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結論:句法を終えた受験生の「最後の総仕上げ」用
この本は、漢文の句法(決まった言い回しのルール)を一通り覚え終えた人が、私大や国公立の二次試験に向けて実際の入試過去問で実戦練習をするための問題集です。シリーズは①基礎レベル・②共通テストレベル・③私大国公立レベルの3段階に分かれていて、本書はその最上位の巻。つまり「漢文をこれから始める人」の本ではなく、「だいたい分かるようになったから、本番の点数につなげたい人」の本だと考えてください。
基本情報
| 書名 | 大学入試 全レベル問題集 漢文 3 私大・国公立大レベル 新装版 |
|---|---|
| 出版社 | 旺文社 |
| 著者 | 三羽邦美 |
| シリーズ | 大学入試 全レベル問題集 漢文(旺文社) |
| ページ数 | 問題編 約96ページ+解説編 約128ページ |
| 定価 | 1,100円(税込)※2026年6月時点 |
| レベル | 私大・国公立大(標準〜発展) |
| 塾長のおすすめ度 | ◯(句法を一通り終えた人の「総仕上げ」に最適) |
この本の特徴(中身)
中身は、実際の大学入試から選ばれた過去問14題(私大6題・国公立8題)の演習が中心です。問題冊子と解答・解説冊子が分かれた二分冊で、解説編のほうがページ数が多く、かなり手厚く作られています。特徴的なのは、すべての設問について「ここに着目して解く」という解法の着眼点を示してくれること。ただ答え合わせをするだけでなく、「何が問われているのか」「どこを見れば解けたのか」を一問ずつ確認できるので、自分一人でも復習しやすい構成です。著者は東進ハイスクールの三羽邦美先生で、定番参考書『漢文 ヤマのヤマ』の著者としても知られています。
👍 良い点
- 本物の入試過去問だけを14題収録。私大・国公立の二次で出る、長めで歯ごたえのある文章をそのまま練習できます。問題集用に作られた易しい文ではなく、本番の難度に直接慣れられるのが最大の強みです。
- 全設問に「解法の着眼点」つきの手厚い解説。解答・解説編のほうがページ数が多く、答えだけでなく「どこを見て、どう考えれば解けたか」まで書かれているので、独学でも一人で復習を完結させやすいです。
- 薄くて1,100円と手に取りやすい。14題に絞ってあるぶん分量がコンパクトで、入試直前期でも最後までやり切れます。同じシリーズの①②から積み上げてきた人なら、無理なく最上段まで到達できる設計です。
🤔 気になる点
- 初学者には完全に重い。句法や返り点(読む順番を示す印)の基礎が固まっていない段階で手を出すと、解説を読んでも何が起きているか分からず挫折します。これは「仕上げ用」であって「入門用」ではありません。
- 句法そのものの説明はほぼない。基礎ルールの解説は①基礎レベルや『ヤマのヤマ』に任せている作りなので、この一冊だけで漢文を体系的に学ぶことはできません。土台づくりには別の教材が必要です。
- 題数が14題と少なめ。実戦演習量としては決して多くないので、これだけで「演習量を満たした」とは言いにくいです。志望校の過去問や他の演習書と組み合わせる前提の、あくまで橋渡し役と考えるべきです。
合う人・合わない人
合う人:句法や返り点の基礎は一通り終えていて、これから私大(GMARCH・関関同立や早慶など)や国公立の二次・記述で漢文を使う受験生。共通テストレベル(②)まではこなせるようになり、「もう一段上の本番レベルで腕試しと仕上げをしたい」人にちょうど合います。
合わない人:漢文をこれから始める人、句法や返り点がまだあやふやな人、共通テストでしか漢文を使わない人。これらの場合は本書ではオーバーワークになりがちで、まず①基礎レベルや句法の参考書から始めるほうが確実に伸びます。
『漢文 ヤマのヤマ』との違い
同じ三羽邦美先生の定番『漢文 ヤマのヤマ』は、入試頻出の句法そのものを基礎から教え込む「インプット(知識の習得)用」の参考書です。一方この『全レベル問題集 漢文3』は、その句法を覚えた後に、本物の入試問題で点が取れるか試す「アウトプット(演習)用」。役割が真逆なので、ライバルというより『ヤマのヤマ』で句法を入れてから、本書で本番レベルの実戦に進むという順番で使うのが理想です。どちらか一方ではなく、バトンを渡す二段ロケットだと考えてください。
おすすめの使い方
- まず1題を、時間を計って本番のつもりで通しで解く。分からなくても途中で解説を見ず、最後まで自力でやり切る。
- 答え合わせのとき、正解・不正解だけでなく解説の「解法の着眼点」を必ず読み、自分が見落としたポイントに線を引く。間違えた設問は、なぜその答えになるのかを口で説明できるまで戻る。
- 解いた文章を、返り点と書き下し(読む順番どおりの読み方)を確認しながら2〜3回音読し、知らなかった語句や句法だけノートに集める。これを14題くり返せば、本番レベルの読みに体が慣れます。
塾長の総合評価
| 読みやすさ | ★★★★☆ |
|---|---|
| 網羅性 | ★★★☆☆ |
| 入門のしやすさ | ★★☆☆☆ |
| 演習・実戦 | ★★★★★ |
| 総合 | ★★★★☆(本番レベルの実戦演習に優秀。ただし初学者には重く、これ一冊では完結しない) |
塾長としての評価は「◯おすすめ(ただし対象者を選ぶ)」です。実際の入試過去問で、全設問に解法の着眼点つきの手厚い解説がつく構成は、二次・記述で漢文を使う受験生にとって非常に価値があります。一方で、句法の説明はほぼなく題数も14題と少ないため、これ一冊で漢文が完成するわけではありません。あくまで「基礎を終えた人が本番に橋渡しする仕上げ用」と位置づければ、コスパも内容も優秀な一冊です。星は、入門のしやすさと網羅性を正直に低めにつけ、そのぶん実戦演習力を満点にしました。
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まとめ
まとめると、本書は漢文の基礎を終えた受験生が、私大・国公立の本番レベルへ仕上げるための「総仕上げ問題集」です。これから漢文を始める人や、句法があやふやな人には早すぎるので、その場合はまず基礎固めから。土台ができている人なら、薄くてやり切りやすく、解説も手厚い良書です。なお、句法や返り点の基礎づくりには、当サイトの無料の漢文ドリル・解説PDFも合わせて使えます。基礎はこちらで固め、仕上げに本書、という流れもおすすめです。



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