古文「なり」の識別|断定・伝聞推定など4種類の見分け方【図解】

古文「なり」の識別を完全解説|4種類の見分け方を図解でわかりやすく 古典文法

古文の「なり」は、識別問題で必ずと言っていいほど出題されます。

生徒
生徒「なり」っていつも見た目が同じで、どれがどれだかわからなくなります…。
先生
先生大丈夫。「なり」は4種類だけ。接続と音の変化を順番に見れば、感覚に頼らず判断できるよ。

断定なのか、伝聞・推定なのか、それとも動詞や形容動詞なのか。形が同じなので混乱してしまう人も多いでしょう。

しかし「なり」は4種類に整理できます。接続と音の変化を順番に確認すれば、感覚に頼らず判断できるようになります。

この記事では、図解フローチャートを使って「なり」の識別を徹底的にわかりやすく解説します。

3秒で答えが出る|「なり」識別の早見表

  • 体言・連体形+なり → 断定「〜である」
  • 終止形+なり(声すなり)→ 伝聞・推定「〜そうだ」
  • 動詞「なる(成る)」「鳴る」の連用形そのもの→ 動詞
  • 形容動詞の活用語尾(静かなり)→ ナリ活用形容動詞

【図解】なり識別のフローチャート

古文「なり」フローチャートの図解

「なり」が出てきたら、感覚で考えない
この順番で機械的に判断します。

まず最初の分岐です。

① その「なり」は語の一部か?

「あはれなり」「おぼろげなり」のように、語とセットで意味が完成している場合は、形容動詞です。
特に「〜げなり」は迷わず形容動詞確定。ここは即答レベルで大丈夫です。

語としてまとまっているなら、ここで終了です。


次の分岐です。

② 直前は体言・連体形か、それとも終止形か?

体言や連体形に接続していれば、断定の助動詞の可能性が高いです。


するなり。
花の色なり。

一方、終止形に接続していれば、伝聞・推定の助動詞の可能性があります。


声すなり。
鹿鳴くなり。
琵琶の音すなり。

先生
先生コツは「鳴く」「音す」「聞こゆ」みたいな耳で聞いた情報の語。これと一緒に出てきたら伝聞・推定を疑おう。

伝聞・推定の「なり」は耳で聞いた情報に基づく推定が特徴です。「鳴く」「音す」「聞こゆ」など聴覚を表す語と相性が良いことを覚えておきましょう。

ここで問題になるのが、終止形と連体形が同じ形になる場合です。
四段活用動詞などは、終止形と連体形が同じ形になります。

そのときは、次のポイントを見ます。


③ 撥音便しているか?

「あんなり」「なんなり」のように、音が変化している場合は、伝聞・推定です。

これは終止形+伝聞推定なりが音変化したものです。

逆に、「あるなり」のように形がそのままなら、断定です。


最後の確認です。

④ 意味は断定か、伝聞か、それとも変化か?

