる」くらいの軽い習慣づくりが目標です。ゼロを1にするのが一番大変なので、ここで動き出せた人は大きく有利になります。
高3の春(3月〜5月):基礎を一気に仕上げる
新学年に入るこの時期に、基礎(単語・文法・漢文)をほぼ完成させるのが理想です。夏以降に読解・演習へ進むための「準備期間」です。
- 古文単語:1冊を最低3周。意味があやしい単語に印をつけ、印の単語だけを高速で回す。
- 古文文法:助動詞27語を「接続・活用・意味」の3点セットで言えるように。さらに敬語(尊敬・謙譲・丁寧)の基本動詞を押さえる。
- 漢文:訓読の基本と句形をこの時期にまとめて。漢文は範囲が狭く、短期集中で仕上げやすいので、春に一気に片づけると後がラクです。
「単語と文法は春で卒業、夏からは読解に集中」——この区切りを意識できると、夏以降の伸びが変わります。
高3の夏(6月〜8月):基礎の総点検+読解スタート
夏は受験の天王山と言われますが、古典については「基礎の穴うめ」と「読解への移行」がテーマです。
- 基礎の総点検:単語・文法で抜けている部分を洗い出してうめる。模試で間違えた知識問題は、その場で参考書に戻って確認する。
- 短い文章で読解練習を開始:いきなり長文ではなく、短め〜標準の文章を使って「主語を追う」「現代語訳する」練習を始める。
- 漢文の演習も少しずつ:句形が身についているか、実際の文章で確認する。
夏のうちに「読解の入り口」に立てているかどうかが、その後の伸びを大きく分けます。基礎が完璧でなくても、読解練習と並行して穴をうめていけばOKです。
高3の秋(9月〜11月):読解演習を本格化
秋は読解演習をぐっと増やす時期です。共通テスト型の問題に慣れ、「読む→解く」の流れを体にしみこませます。
- 共通テスト型の問題集で、本番に近い形式の文章を数多く読む(→共通テスト古文の解き方)。
- 解いたあとは必ず本文をすべて現代語訳して復習。なんとなく読めた箇所も、正確に訳せるか確認する。
- 間違えた設問は「知識不足なのか、読み方のミスなのか」を分類して、弱点を具体的にする。
この時期に「全文を訳して復習する」習慣をつけられると、読解の精度が一段上がります。量をこなすだけでなく、1題を深く復習することを意識しましょう。
直前期(12月〜本番):過去問と予想問題で実戦
いよいよ仕上げです。直前期は過去問・予想問題を本番どおりの条件で解くことが中心になります。
- 必ず時間を計る:古文・漢文にかけられる時間はそれぞれ限られています。「この大問は○分で解く」という時間配分を体で覚える。
- 過去問・予想問題を解く:共通テストの過去問に加え、形式に慣れるための予想問題集も活用する。
- ミスのパターンをつぶす:いつも同じところで間違えていないか。自分のミスのクセを把握して、本番で再現しないようにする。
- 新しい参考書に手を広げない。これまでやった単語帳・文法書に戻って確認するのが直前期の鉄則です。
月別ロードマップ チェックリスト
- □ 高2冬:古文単語スタート/用言の活用
- □ 高3春:単語3周/助動詞27語/漢文の句形を完成
- □ 高3夏:基礎の穴うめ/短い文章で読解開始
- □ 高3秋:共通テスト型を多く解く/全文訳で復習
- □ 直前期:過去問・予想問題を時間を計って/弱点つぶし
段階別の参考書ルート(基礎→読解→過去問)
つづいて、「どんな種類の参考書を、どの順番でそろえればいいか」という参考書ルートです。ここでは個別の書籍を細かくレビューはしません(くわしくは後半の関連ページへ)。「どの段階で、どんなタイプの一冊が必要か」という地図として読んでください。
ステップ1:基礎の参考書(単語帳・文法書・漢文の入門)
- 古文単語帳を1冊:300語前後のものを1冊決めて、それを何周もするのが基本です。あれこれ手を出さず「これ1冊」と決めることが大切(選び方は古文単語帳のおすすめ)。
- 古文文法の参考書を1冊:助動詞・敬語・識別(同じ形で意味が違う語の見分け)がていねいに説明されているものを。
- 漢文の入門書を1冊:訓読のルールと句形がコンパクトにまとまったものが効率的です。
ステップ2:読解の参考書(読み方・問題演習)
- 読解の解説書:主語の追い方や本文の読み進め方を教えてくれるタイプ。「単語・文法は分かるのに読めない」人はここが効きます。
- 標準レベルの問題集:短め〜標準の文章で、読解と設問の解き方を練習する一冊(→古典の問題集のおすすめ)。
ここで、上のルートに沿って塾長が実際に塾で使っている問題集を具体的にあげておきます。まずは読解の一冊目(古文ポラリス1 基礎)と、共通テスト形式に慣れるための一冊(マーク式基礎問題集)です。(国立二次や私立で使う問題集は古典の問題集のおすすめでくわしく紹介しています。)
ステップ3:過去問・予想問題(仕上げ)
- 共通テストの過去問:本番形式に慣れる最重要教材。最優先で取り組みます。
- 予想問題集・実戦形式の問題集:過去問の数を補い、形式に幅広く慣れるために使います。
参考書を選ぶときの優先順位
- ①基礎をそろえる(単語帳・文法書・漢文入門)——まずはここから
- ②読解の一冊を足す——基礎が回り始めてから
- ③過去問・予想問題——秋以降の仕上げに
※「冊数を増やす」より「決めた1冊をやりきる」ほうが伸びます。
よくあるつまずきと、その対処
「単語も文法もやったのに読めない」
いちばん多い悩みです。原因のほとんどは主語(誰の動作か)を見失っていることです。古文は主語が省略されがちなので、敬語や接続助詞をヒントに「今は誰の話か」を意識して追う練習をしましょう。読解の段階でつまずいたら、知識をさらに増やすより、読み方そのものを見直すのが近道です。
「漢文を後回しにして手が回らない」
漢文は範囲が狭く、少ない労力で得点になりやすい分野です。後回しにするのはもったいない。むしろ春のうちに句形を一気に固めてしまえば、その後は維持するだけで安定した得点源になります。
「直前になって新しい参考書を買ってしまう」
不安になると新しい教材に手を出したくなりますが、直前期はこれまでやったものを繰り返すのが鉄則です。新しい一冊を中途半端にやるより、見慣れた一冊を完璧にするほうが本番で力になります。
まとめ
共通テストの古典で大事なのは、才能でも特別な裏ワザでもなく、「正しい順番で、正しい時期にやること」です。最後にこの記事のポイントをまとめます。
- 古典は基礎(単語・文法・漢文)→読解→過去問の順番で積み上げる。
- 時間軸は高2冬〜高3春=基礎/夏=固め+読解開始/秋=読解演習/直前=過去問・予想問題。
- 参考書は基礎をそろえる→読解を足す→過去問で仕上げる。冊数より「1冊をやりきる」。
- つまずいたら、主語の追い方を見直す。漢文は早めに固めると得点源になる。
「いつ何をやるか」の地図さえ持っていれば、あとは一歩ずつ進むだけです。下に、それぞれの段階でもっとくわしく学べる無料ページを用意しました。気になるところから読み進めてください。「誰でも古典塾」はぜんぶ無料です。あなたの古典学習を、最後まで応援しています。
関連する無料ページ(ぜんぶ無料)
■ 共通テスト・入試の解き方
■ 読解のコツ(夏・秋に効く)
■ 基礎を固める(春までに)
■ 参考書えらび

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