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結論:「文法は終えたのに読めない」を埋める実戦本
この本は、ゼロから文法を覚えるための入門書ではありません。単語と文法をひととおり学んだ高校生が、実際の問題文を読み解く力へステップアップするための一冊です。先生が黒板で教えるような会話調の解説で、主語の補い方や和歌の読み方といった「読解の作法」を、共通テスト形式の問題を解きながら身につけていきます。位置づけはひとことで言えば文法と読解をつなぐ「橋渡し」の参考書です。
基本情報
| 書名 | 大学入学共通テスト 山村由美子 古文 講義の実況中継(実況中継シリーズ) |
|---|---|
| 出版社 | 語学春秋社 |
| 著者 | 山村由美子 |
| シリーズ | 実況中継シリーズ |
| ページ数 | 約440ページ |
| 定価 | 1,760円(税込)※2026年6月時点 |
| レベル | 標準(共通テスト古文 文法+読解) |
| 塾長のおすすめ度 | ◯(文法を一通り終えた人の「読解の橋渡し」に最適) |
この本の特徴(中身)
中身は大きく五つのまとまりで進みます。単語→文法→和歌→入試問題→共通テスト問題という順で、前半で読解に必要な道具を復習・整理し、後半で実際の入試問題と共通テスト形式の問題に挑む流れです。約440ページとボリュームはありますが、その多くが「先生のしゃべり」で埋まっているので、見た目の厚さよりは読み進めやすいのが特徴。特に、古文が読めない最大の原因である「誰がしたことか分からない(主語の省略)」への向き合い方や、後回しにされがちな和歌の読み方まで一冊で扱ってくれるのは心強い点です。
👍 良い点
- 授業の再現で「なぜそう読むか」が分かる。会話調で解説が進むので、答えの根拠(どこを根拠に主語を補ったか等)まで先生が口で説明してくれます。独学でも授業を受けている感覚に近づけます。
- 苦手になりやすい和歌を一冊でカバー。掛詞や縁語など、共通テストでも差がつきやすい和歌の読み方に章を割いており、多くの文法書では手薄になる部分を補えます。
- 共通テスト形式の問題で「本番の読み方」を練習できる。知識の暗記で終わらず、実際の出題形式の中で知識を使う訓練ができるため、得点に直結しやすい構成です。
🤔 気になる点
- 完全な初学者には重い。単語・文法をまったくやっていない状態だと解説についていけません。あくまで「土台ができた人の次の一冊」です。
- タイトルの「文法」を期待すると肩透かしの可能性。文法は復習として通る程度で、本書の主役はむしろ読解です。ゼロから文法を体系的に覚える本ではない点に注意。
- ページ数が多く、短期決着には不向き。約440ページあり、直前期に一気に仕上げるより、ある程度の時間をかけて読み込む前提の本です。
合う人・合わない人
合う人:単語帳と文法書を一周は終えたものの、いざ問題文になると意味が取れず点が伸びない高校生。共通テストの古文で安定して得点したい人、特に「主語の省略」や「和歌」でつまずいている人に向いています。高1・高2のうちから読解の感覚を早めに作りたい人にも合います。
合わない人:古文をこれから始める完全な初学者や、まず助動詞の活用など基礎文法をゼロから覚えたい人。また、試験直前に短時間で要点だけ確認したい人には、分量的にも内容的にも別の薄い問題集のほうが向きます。
『望月光 古典文法講義の実況中継』との違い
同じ実況中継シリーズでも役割がはっきり分かれます。望月先生の『古典文法講義の実況中継』は、助動詞・敬語など文法そのものをゼロから体系的に固めるための本。対して山村先生の本は、その文法を実際の文章で「使って読む」ための本です。順番としては、まず望月先生(または手持ちの文法書)で文法の土台を作り、そのうえで山村先生の本で読解へ橋渡しする、という二段構えがおすすめ。「文法はもう一周した」という人なら山村先生から、「活用がまだあやしい」という人は望月先生(や入門系の文法書)が先です。
おすすめの使い方
- まず手持ちの単語帳・文法書を一周し、助動詞の意味や敬語が「だいたい分かる」状態にしてから本書に入る。
- 各章の問題を、いきなり解説を読まず必ず自力で解いてから先生の解説を読む。特に「主語をどこで補ったか」を解説と照合して、自分の読み方とのズレを確認する。
- 和歌・読解の章で学んだ「読み方のコツ」を、過去問や共通テスト形式の問題で繰り返し試し、本番の時間内に再現できるまで反復する。
塾長の総合評価
| 読みやすさ | ★★★★☆ |
|---|---|
| 網羅性 | ★★★★☆ |
| 入門のしやすさ | ★★☆☆☆ |
| 演習・実戦 | ★★★★☆ |
| 総合 | ★★★★☆(文法→読解の橋渡しに優秀。完全な初学者には重い) |
塾長として総合的に見ると、これは「文法は終えたのに読めない」という多くの受験生がぶつかる壁に、まっすぐ効く一冊です。授業を再現した語り口で読解の根拠まで説明してくれる点、和歌まで一冊で面倒を見てくれる点は大きな強み。一方で、入門書ではないので使うタイミングを間違えると消化不良になります。タイトルに「文法」とありますが実体は読解寄りの実戦本、と理解して手に取れば、満足度の高い本です。
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まとめ
まとめると、本書は「文法は一周したのに問題文が読めない」人の二冊目として強くおすすめできる読解実戦本です。逆に、これから古文を始める人や活用がまだあやしい人は、先に文法の土台を作ってから手に取りましょう。なお、自分が今どの段階にいるか分からないという人は、当サイトの無料の文法ドリルや読解の確認問題で力試しをしてから、次の一冊を選ぶと失敗が少なくなりますよ。



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