「〜である」と言い切っているなら断定。
「〜そうだ」「〜という」と聞いた内容なら伝聞。
「〜になる」と状態が変わっているなら動詞。

意味で最終チェックをすれば、確実に絞れます。

「あはれなり」「おぼろげなり」|形容動詞の「なり」

古文「なり」形容動詞語幹の図解

この「なり」は助動詞ではありません。
動詞でもありません。

形容動詞です。

「あはれなり」「おぼろげなり」のように、
語とセットで意味が完成しています。

たとえば

あはれなり。
おぼろげなり。

これを分解して

「あはれ」+断定のなり

と考えるのは誤りです。
これは一語で「しみじみと趣がある」「並々ではない」という意味を持つ形容動詞です。

最強のコツ 〜げなりは即形容動詞

「おぼろげなり」
「めづらしげなり」

このように 〜げなり の形なら、迷わず形容動詞です。

ここは即答レベル

試験で時間を使う必要はありません。

体言・連体形+なり|断定の助動詞

古文「なり」断定の図解

まず押さえるべきは接続です。

体言・連体形+なり

これが断定の助動詞「なり」の基本形です。

意味はシンプルで、「〜である」。
現代語の「だ」「です」にあたります。

例を見てみましょう。

するなり。
花の色なり。

「する」はサ変動詞の連体形。
「花の色」は体言。
どちらも後ろの「なり」は断定になります。

見分けのコツ① 形がそのままか

断定の「なり」は、基本的に形がそのまま出てきます。

あるなり。

撥音便のような音の変化は起こりません。

もし「あんなり」のように変化していたら、それは伝聞・推定の可能性が高いです。

見分けのコツ② 終止形と連体形が同じ場合

四段活用動詞は、終止形と連体形が同じ形になります。

例えば「書く」は、終止形も連体形も「書く」です。

その場合、「書くなり」が断定なのか伝聞なのか、形だけでは判断できません。

そこで意味を確認します。

「書くなり」が「書くのである」と言い切っているなら断定。
「書くそうだ」と聞いた内容なら伝聞です。

接続だけでなく、意味で最終確認するのが安全です。

終止形+なり|伝聞・推定の助動詞

古文「なり」伝聞の図解

この「なり」は、断定とはまったく別物です。

接続は終止形。

意味は
「〜そうだ」
「〜という」

つまり、どこかから聞いた情報や、音からの推定を表します。

最大のヒントは撥音便

伝聞・推定の「なり」は、音が変化することがあります

あんなり。
なんなり。

これは、もともと

あるなり
なるなり

などが音変化した形です。撥音便していたら、伝聞・推定と判断しましょう。

終止形と連体形が同じとき

四段活用動詞は、終止形と連体形が同じ形になります。

例えば

書くなり

これだけでは、断定か伝聞かは形だけでは決まりません。

そこで意味を確認します。

書くのである、と言い切っているなら断定。
書くそうだ、と聞いた情報なら伝聞。

迷ったら、意味で最終確認しましょう。

「〜になる」「〜となる」|変化を表す四段動詞の「なり」

古文「なり」動詞の図解

動詞の場合、意味ははっきりしていて、
「〜になる」「〜となる」
という変化を表します。

例を見てみましょう。

春になりぬ。
鬼となりけり。

「春になりぬ」は
春という状態に変化した、という意味です。

「鬼となりけり」も
鬼へと変化した、という意味になります。

ここでは「なり」が何かにくっついて意味を補っているのではなく、
それ自体が動作を表しています。

見分けのコツ 意味が変化しているか

助動詞の「なり」は
「〜である」
「〜そうだ」
という意味でした。

一方、この「なり」は
「状態が変わる」という動きがあります。

意味に「変化」があれば、迷わず動詞です。

生徒
生徒「〜になる」って訳せたら動詞、ですね。だいぶ整理できてきました!

テスト直前|「なり」3秒チェックリスト

  • □ 直前は体言/連体形? → 断定
  • □ 直前は終止形? → 伝聞・推定
  • □ 撥音便(あんなり等)になっている? → 伝聞・推定
  • □ 形容動詞の語幹に直接ついている? → 形容動詞

補足:撥音便「あなり」「ななり」
「あるなり」「あんなり」「あなり」のように、伝聞・推定の「なり」の前の「る」が撥音便化することがあります。入試では「あなり」「ななり」と表記されることも多いので注意しましょう。

まちがえやすい「なり」の実例チェック

接続(直前の活用形)だけで決まる例を、つづけて見てみましょう。同じ「なり」でも直前が変わると意味が変わります。

  • 男なり。…直前が体言(名詞)→断定「男である」
  • 花咲くなり。…直前が終止形「咲く」→伝聞・推定「花が咲くそうだ/咲くようだ」
  • 静かなり。…「静か+なり」で一語の状態→形容動詞「静かだ」
  • 春になりぬ。…「~になる」で変化を表す→四段動詞「春になった」

とくに注意したいのが、終止形と連体形が同じ形になる四段・上一・下一などの動詞です。たとえば「住む」は終止形も連体形も「住む」なので、「住むなり」は文脈で断定か伝聞・推定かを判断します。一方ラ変動詞(あり・をり等)は終止形「あり」・連体形「ある」と形が違うので、「あるなり(→あなり)」のように連体形につながっていれば伝聞・推定と判断できます。「終止形接続なのにラ変だけ連体形につく」という例外を逆手にとると、かえって見分けの手がかりになります。

なぜ接続で見分けられるのか|断定と伝聞・推定のなりは別の語源

「なり」を接続で見分けられるのには、きちんとした理由があります。じつは断定の「なり」と、伝聞・推定の「なり」は、もともと別々の言葉から生まれた、別の助動詞なのです。同じ「なり」という形になってしまったために紛らわしいだけで、性格はまったく違います。

  • 断定の「なり」…「に」(場所などを表す語)+「あり」が縮まってできたと説明されます。「に+あり」がもとなので、名詞(体言)にくっついて「〜である」と言い切るのが自然です。だから接続は体言・連体形になります。
  • 伝聞・推定の「なり」…「音(ね)」に関係する語から生まれたと説明されます。もともと「音・声」に関わるので、耳で聞いた情報をもとに「〜らしい・〜ようだ」と推し量る意味を持ち、接続は終止形(ラ変型には連体形)になります。

つまり「体言・連体形につくのが断定、終止形につくのが伝聞・推定」というルールは、語源の違いがそのまま接続の違いになっているのです。丸暗記ではなく「もとが違う言葉だから接続も違う」と理解しておくと、忘れにくくなります。

古典の名文で確認|「なり」の実例

実際の作品では「なり」がどう使われているのかを見てみましょう。有名な一節で確認すると、識別のイメージがぐっとつかみやすくなります。

伝聞・推定の例(耳で聞いた情報)

原文 今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。(『竹取物語』冒頭)
現代語訳 今ではもう昔のことだが、竹取の翁と呼ばれる者がいた。

この「ありけり」の例は断定でも伝聞でもありませんが、物語の語り口を確認するための導入です。次に、終止形につく伝聞・推定の典型を見ます。
例文 秋の野に人まつ虫の声すなり
現代語訳 秋の野で、人を待つという松虫の声がするようだ(=聞こえてくる)。

「す(サ変・終止形)」+「なり」なので伝聞・推定です。声という聴覚の情報がきっかけになっている点に注目しましょう。「鳴くなり」「聞こゆなり」なども同じ仲間で、音や声と一緒に出てきたら伝聞・推定を疑うのが定石です。

断定の例(〜である)

例文 これは、ただ人にあらず。天人なり
現代語訳 この人は、普通の人間ではない。天人である

「天人」という体言に直接ついて「〜である」と言い切っています。これが断定の「なり」のいちばん基本的な形です。音の変化もなく、形がそのまま出ている点も断定の手がかりになります。

変化を表す動詞の例(〜になる)

例文 夜やうやう更けゆくほどに、月いと明かくなりぬ
現代語訳 夜がしだいに更けていくうちに、月がたいそう明るくなった

「明かく(形容詞の連用形)+なりぬ」で、「明るい状態に変化した」という意味です。前に状態を表す語があって「〜になる」と訳せるなら、それは四段動詞「なる」です。助動詞のように何かを言い切ったり推量したりしているのではなく、「変わる」という動作そのものを表している点が決め手になります。

つまずきやすいポイントと入試での問われ方

「なり」の識別でよく失点するパターンは決まっています。先に知っておけば、同じミスを避けられます。

  • ラ変型は連体形につくのに伝聞・推定になる…「あり」「をり」などラ変型の語、また形容詞の補助活用(〜かり)やラ変型に活用する助動詞(けり・たり・り等)に伝聞・推定の「なり」がつくときは、終止形ではなく連体形につきます。「あるなり」「あんなり」「あなり」が伝聞・推定なのはこのためで、接続だけで断定と誤らないよう注意します。
  • 撥音便と無表記…「あるなり」→「あんなり」→「あなり」のように、撥音「ん」が表記されず消えることがあります。「あなり」「ななり」「ざなり」を見たら伝聞・推定のサインです。
  • 四段動詞は終止形と連体形が同じ…「書くなり」だけでは断定とも伝聞ともとれます。前後の文脈と意味で必ず最終確認します。
  • 「〜げなり」を断定と分解しない…「おぼろげなり」を「おぼろげ+なり」と切って断定にするのは誤りで、一語の形容動詞です。
生徒
生徒記述では何を書けば点がもらえますか?
先生
先生「何か」「意味」「接続・活用形」の三点セットで答えるのがコツ。接続と活用形まで添えると減点されにくいよ。

入試・定期テストでは、傍線部の「なり」について「文法的に説明せよ」「同じ用法のものを選べ」という形でよく問われます。答えるときは、(1)何(助動詞・動詞・形容動詞の一部)か、(2)助動詞なら意味は何か、(3)接続・活用形は何かの三点をセットで答えると、減点されにくくなります。記述では「終止形に接続する伝聞・推定の助動詞『なり』の連体形」のように、接続と活用形まで添えるのが安全です。

ミニ練習問題(解答つき)

次の傍線部「なり」が、(ア)断定の助動詞 (イ)伝聞・推定の助動詞 (ウ)四段動詞「なる」 (エ)形容動詞の活用語尾 のどれかを答えましょう。

  1. 男ありけり。その男、いとあはれなり
  2. 笛の音、いみじうめでたく聞こゆなり
  3. これは私の家なり
  4. 年ごろ経て、ついに都となりぬ
  5. 山のあなたに、人住む里あなり

解答と解説

  1. (エ)形容動詞…「あはれなり」で一語。「しみじみと心打たれる」という意味の形容動詞です。
  2. (イ)伝聞・推定…「聞こゆ(終止形)+なり」。聴覚の語「聞こゆ」と結びつき、音から推し量っています。
  3. (ア)断定…「家」という体言+「なり」で「家である」。音変化もなく言い切っています。
  4. (ウ)四段動詞…「都となりぬ」で「都になった」という変化。「〜となる」と訳せるので動詞です。
  5. (イ)伝聞・推定…「あなり」は「ある(ラ変『あり』の連体形)+なり」が「あんなり」と撥音便化し、さらに「ん」が表記されなくなった形です。「里があるらしい」と推し量っており、撥音便・無表記のサインから伝聞・推定と判断します。

よくある質問(Q&A)

Q. 「なり」と「たり」はどう違うの?
A. どちらも断定の助動詞ですが、「なり」は体言・連体形に、「たり」は体言に接続します。「たり」は「堂々たる」のように漢語+たりの形でよく使われ、やや改まった感じになります。意味はどちらも「〜である」です。

Q. 伝聞と推定はどう訳し分けるの?
A. 人から聞いた話なら「〜という・〜だそうだ」(伝聞)、自分が音や声から推し量っているなら「〜のようだ・〜らしい」(推定)と訳します。声・音・気配などの根拠があるかどうかで判断し、迷うときは「〜ようだ」と訳しておけば大きく外しません。

Q. 「なり」の活用が覚えられません。
A. 断定の「なり」は形容動詞ナリ活用と同じ(なら・なり/に・なり・なる・なれ・なれ)、伝聞・推定の「なり」はラ変型(〇・なり・なり・なる・なれ・〇)です。表で形を確かめながら、例文ごと音読して覚えると定着しやすくなります。

まとめ|手順で解く「なり」

最後にもう一度、考える順番を確認しておきましょう。感覚ではなく、上から順にチェックしていくのがコツです。

  1. 語の一部になっていないか(「〜げなり」「あはれなり」などは形容動詞で即決)。
  2. 直前は体言・連体形か、終止形か(体言・連体形なら断定、終止形なら伝聞・推定)。
  3. 撥音便・無表記になっていないか(「あんなり」「あなり」「ななり」なら伝聞・推定)。
  4. 意味は「〜である」か「〜ようだ」か「〜になる」か(最後は意味で最終確認)。

この四つの手順をたどれば、見た目が同じ「なり」でも、どの種類かを落ち着いて見分けられます。あとは多くの例文に触れて、手順を体に染み込ませるだけです。下のドリルで実際に解いて、判断のスピードを上げていきましょう。

先生
先生あとは例文をたくさん解いて、手順を体に染み込ませるだけ。焦らず上から順番に見ていけば必ず解けるよ。

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